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子育てと陶芸のライフスタイルを楽しむ陶芸作家 “小山 彩”さん

陶芸作家をしている小山彩さんにお話を伺いました。東京下町で5歳の息子さんの子育てと、お仕事である陶芸を楽しんでいる小山彩さん。息子さんとの交流と陶芸を通して、日々どのような気づきや発見があるかご紹介します。

プロフィール
作家名

鈴木 彩
出身地
東京都江戸川区
活動地域
東京を中心に全国各地
現在の職業及び活動
Atelier Chroma 陶芸工房にて制作、指導
小伝馬町 川島紙店にて作品展示販売
経歴
1994年
武蔵野女子大学短期大学部
生活造形コース卒業
2004年
京都造形芸術大学 陶芸コース卒業

朝日現代クラフト展
日本クラフト展
天草陶芸展
ながさき陶磁展
四日市萬古陶磁器コンペ
現代茶湯アワード
そば猪口アート公募展 他入選
日本各地で個展・グループ展を開催

子どもの感性に気づかされる日々

Q.どのような夢、ビジョンをお持ちですか?
小山彩さん(以下、小山 敬称略):この人が作っているからこの器が欲しいなとか、使いたいなとか思ってもらえる人になりたいですね。今は安価で器は売っているし、可愛くて使いやすい物もたくさんありますよね。こんなに安いんだ!と驚くこともあります。

でも、好きな作家さんがいて、その人と話すことが楽しかったり、好きな作家さんが作る器に囲まれていたら毎日楽しいなと思えたりします。そういう事って、機械にはできないだろうし、人にしかできない事なのかなと思うので、この人が作っている器だから欲しい!使いたい!と思われるような作家になりたいですね。

Q.今どのような活動指針をもって、どのような活動をしていますか?
小山:今、子育てに手がとられているというのはあります。息子が幼稚園に行くようになり時間がとれると思ったら、そうでもないんですね。また、5歳の息子は一人っ子で、まだまだ母親と遊びたい時期なのかなと思っているので、陶芸を生活の中心にしようとは思ってはいないんです。仕事と子育ての両立まではいきませんが、今は両親や夫の協力のもと息子との時間も大切にしながら、できる範囲で活動していますね。

そこで、自分のペースで出来る範囲での活動として、現在は川島紙店さんに季節ごとに展示をさせて頂いています。そこでは毎回、お店から提案された季節ごとのテーマに合うように、他の作家さんと話し合いながら展示を考えています。

↑  小伝馬町 川島紙店にて作品展示販売


記者:子育てが、仕事に繋がっていることはありますか?
小山:子どもがいることを活かした仕事の仕方をするようになりました。昨年の夏には、子ども向けの陶芸教室を開催しました。年中さんたちは土遊びを主とした陶芸、小学生は夏休みの自由研究用に陶芸をしました。4歳の子ならここまでできる!と成長と共に子どもたちができることがわかったり、こんな色使いをするんだ!とか色々な気づきがあったりして、とても楽しかったです。陶芸を通して子どもたちと繋がっていくことが本当に楽しいですね。

また、日常生活で子どもがいることで、子どもの感覚によって気づかされることが多いです。毎日普通に生活する中で、息子から「今日は秋のにおいがする」「雲が面白いよ」「今日の川の流れは違う」「スカイツリーがずっとついてくる」とか、子どもの何気ない環境の変化に気づかせるような言葉が、自分の中で勉強になります。子どもにしかない感性だと思いますし、当たり前のことだけど大人が見逃している部分にも気づかされますね。

自分にしか作れないものがある

Q.「この人だから使いたいと思われる作家になりたい」という夢、ビジョンをもったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
小山
:“これはあなたが作った器だよね”と分かってもらえることって凄いことだと思っています。ギャラリーでの個展などではなく、作家名を出さずに5,6人の作品をたくさん並べて販売しても、自分の作品だけをピックアップしてくれる人がいたり、好きなものを選んでいたら同じ作家さんの作品だったという事は結構あります。それは、その人の感性に合うからだと思いますし、自分にしか作れないものがあるのだと気づかされます。必ず展示会に来てくれる人がいるのは本当に嬉しいですね。

作られたものを尊重し、大切にして欲しい

Q.その発見や出会いの背景には何があったのですか?
小山
:今は安価で器を手に入れやすくなっている分、“安いから仕方ない”とか“とりあえず安いから買ってみる”という感覚が強くて、物を大切にできなくなっているように思います。安価で機械で作っていたとしても、器を作る行程にたくさんの人が関わっていると思うんですね。作家の視点から作業工程を考えてしまうんです。作られた物を尊重できて、大切にできるようになれたらと思います。

また、器は壊れたら、もと通りに再生できない物も有ります。でも、今は安価で壊れてもまた買ったらいいという感覚が強いと思います。子どもにはそんな感覚を持たせたくないので、小さいころからプラスチックのお皿ではなく、陶器を使わせています。子どもだから手を器用に使えなくて、器を落として割ってしまうこともあります。でも、子どもには物は壊れることを教えたいし、物の存在を軽視しないことを伝えたいと思っています。日本は、お茶椀、お椀、小鉢などの手で持つ器の文化です。多種多様の器を楽しんで、器を大切にしたいですね。
記者:小山さん、今日は本当にありがとうございました。

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小山彩さんについての詳細情報についてはこちら
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編集後記
取材をした田中、宮川です。息子さんをはじめ子どもたちの感性も吸収しながら、陶芸家としてもご活動なさっている小山さんのライフスタイルがとても素敵だなと思いました。物ができる行程、そこに関わる人達まで想って、物という存在を大切にする姿勢は素晴らしいですし、現代人が見習うべき視点だと思いました。これこそが本来の日本人の在り方ではないかと考えさせられました。今後も小山さんのご活躍を応援しています!ありがとうございました。

この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36