見出し画像

「1人1人と向き合いたい」デジタル・ストーリーテリング研究所 須摩修一さん

自己表現の映像(デジタル・ストーリーテリング)の制作、南相馬市と都心を繋ぐツアーや戦争体験者のイベントの企画・運営など、幅広く活躍している須摩修一さん。初めて会った人もすぐに心を開いてしまうような寛容さがあります。「1人1人と向き合いたい」と対話を大事にする須摩さんの背景に何があるのか。須摩さんの人生ストーリーをご紹介します。

【プロフィール】1956年生まれ。繊維メーカーを53歳で退職。自己表現映像(デジタル・ストーリーテリング)に出会い、福島県南相馬市ので被災した小学生や保健師らの映像を制作。自らマイクロバスを運転し、都心から南相馬市へ人を繋ぐ交流ツアーを企画している。ツアーは、リピーターがリピーターを呼び、今年1月に47回目の開催となった。80代、90代の戦争体験者の映像制作と共に、体験者の声を発信する場づくりの企画、運営をしている。座右の銘:明日死んでも悔いはない

必ず最後は、“未来”に向かう

記者:須摩さんは、どのような目標、ビジョンをお持ちですか?
須摩さん:どんなチャンスが巡ってくるか分からないから、目標やビジョンは決めていないんです。自己表現の映像を使って、自分が行動できる可能性がどれだけ広がるかは分からない。もっと新しいことができるんじゃないかなと思っています。面白いと思ったら、やろうと思っています。

記者:その自己表現の映像には、どのような可能性があるのでしょうか?
須摩さん:自分の人生の映像を作るということは、過去を振り返ること。つまり、自分の人生の棚卸しをして、自分を見つめ直すことができるんです。過去に踏ん切りをつけた上で必ず最後は「これから、こうしたい」という未来に向かうんです。福島県南相馬市での被災地の映像、生前葬をやりたいという方の映像もそうでした。

対話を大切にしたい

記者:南相馬市への交流ツアーでも、バスの車内で映像を流しているそうですね。ツアーを運営する上で、大切にしている事は何ですか?
須摩さん:南相馬市へのツアーの時も映像の上映はしますが、その後はマイクロバスを運転しながら、車内の参加者との対話を大切にしています。

参加者がどんな状態で来ているのかなど、深く質問するんです。自己表現をすると、帰り道はもっと口が滑らかになっているんですよね。もっと参加者同士の話が聞きたくなるんです!これからもそんな環境を作っていきたいですね!

最後まで、その人に関わっていきたい

記者戦争体験者が語る場も企画、運営されていますね。どのようなきっかけで、始めたのでしょうか?
須摩さん:戦争体験者の87歳、91歳の女性たちと繋がりがあって、彼女たちが戦争体験を教え子や今の教師たちに伝えたいと言っていたんです。それをきっかけに、彼女たちに学校などで戦争体験の語ってもらったり、映像の上映をしたりする場ができるようになりました。

記者:活動する上で、大切にしていることはありますか?
須摩さん:とにかく会って、話さないと次どうしたいかが分からないですよね。関わった人とは、ずっと繋がっていきますから、最期まで見届けられたらと思っています。戦争体験の映像を作っていた時に、録音までして89歳で亡くなった方がいました。私が最期の声を聴いたわけで、これも何かその人と関わったご縁なんでしょうね。

1人1人と向き合うようになった背景には・・

記者:最期まで人と向き合うということでしたが、ここまで人に向き合える背景には、何があるのでしょうか?
須摩さん:1人1人明るくふるまってる人達でも、つらい時期はあるのだと思います。100人いたら、100通りの人生があります。それを知ることが、自分の勉強になるんだろうと思うんです。

記者:そのように思うようになったきっかけは、何ですか?
須摩さん:娘ですね。娘は、高校1年の時に家出して中退して、17歳で結婚、18歳で出産したんです。その時は、娘可愛さで口うるさい親父で、相手を尊重してなかったんです。相手を責めていたんですよね。それからコーチングを学ぶことで、自分が悪かったんだと人間が変わったんです。その経験から、もっと1人1人に向き合わないとと思うようになりました。

記者:最後に読者の方にメッセージをお願いします!
須摩さん:悔いがないように、自分がやりたい事をやったら良いと思います。周りの目を気にせずに。自分を信じることですね!

記者:須摩さん、ありがとうございました!

【編集後記】
記事を担当した田中、稲垣、加藤です。須摩さんが対話を大切にしていて、最後まで人と向き合い続ける姿勢が美しいと思いました!関わった人たちとのご縁を大切に育み、繋げている姿勢を見習いたいです。須摩さん、貴重なお話をありがとうございました!

---------------------------------------------------------------------------

この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。

https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36