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はしりものには手を出さない

  
人間の体は、たとえ都会に暮らしていようとも、季節と呼応しています。特に四季のある日本では、季節の移ろいに影響を受けます。現在使われている暦は実感する季節より早く、今の暦よりも1ヶ月ほど遅い旧暦が日本列島に暮らす私たちの体には合っています。

農業技術の発達で、今は一年中いろいろな食材を手に入れることができるようになりました。「はしりもの」は高い値段で販売されるので、競うように本来の季節よりも早く栽培された農作物が店頭に並びます。全ての農作物には本来の季節があるのに、スーパーの店頭を見ているとそれが全くわかりません。そして輸送手段の発達により、日本では栽培できない様々な農作物が世界中から輸入されています。

季節は急に変わるものではなく、少しずつ移ろいゆくものです。人間の体も同じで、少しずつ変えていく方が負担になりません。たとえば、夏に向けての体のあたたまり具合は、地面の温度(地温)と呼応していると考えるとぴったりです。梅雨の合間や梅雨明けすぐに一瞬暑くなることがありますが、そのとき地面はまだあたたまっていません。梅雨が明けて10日から2週間がすぎてからやっと地温も上がり、その頃になって体も中からあたたまってきます。そのため、梅雨の前や合間の暑い日に夏野菜とトマトのラタトゥイユ、カレーや冷やし中華を食べてしまうと冷えて下痢になるなど、不調をきたします。

すいかは自然にそった栽培法では8月のお盆頃が旬。すいかはとってもクールダウンしてくれる食べものですから、暑さが続くこの頃に食べるとぴったりです。桃も同様ですね。

季節の間には移行期があるので、間隔や重複する期間があります。
年毎でその変化も違うので、ひとつの目安としてください


多少の例外もありますが、暑い時期、暑い地域でとれるものは体を冷やし、寒い時期、寒い地域でとれるものは体をあたためます。つまり、季節や気候と私たちの体は呼応しているのです。まずは正しい季節と、本当の収穫時期を知ることからはじめましょう。季節に合ったものを食べるようにするだけで、健康の基本が作られます。

*** 野菜と果物の旬 ***
下のイラストは、ビニールハウス・マルチ・肥料・農薬を使わない、自然に沿った作り方での関東地方における収穫時期です。
(地域の表記があるものを除く)


*イラスト:秋山菜穂
  画像の無断使用はご遠慮ください。

*この文章は、2013年にmille booksより刊行されました、たなかれいこ著「食べると暮らしの健康の基本」より抜粋し加筆修正したものを、mille books藤原さんのご厚意で公開しております。

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