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92歳の現役保育士が伝えてくれた、親も子も幸せになる子育て

笑ってしまうほどバタバタしているけれど、このnoteは書かなければ。だってたくさんの人に読んでほしい本ができたから。

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『92歳の現役保育士が伝えたい 親子で幸せになる子育て』(大川繁子著/実務教育出版)が、発売となった。

「92歳の現役保育士って……大丈夫なの?」

編集の佐藤金平さんに企画のご相談をいただいたとき、失礼ながらまずそう思った。古い育児に凝り固まってないのかな? と。もしかしたらいま、そう感じている方もいるかもしれない。

でも、大川先生の書かれた保護者へのおたよりを読んだり、メディアに出演されたときの言葉を辿ったりして、それは杞憂だとすぐにわかった。「ああ、これはすてきな本になるな、やりたい」と思った。これは、悩み多き新米母ことわたしがやらなければと。

大川先生が保育士として働いている「小俣幼児生活団」は、栃木県足利市にある。3000坪の敷地にある園舎はペリー来航前(!)に建てられた有形文化財の古民家で、園庭はもはや「山」。梅林を横目にてっぺんまで登ると、すっかり息が切れた。

こんな環境もおもしろいし子どもの刺激になるに決まっているけれど、やっぱりいちばんユニークなのは保育の方針だ。

カリキュラムは一切ないし、新しいルールは園児たちが話し合って決める(しかも下の学年の子たちに決まったことをレクチャーまでする)。

お昼ごはんはバイキング方式で、そもそも食べてもいいし食べなくてもいい。保育士はほめないし、指示も出さない。基本的に子ども任せで「ほったらかし」。

だけど、子どもが「よーく育つ」のだ。自立するし、自分の頭で考えるようになる。「とにかく後でぐんと伸びる、馬力がある」「問題解決能力がとても高い」とは足利市の学校の先生談。

(ただ、いわゆる「お勉強」はさせないので、小学校入学時は教育熱心な幼稚園から来た子とのギャップは多少あるんですって。でも、その差はすぐになくなるのだそう)

アドラー心理学やモンテッソーリ教育を、まだまだ無名に近かった数十年前から取り入れているだけのことはあり、子どもの人格と可能性をものすんごく尊重していらっしゃるなあと感じた。「いいとこどりなのよ」と大川先生は笑っていたけれど。

大川先生は保育士歴60年、2800人以上の園児たちと接してきた。試行錯誤と経験の中で、そりゃもう、たくさんの知見をお持ちだ。

でも驕ることなく、「まだまだ勉強中」と言っては90歳を過ぎたいまもせっせと勉強会に通い、知識をアップデートしている。凝り固まっているどころか、めちゃめちゃ柔軟! 

でも子育ての根っこのところのポリシーはしっかりお持ちで、取材途中、なんだかわたしの育児相談みたいになっていた。悩み多き新米母の特権である。

そしてこれは第5章に書いてあるのだけど、「夫婦仲がいいのがいちばん、わたしはそうでもなかったけど(笑)」というメッセージを強調されていたのが印象的だった。ちょっとずつ離れていった心は、子どもが自立してから元に戻そうと思っても戻らないわよって。経験に基づく言葉は深いよ。

あと保育士さんなので、女性の社会進出にもすごく肯定的。というか、親が自分で選択したことについてすべて肯定的。だから元気が出る。

「この本が正解じゃないの、最後は自分で考えて決断してくださいね」というメッセージも優しくて、どうしたらこんなにひらけた考えの92歳になれるんだろう、隣に住んでくれないかな……と思ってしまう。


そんな大川先生が主任保母を務める「奇跡の保育園」のちょっと変わった子育てと家族の考え方、そして60年の間に寄せられたお父さんとお母さんからのお悩みへの回答を、たくさんのエピソードを交えて一冊にまとめたのが本書です。

ぜひぜひ、大川先生の保育をのぞいてみてほしいです。きっと子育てのヒントになるし、読後、子どもがうんと、もっともっとかわいくなると思います。

大川先生の言葉、たくさんの人に届いてほしいなあ。だって「92歳、いまが青春」なんですよ、すてきでしょう。

ゴリゴリするのは苦手だけど、もう一度リンク貼っちゃう。なにとぞ!


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