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案ずるよりも、日々はたのしい

週末は夫の両親と妹ファミリーと、群馬県にある伊香保温泉に行った。

しょっぱなから全力で余談だけど、伊香保は日本初、400年前にできた温泉を中心とする計画都市だ。街の真ん中を走る石段がランドマークで、大変風情がある。「スナック 石段」みたいな味のある店も多く、シャビーな雰囲気が漂っている、こじんまり感の大好きな街だ。

それで本題。「義理の家族と温泉」、誘われたときは正直「ええー」と思った。裸を見られるのが恥ずかしいし、恥ずかしいと思っていることを伝えるのも恥ずかしいし、もし行くならいい感じにバラバラに入れないもんかなって。

でも、結論から言うと杞憂だった。案ずるより産むが易しだった。温泉は一人でゆっくり入れたし、上州牛はおいしいし、なにより大人6人子ども3人の大所帯旅行(2日目は牧場に行った)は賑やかで、ふつうにとても楽しかったのだ。

そうそう、こういうのってだいたい杞憂なんだよね、と思い出す。

「義実家問題」「嫁姑問題」。メディアはこんな切り口で、わたしたちにたくさんの事前情報を与えてくる。姑は嫁をジャッジする存在だ、いびってくるぞ、義実家との折り合いが悪く離婚問題に発展——などなど。

でも実際はどうかというと、結婚して以来、夫の実家とはまったく問題もなくいい関係を築けている。少なくともわたしはそう思えている。当然、家・地方ごとの文化の違いや考え方の違いなんかはあるけれど、それはどんな関係にだってありえることだ。

じつは……メディアの煽りに加え、鹿児島の母が姑(わたしの祖母)と半分同居でやや苦労していたこともあり、夫の家族に挨拶に行くときは「どんな人たちだろう」とドキドキしていた。

けれど、まさに「案ずるより産むが易し」だった。思い返せば、はじめてご挨拶してからずっと「ふつうに楽しい」ばかりだ(強いて言えば、義母はちょっと類を見ないくらいパワフルでエネルギッシュなくらい)。

それにいまのところ、わたしの周りに深刻な嫁姑問題に悩んでいる友人はいない。なんなら、自ら申し出て同居or近距離別居している子も多い。

自分を見ても周りを見ても、すんごい脅されたのにそよそよと湿った風が吹いているだけの台風の日を迎えた——そんな感覚なのだ。

そしてこれは、「ママ友問題」も一緒だった。

わたしはもともとの友人がたまたま同じ年に一斉に出産する、といううれしい珍事のおかげで、娘が生まれた瞬間から……いや妊娠初期からたくさんのママ友がいる。

彼女たちの存在はものすごくありがたい。ネットや雑誌で見かける「ママ友はいらない」「ママ友トラブル」といった特集がもはやフェイクニュースなんじゃないかと思うくらい、精神的に助けられている。

保活や離乳食、発達について情報共有するのはもちろん、仕事のことも2人目プランのことも、住宅ローンのことだって、なんでもざっくばらんに話ができる。ただのおしゃべりもたのしい。

「ママ友なんてゼロで大丈夫!」と胸を張る先輩に、産前は「そりゃラクでいいや」と思っていた。けれど、その強さはわたしになかった。うん、彼女たちがいないとしんどかったと思う、ほんとうに心からそう思う。2ヶ月先輩ママであるHow to Taiwan編集長の田中伶は、もともと交友があったママ友を「ママ仲間」とネーミングしていた。まさに仲間だし、戦友だ。

もちろん、義実家との付き合いに悩むお嫁さんも、ママ友付き合いに心を荒ませるお母さんもいることは重々承知している。「発言小町」「ヤフー知恵袋」、そして匿名掲示板などで育った(?)ので、知識だけはある。テレビのワイドショーでも、この手の話題はしばしば取り上げられる。

でも、言い方は悪いけれど、基本的に人のケンカっておもしろいからコンテンツとして優秀なんだよね。「仲よくやってまーす」は、特段取りざたされないものだ。

とはいえ、わたしは「嫁歴」も「ママ歴」も浅いビギナー。これからなにがあるかわからない。まだまだ入り口なのは重々承知です。

でもとりあえず、いまのところは大丈夫。だから「心配のお取り寄せ」はせずに、このままのほほんと暮らしておこうと思う。実際、お姑さんと仲よしの大大大先輩もいるし。

もしも、メディアに必要以上に煽ったり脅されたりして、結婚前に義実家との付き合いに怯え、ママ友を必要以上に警戒してる人がいるなら。

平和に仲よく暮らしてる人もたくさんいるよ、案ずるよりたのしく過ごせるもんだよ、と伝えたい。

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