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己の「休み方」を知れば百戦危うからず

8:35、娘と鹿児島発羽田行きの飛行機に乗る。10:30、羽田で夫と3日ぶりに落ち合う。コーヒー一杯を交わし、娘をパスして、出張のため12:05発大分行きの便に乗る。着後、大分空港から別府にリムジンバスで移動。夕方より会食。

——そんな「小忙しい」日です、今日は。

別に、自分が移動するだけなら鹿児島→羽田→大分→別府も、そこまで疲れないかもしれない。けれど、鹿児島から羽田の「with娘」がクセモノだった。

とにかく「動くor食べるor泣く」の娘、飛行機では必然的に「食べる」が中心となる。和光堂のお弁当から食パン、ボーロ、ビスケットとたいらげてしまったのだけど(満腹中枢の完成求む!)、膝に乗せた娘をのぞきこみながら、こぼさないよう気をつけながら食事を運ぶのってめちゃめちゃ肩が凝るのだ。

そんなこんなでバキバキの身体を抱えて別府のホテルにチェックインすると、わたしはベッドに倒れ込んだ。朝、家を出てから8時間経過している。絵に描いたような「だるおも」だ。

さて、編集者Aさんもまだ到着してないし、夜の会食までどうしよう……。

目をつむって考える。本音を言えば寝ちゃいたい。仕事するのも動くのも、ちょっとしんどいぞ。眠っちゃおうかな。

……。

でもさ。自分はこういうとき、どうしたら元気になれるんだっけ?

そう問いかけ、「えいや」と身体を起こす。検索し、なにも考えず、読みかけの本を手にしてホテルからいちばん近い喫茶店に向かった。

2〜3分で「ティールーム コージーコーナー」というその店(あのチェーン店とは関係ない)の前に辿り着く。マスターの実家の倉庫跡に建てたらしい、5席しかない紅茶と焼き菓子のお店だ。かわいい。

で、ほんとうに「ホテルの最寄りだから」という理由で入ったのだけど、店内のお知らせを見て知ったことにはマスター、なんと「こんぺき出版」という出版社を立ち上げていた。詩人・小説家である豆塚えりさんとの2人出版社で、文芸誌を中心につくっているそう。

へえーーー、と思いながらその作品を読んでいると、「こちらにはお仕事ですか」と気さくな感じで話しかけていただく。そこから、いろんなお話しをした。

自分も出版社で営業と編集をしていたこと。
どんな本屋さんが好きか。
別府という温泉の街がどう変わってきたか。
それを地元の人はどう感じているのか。
若いころは「ふるさと」に対してどんな思いがあり、
それがいまどうなっているのか。
街おこしにおけるアートとはなにか。
別府のおもしろいアーティストは……。

「また来ます」と言ってドアを開けたとき、「だるおも」はどこかへ消えていた。ちなみにりんごのタルトと、それに合わせて選んでくださった紅茶もめちゃめちゃおいしかった。本は1ページも読めなかったけど。

で、なにが言いたいかというと、「自分はどうしたらいちばん回復するか」を知っておくことはとても大切ということだ。風邪の引き始めの「マイ葛根湯」を持っておくイメージ。

わたしの場合、疲れたと思って泥のように休んでも癒えることはあまりなくて。むしろ、かえって疲れに注目、集中して怠くなってしまう感覚すらある。

逆に、「動きたくない!」と強く思うときほど動くほうがいい。いつもと違うものを食べに行ったり、ひとと話したり。本を読むにしても外に出て場所を変えるほうが、心身ともに回復する。

「疲れた」で支配された頭を切り換え、なにかに感動することが、結果的に「だるおも」を忘れさせてくれるのだ。

今日も、ビジネスホテルの部屋で横になりながらスマホで仕事をポチポチ進めるよりずっといい時間を持てた、と確信している。あとあとどっかんと馬力を出すことができるはずだ。たぶん。

疲れを癒すために美術館に行くひとも、ゲームをするひとも、もちろんひたすら寝る、というひともいるだろう。年齢や環境によっても変わるものかもしれないけれど、都度自分の「休み方」を理解しておくと強いんじゃないかなと思う。

ほかの人は、どんな「マイ葛根湯」を持ってるんだろうな? 
おすすめがあれば、ぜひ教えてください。

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