クーラー問題と「生き物を飼うと優しい子になる説」と

「クーラーを使ったら暑熱に弱い子になる」
「暑さに耐えてこそ、暑さに強い子になる」

酷暑の毎日、小学校にクーラーを、というニュースで必ず目にするこうした意見。いやいや、あなたが子どものころより日本は確実に暑いし、「おれが我慢したんだからお前らも」はきわめてナンセンスな発想では。
・・・・とまあ、ここらへんはずいぶん議論されていることなので置いておいて。

わたしが気になるのは、「そもそも、暑さを我慢すればほんとうに暑さに強い子になるの?」ということだ。

子育て系の情報は、この「AをしたらA'な子になる」という因果関係で語られることがたっくさんある。「この時期にいい食事を与えたら味覚が鋭敏になる」とか、「すぐモノを取ってあげると意欲の低い子になる」とか。

もちろん中にはエビデンスがあるものもあるだろうけど、「真偽のほどはわからないが、そんな感じがする」と雰囲気で語られていることも少なくない。
そういう言説は総じて物語としてとてもわかりやすいから、情報の受け手である親も「そうかも」と思わされてしまう。子育ては取り返しがつかないから、安全側としてなんとなく従ってしまう。

この小学校クーラー問題のちょっと前、ちょうどこの「物語としてわかりやすい子育て論」について考えたところだった。
きっかけは、かの有名(?)な「動物を飼うと子どもが優しくなる&命の大切さに気づける説」。これも一見ホントっぽいというか、「うんうんそうだろうな」と思わせられるけれど、よくよく考えたらアヤシイのだ。

というのも、わたしは小さいころから金魚、インコ、カメ、鈴虫、カエル、犬などなど、さまざまな動物と一緒に暮らしてきた。それぞれ名前をつけて大事にしたし、たくさんの別れも経験してきた。
一方、夫は人生で一度も生き物を飼ったことがなかった。3年半前に我が家にジョインしたテンコ(柴犬♀)がはじめての動物家族だ。

じゃあ、いま人間として優しいのはどっちか?
即答で「断然、夫」なのだ。
わたしよりはるかに利他的だし、器がでかい。テンコにも優しいし、責任感がある。もう、こういう性質は、持って生まれたものがほとんどなんじゃないかなと思わされる。

とはいえわたしも、生き物と暮らしてなかったらとんでもないサイコパスだったかもしれず、そこは比較できないのでわからない。「わからない」からこそ、「それらしい物語」が通用してしまうのが子育てなのだけども。

もちろんエビデンスがない場合でも、「AをしたらA'な子になる」というわかりやすい物語が必ずしも害になるわけじゃない。だから、自分が気にならないのであれば、いちいち疑う必要はないと思う。
いちいち疑うということは、ひとつひとつ自分で考えて意思決定しなきゃいけないということで、それはそれで疲れてしまうから。

でも、「いい子育て」ができないことに対して申し訳なさを感じたり、消耗してしまいそうになったら、ちょっと立ち止まってみようと思う(たとえばわたしが娘に対して「テンコのおかげで優しい子に育つかも」と考えるのはよいけれど、動物を飼っていない人が「命の大切さがわからない子になるのでは」と心配するのは消耗だ)。

そして、「これはファクトかな? 物語かな?」と問うてみよう。目の前の「わかりやすい説」を疑うことでラクになることは、これからきっとたくさんあるはずだから。・・・・と、新米母は思うのです。

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田中裕子

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