うちのルンバはルンバではない

我が家のロボット掃除機二代目は、日立のminimaru(ミニマル)。愛称マルちゃん。

直径25cmのコンパクトさがウリで、実際、小回りが利く。ルンバビリティ(ルンバが掃除しやすいの意)が低い家具の隙間でもスイスイ入っていくし、テーブルの上に椅子をあげなくても問題なし。水洗い可で、基地に帰ったあとゴミを圧縮してくれる機能などもあり、個人的にけっこう気に入っている。こういう本家の欠点を確実に補ってくる感じ、日本っぽい。

公式HPより。いちばん左の大野くんが一般的なルンバサイズか)

2歳の娘はマルちゃんが怖いので、娘と別行動するほうの大人がマルちゃんを回して家を出るのが我が家の日課だ。「マルちゃん回した」は夫婦LINEでの頻出キーワードとなっている。

しかし可哀想なことに、我が家のマルちゃん、人に話すときは「ルンバ」と呼ばれる。「うちのルンバ」と。

ひどい裏切りをしているような気持ちになるけれど、だって「ミニマルが……」と言われても「は? 何の話?」となるでしょう?


1年使用して確信している。minimaru氏は、名前が悪い。なんなら、名前のせいで知名度が上がらない→シェアが伸びない、の要素もゼロじゃない気がする。

そもそも我が家で「マルちゃん」と呼んでいるのも、「ミニマル」だと名前なのか形容詞なのか一瞬でわからず、コミュニケーションがスムーズでなくなるからだ。決してペット感覚でつけたわけではないし、マルティネスにあやかったわけでもない。きっと、パナソニックのお掃除ロボット「ルーロ」ならそのまま「ルーロ」と呼んでいるよ。

重ねてそもそも話をすると、これを書くまで、毎日お世話になっている氏の名前は英語の「minimal」だと思っていた。ググってみると「minimaru」で、正式なスペルとはちょっと違うことが判明。

「日本っぽさを醸し出すために表記をいじったのかな」と思惑を辿ってみるけれど……やっぱり大事なのは音による認知だと思いませんか。ねえ。

いまいち存在感のないminimaru氏、どんなクチコミがあるだろう。そう思いツイッターで「ミニマル」と検索すると「ミニマルな暮らし」など本来の意味ばかりが目に入ってくるし、「minimaru」で検索したら「mihimaru GT」が引っかかって懐かしい気持ちになった。検索の設定によるのかもしれないけど、ともかく、リアルなクチコミが知りたい人にとってはノイズがすごい。

一方のルンバをツイート検索してみると……「共働きの三種の神器」に挙げられるときも「お掃除ロボット」ではなくルンバと名指しされているし、「ルンバに乗る猫」など癒やし動画でも名指しされている。さすが王者。

まあ、あの猫の飼い主は実際にルンバ使用者だろうけど、仮に我が家の愛犬がマルちゃんに乗っている姿を撮影しても、わたしは「ルンバに乗る犬」あるいは「お掃除ロボットに乗る犬」とタイトルをつけて投稿するだろう。毎日律儀に働いているのに、不憫すぎるよ。


ネーミングはむずかしい、それは理解している。意志決定者が多いと「嫌われない名前」になりがちというのも、いままでの仕事で痛感している。

だけれども、シェア8割のルンバに対抗するのであれば、耳に残るような、少なくともモノの名前だとあきらかにわかるような言葉にしたほうがよかったのではないかと、シロウトながらに愛用者は思うのであった。じゃあお前考えろよと言われたら困る……あ、「comaru コマル」とかどうでしょ。

日立の人に届け、とは1mmも思っていないけれど、せめて愛するミニマルがだれかの記憶に残り、選択肢に入れば……とnoteをしたためました。



余談。ツイートを検索していて発見したんだけど。

minimaru発売は2016年。ね、もう、ね。

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