落ち込まない人はポジティブなのか? ネガティブなのか?

娘の寝かしつけが5秒で終わった。いい夜だ。

そんな素敵な秋の夜、録画していた「カンブリア宮殿」を夫と見た。

「リノベる」社長、山下智弘さんの回を見終わって停止ボタンを押すと、画面に流れたのは偶然にもまたまた村上龍氏の顔。そうか、木曜だから「カンブリア宮殿」の日か。

今日は、あんぱんで有名な「木村屋」ご子息であり、フランスパンで有名な「メゾンカイザー」の社長である木村周一郎さんの回だった。お家騒動で木村屋を継げず、あらたな道を見つけだしたんですって。

こうした番組では、ほぼ100パーセント主人公の「人生の底」とか「立ちはだかる壁」を見せる。主人公がそこからどうやって這い上がり、乗り越えたのかという部分——つまり波乱と起死回生のイベントがあると、見ている人はドキドキわくわくできるし、共感できるし、応援したくもなる。

お二人も例外ではなく、それぞれ価値観を揺さぶられたり、絶望的な状況に追い込まれたりしていた。
それでも前に進もうと考え、行動したエピソードを聴いてぼんやりと思ったのは「元気だなあ」。失敗や挫折を過大評価しないというか、拘泥しないというか……自分だったらくじけちゃいそう。

それで夫に「こういう人たちってほんとポジティブだよね」と言おうとしたのだけど、そのときはたと思い至った。
ポジティブなんじゃなくてネガティブなのかもしれないぞ、と。 

なんでかって、失敗や挫折に直面したときにも動じず、前向きに次のことを考えられるのは、人生がうまくいかないことに対してある程度「そういうもの」だと思っているからでしょう? ほら、宝くじが当たらなくても絶望しないのは、「まあ当たらないだろうな」って適度なネガティブを抱えているからで。

失敗や挫折は想定内。だからそれが起こらないように準備もするし、実際にそうなっても「やはり起こりましたか」と気にせずにいられる。「思ってたよりひどくない失敗だ、よかった」とすら思えるかもしれない。これは、ネガティブな発想と言っていいんじゃないかな。

逆に、失敗や挫折を過大評価しとことん落ち込んでしまう人は、裏を返せばそんな失敗や挫折に直面することを想定・準備していなかったってことだ。これはつまり「うまくいくはず」という期待に満ちたスタンスで、一見ネガティブに見えるけどもじつはポジティブな態度と言えるんじゃなかろうか。

私は底や壁に当たったときについつい落ち込みすぎたり悲劇のヒロインになったりしてしまうけれど、それは大きな「こと」が起こる前にポジティブでいすぎなせいかもしれないなと思った。あらゆることや人に期待しすぎというか、想像力不足というか。

「ネガティブな人」というと悪い印象を持ちがちだけど、精神をフラットに保つ上では「あらかじめネガティブでいること」と、「それに対応した準備をしておくこと」は案外大事なのかもしれない。

そんなことを考えた秋の夜長でした。

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わたしもスキです
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田中裕子

batonsのライター。編集、インタビュアー。本をつくったり、雑誌やウェブで記事を書いたり、イベントの司会をしたり。鹿児島出身、東京在住。保護犬の柴犬テンコがかわいい。 noteは平日毎日更新(予定)。https://tnkyuko.themedia.jp/

何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

コメント1件

はじめまして。
最近、似たようなことを考えていたのでコメントします。
私の場合は「怒らない」ことについてです。
怒らない人ってそもそも期待してないからみたいですね。怒らないことって一見良く見えるけど、期待しないっていいことなのかしら、と考えていました。

田中さんのこの記事を読んで、
見方を変えることも、変なこだわりを持たないことも大事なのかなぁと思いました。
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