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【能登半島地震・被災録】富山県射水市・お魚専門シェアキッチンの「助け合い」とその裏側【現地レポート】

グルメライターでもジャーナリストでもない私だが、被災地居住者として生の声を届けたい気持ちから被災録として記事を執筆する。

富山県射水市のお魚専門シェアキッチン「みなとキッチン」が能登半島地震で被災した飲食店主に店を無償で貸し出した。
2月6日7日の2日間限定で、石川県七尾市の150年以上続く老舗寿司店「松乃鮨」が出店。
珍しく新しい試みを地元ニュースが取り上げた。

能登半島地震から一か月が経過、被災地復興への試みを現地民の視点からレポートする。
本記事は全国の方々に届けたい想いがあり、web記事のメリットを活かし、多めの文章量に加えて細かな説明で語る。


1.シェアキッチンとは?

「シェアキッチン」とは、次世代に向けた飲食店ビジネススタイルとして厨房(調理器具、冷蔵庫等)と客席のみを設置。複数の利用者毎に期間限定で運営するキッチンおよび店舗のこと。店舗を始めたい方への実験的な場として利用されている。

今回紹介するのは富山県射水市の漁場に隣接する「みなとキッチン」(2022年10月開業)。
お魚専門をテーマに飲食店を運営出来る、全国的にも珍しい部類のシェアキッチンだ。

富山県射水市は能登半島地震の被災地ではあるが、「みなとキッチン」では2024年2月から「能登の飲食店・つづける応援プロジェクト」と銘打ち第1弾の企画が開催された。

出店したのは、石川県七尾市のお寿司屋「松乃鮨」。震災の影響から未だに営業出来ない能登地域店舗の1つである。

2.七尾市飲食店 被災による問題

ご存知の通り、2024年元旦の能登半島地震は能登地域に大きな被害を与えた。北陸は過去の実績もあり、地震被害の少ない地域として地元民が信じていた点からその落胆は大きなものだった。

地震発生から一か月後、七尾地域の漁港は完全とは言えないものの、冬が旬の寒ブリなどの水揚げが再開され活気を取り戻しつつある。
一方、飲食店では建物被害とともにに水道の断水が続き、まだ営業を再開できていない店舗が多い。
魚を調理して扱う店舗は、我々一般人が想像する以上に水を使い、衛生面にも気を配らねばならず復旧までに時間を要する。

今回出店した寿司屋「松乃鮨」の店舗公式HPでは、以下のようにスケジュールを提示している。

■スケジュール
・2024年1月~資金集め
・2024年3月~水道管の検査、店舗修復(断水解消予定)
・2024年4月~営業再開予定、支援活動開始予定

寿司屋「松乃鮨」の店舗公式HP 「地震の被害と六代目よりお願い」より

地震後の6代目店主の気持ちが綴られているページを紹介。詳しいことを知りたい方は下記を参照してほしい。
※再開に向けて、店主が支援金募集を公式HPで呼び掛けている。

3.射水市海岸部観光施設 被災による問題

能登半島地震の影響は石川県だけではない、能登地域は富山県氷見市も含まれている。また、氷見市に近い高岡市、射水市、小矢部市、富山市でも被害を受けた。

【参考】X(旧Twitter)名取 祐一郎(アニメ作家)@natoriyuichiro 作成図
(1/25時点)

出展:X(旧Twitter) 名取祐一郎  @natoriyuichiro 作成図(1/25時点)

地震発生から一か月後、富山県内地域の断水は解消された。しかし、射水市の海岸部観光施設「新湊きっときと市場」の建物および館内施設の損傷から今年3月上旬の再開予定。氷見市・高岡市の施設に比べて遅れる結果となった。

【参考】とやま観光ナビ (2024年1月29日情報)
新湊きっときと市場の臨時休業について

また、射水地区では漁業の被害が尾を引いている。冬を旬とするカニの漁獲量が大幅に減った。カニ漁のための船舶及び仕掛け籠(かご)の損傷、生息場所である富山湾地底の急激な変化など今も影響を受けている。

【参考】ヤフーニュース 2024年1月24日
“地震で富山湾の海底が変わった”新湊のカニ漁「元に戻るまで13,14年も…」被害の実態見えてきた 富山・射水市 

4.お互いの「足りない」を補う「助け合い」

今回の「みなとキッチン」の震災復興プロジェクトは、震災影響がなかった地域が被災地民を受け入れ復興支援を実施したものではない。
上記の説明からも特に稀なケースだということが伺える。

地震による断水等の影響により臨時休業となった石川県七尾市の店舗と
旬の食材・カニを安定して提供できない富山県射水市の店舗による
お互いの「足りない」部分を補いあった「助け合い」のタッグである。

第1弾プロジェクトは2日間で計100杯の海鮮丼が完売、無事成功した。
本プロジェクトから松乃鮨店主は元気と活力を取り戻し、支援した射水市内の関係者や利用客も同様だった。
被災する者同士が手を取り合ったこの成功例は全国的にも珍しい事例であり、口コミやSNS等で話題となり多くの人に広まってほしいと考える。

【今後について】

「能登の飲食店・つづける応援プロジェクト」は、飲食店主に向けて「みなとキッチン」が施設を無料で貸し出し、鮮魚を地元・孫七・川田水産が浜値で提供、新湊観光開発(射水市)の協力で旧第一イン新湊に無料で宿泊できる。3月末までこのプロジェクトを続ける予定で計画中とのこと。

今後の詳しい予定について「みなとキッチン」公式HP等で確認してほしい。

◆「みなとキッチン」公式HP

◆「みなとキッチン」X(旧)アカウント  https://twitter.com/minato_kitchen

◆「みなとキッチン」inttagram   https://www.instagram.com/minato_kitchen/


また、七尾市寿司店「松乃鮨」が気になった方は、支援金による応援や
4月予定の再開後に訪問してほしい。
※再開に向けて、店主が支援金募集を公式HPで呼び掛けている。

◆七尾「松乃鮨」公式HP


本記事はライター見習いが趣味と訓練を兼ねて執筆している。
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今後も不定期ながら復興の経過をレポートしていきたい所存だ。

以上

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