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米アレルギーを考える 高アミロース米復活に向けて

米アレルギーの主な原因

  1. グロマリン

  2. アミロペクチン

  3. 残留農薬

1.タンパク質(グロブリン)

米にはタンパク質が約8%含まれています。主なものは、アルブミン、グロブリン、プロラミン、グルテリンなどで、その中のグルブリンがアレルギーの原因のひとつでタンパク質の5%程(全体の0.4%)です。タンパク質は米の胚乳部に多く含まれているため、玄米や精白度の低い白米では多くなります。また、2.で述べますが、低アミロース米ではタンパク質が多くなります。

2.デンプン(アミロペクチン)

米にはデンプンが約70%含まれていて、アミロペクチンとアミロースの2種類です。このデンプンの0~30%がアミロースで、その含有量によって食味食感などが変わります。

アミロースと米の性質
米の品種とアミロースの含有量(デンプン総量に対する含有率)

3.残留農薬

 米の残留農薬によって起こるアレルギーが考えられますが、個人差があって一概に決められません。注意したいことが3つあります。

注意したいこと1 除草剤を使わないなどの無農薬栽培の米を求められる消費者が多くおられますが、水田の土壌の残留農薬を考えると、「無農薬」だから安全とは言えません。

注意したいこと2 農薬には水溶性の物と油性の物があります。油性の農薬は脂肪分の多いヌカ層に残留しやすいと言われています。玄米食は健康に良いとは言えません。

注意したいこと3 有機肥料として一般に販売されている牛糞・豚糞・鶏糞などが心配です。家畜が食べている飼料の中には成長促進剤・抗生剤・ホルモン剤…などの薬剤や穀物に残留した農薬などが含まれているかもしれません。有機肥料だから心配だと言えるかもしれません。

4.その他

 戦後米の品種改良が盛んに行われてきました。その狙いは、肥料による多収穫、食味の向上でした。

 多く収穫するために肥料対効果の高い米(作物)が開発され戦後の食糧問題を支えてきましたが、化学肥料の多投による負の遺産が食物アレルギーであるように思われてなりません。


コシヒカリとササニシキの系図

 かつて米の好みはモチモチ系のコシヒカリとあっさり系のササニシキで二分されていました。日本が大きな冷害に襲われて以来、ササニシキがほとんど栽培されなくなり、「コシヒカリでないと米ではない」という風潮が大勢を占めるようになりました。日本人の米の好みは低アミロース米に偏っています。この傾向は日本だけではないでしょうか。海外の米の主力は高アミロース米です。

健康面で多くの不調を抱えていた人の体験談
 海外に赴任することになり、食生活が大きく変わりました。米はパサパサしていて美味しくない。日本の米がとても恋しくなりましたが、体の不調はすべて解消していました。… 帰国して、懐かしい日本の食事に満足していましたが、体の具合がよくありません。医師に相談したら「(米)アレルギーですね」との診断でした。

 少しPRをします。私は「旭1号」という米を栽培しています。米アレルギーの消費者さんにたくさん買っていただいています。アミロース23%程の高アミロース米ですが、リピーターさんのレビューには「冷めた方が美味しい」というコメントが目立ちます。これは、一般的に言われている高アミロース米の性質とは随分違います。タンパク質・デンプンの含有量だけでは説明できないことが多いのだと思います。

 「旭」「愛国」「亀の尾」など品種名で米が呼ばれた初期の米です。この世代の米の掛け合わせで現在の米ができています。今では農水省の登録品種ではなくなっていますが、当時西日本では「旭でなければ米ではない」と言われていたようです。効率を求められる現代農業にはそぐわないのかもしれませんが、米の品種改良に人の体がついていけないようです。


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