オープニング

【イベントレポート】「TANECHIKAサミット ~知っているようで知らない食のアタリマエ~ 」#1

こんにちは。タネノチカラ広報担当のSakiです。
突然ですが、皆さんにとっての“食”のアタリマエにはどのようなものがありますか?

・朝昼晩3食欠かさずに食べる?
・野菜を食べると健康になる?
・野菜は傷のないキレイな形で、できるだけ大きいサイズのものを選ぶ?

東京でOLをしていた頃の私には上記のようなアタリマエがありました。
とはいえ、アタリマエとなっていることを見つめ直す機会ってなかなかないですよね。

そこで、タネノチカラでは先日、東京にて「TANECHIKAサミット~知っているようで知らない食のアタリマエ~」を開催。休日にも関わらず100名を超える方々にお越しいただき、特別ゲストを交えながら“食”に関する問題や、種を取り巻く環境、消費のあり方について共に考えました。

イベントでは、午前の部で元農水大臣の山田正彦氏や一般社団法人シーズオブライフ代表理事のジョン・ムーア氏より大きな社会の流れによってもたらされた私たちのは“食”の現状について講演いただき、午後の部でこれからの第一次産業を牽引していく若手起業家3名を迎えて“食”を身近に捉えた私たちの消費のあり方について議論しました。

(イベントの様子はSeedbed projectのホームページ(https://seedbed-project.localinfo.jp/)より動画にてご覧いただけます。詳しくは動画をご参照ください。)

■基調講演1:タネから考える ~私たちがつくるべき、次のライフステージ~(一般社団法人シーズオブライフ代表理事 ジョン・ムーア氏)

・私たちは自然と共にいきているはずなのに、いつのまにかその事実を忘れてしまっている
・人間が生み出したF1種や遺伝子組み換え種子のDNAの操作と搾取によって、100年前に比べて畑の生物多様性が80%消失
・F1種の作物は在来種に比べて、植物によっては栄養価が70%近くも低下している
・人間よりも古く、昔からある“タネ”は誰のものか。
それは、未来を生きる次世代のものであり、私たちが今、正しい未来をつくらなくてはならない
・本物の自然という特別で大切なギフトを次世代に繋げるべく、一人ひとりが真剣に考え、行動しなくてはならないタイミングにきている
・現状、95%以上の疾患は食べ物が原因と言われている(作られた種による野菜の栄養価は低下し、普段の食生活でほとんど栄養を摂取できていない)
・タネ、土、微生物。見えないものが、見えるものをつくっている
・全ては、ひと握りの種から。種は増やして交換し合い、共に育んでいこう
・採って、つくって、食べる、繋いでいくだけで(地元の)経済は自ずと発展していく
・「BIO DIVERSITY IS BIO SECURITY(生物の多様性が食の安全を守る)」
多様性こそが、私たちの未来である

■基調講演2:日本のタネと私たちの暮らし(元農水大臣 山田正彦氏)

・世界の流れは自然栽培、有機栽培へと向かう中で日本は逆行している
・日本は遺伝子組み換え商品の承認大国である
・遺伝子組み換えされた種は農薬もセットで購入が必要であり、その農薬に抗体のある種からできた作物は何らか心身に影響を与えかねない(実際に、海外では悪い影響が出てしまい、裁判へと繋がった事例が多数ある)
・種子法や種苗法、自家採取・自家増殖禁止など、それぞれの問題にしっかりと向き合い、行動を起こしていく必要がある
・日本は、グリホサートの残留農薬基準が世界で一番緩い。今の日本の未来を救えるのは私たち一人ひとりの意思とアクションにかかっている

■対談1:未来のシナリオ、そして私たちにできること(ジョン・ムーア氏 × 山田正彦氏)

・人間が人間のことを中心に考える時代は終わった
・私たちの“惑星”を守るという考えこそが、本物の未来をつくることであり、次世代へと繋がる
・誰が未来をつくるのか?政府ではなく、私たち一人ひとりのアクションである
・本来の種の居場所である畑や田んぼへまずは種を植えよう。そして、共に未来へ繋いでいこう
・消費者として自分の意思で、安全安心なものを見極めて購入しよう

■対談2:知っているようで知らない”消費”のアタリマエ(宮治勇輔氏×芹澤孝悦氏×金子大輔 ファシリテーター 加藤遼氏)

・まず、今目の前に起きている問題に関連する原体験を思い出し、自分事化してみる
・問題化されていることの何が問題なのか、構造を理解する(情報を自分から取りに行く)
・SDGsケーキ「環境の上に社会か成り立ち、経済が回る」という惑星の生態系に基づいた持続可能性を理解する
・自分にできることを考え、小さくても良いのでまずは行動へと移してみる
・小さいものから見つめ直す(食に直結していなくてもいい)
・新しい情報を求めて、初めて知ったことや学んだこと、体験したことを誰かに伝えてみる
・実際に種を蒔いてみる(未来を耕していく方法に触れてみる)
・安心安全な食べ物を食べてみる

***

本当に大切にしたい自分や家族、友人を、本当に大切にできる社会はどういうものなのか。
私たちは「本当に大切なものを、本当に大切にできる力、知識を多くの人と共有したい」と思っています。

これからも様々な「あたりまえ」を問い直すきっかけとなるイベントを定期的に開催する予定です。
次回もぜひお楽しみに♪

~最後までレポートを読んでくださった方へ~
タネノチカラでは共創型ファームビレッジ“Seedbed”の共創者を募集しています。自然農の体験ができる「Co-growing」プログラムへの参加はもちろん、別途ご要望に応じた研修の企画・運営(ニーズに合わせて内容カスタマイズ可)や都心でのイベント(テーマは“食と健康”“これからの社会のあり方”等)など一緒に面白い企画をしませんか?いつでもお気軽にご連絡ください!

【 登壇者 】
■弁護士・元農林水産大臣 山田 正彦氏
長崎県五島で牧場経営や肉屋の経営などの経験の後、弁護士として開業しサラ金問題に取り組む。1993年衆議院選挙に初当選し5期務める。菅内閣で農林水産大臣、農業者個別所得補償を実現。2015年1月「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」設立・弁護団 共同代表。2017年7月「日本の種子(たね)を守る会」設立・顧問。

■一般社団法人シーズオブライフ代表理事 ジョン・ムーア氏
アイルランド生まれ。英国シェフィールド大学卒。教師を経て、広告代理店に勤務。その後、電通に入社し日本へ移住。コピーライターとして活躍後、パタゴニア日本支社⻑などを歴任。現在は一般社団法人シーズ オブ ライフを設立し、種子の保護・育成活動に従事。ローカルシードライブラリー(種図書館)の設立支援やオーガニック教育プログラム、アーバンファーミングの推進、オーガニックガーデのデザイン、SEED to Products(種から作るオーガニック商品)のプロデュースなどを行っている。

■株式会社ビオアグリ 代表取締役 柏木 大樹氏
人材系企業に入社し法人営業に従事した後、持続可能な自然栽培農業のモデル構築を目指し、自然栽培グループ「ビオアグリ」を設立。淡路島を拠点に、全国・東南アジアでの自然栽培農業の拡大を目指す。

■株式会社みやじ豚 代表取締役社長 宮治 勇輔氏
実家の養豚業を継ぎ、2006年9月に株式会社みやじ豚を設立し、代表取締役に就任。生産は弟、自身はプロデュースを担当し、独自のバーベキューマーケティングにより2年で神奈川県のトップブランドに押し上げる。

■プランティオ株式会社 共同創業者/CEO 芹澤 孝悦氏
60年前に開発された元祖“プランター”をその当時の熱い開発マインドと共に今の時代にあった形で再定義し、次世代の新しい”人と植物との関りかた”を模索する三代目。

■Ravenart LLC. Founder/DEO 杉山 知己氏
パーマカルチャーデザイナー/コンサルタント
持続性の高い生態系と文化のデザイナー。自社事業と並行して個人やコミュニティのライフスタイルから企業支援によるソーシャルデザインまで多様な領域をまたいでデザイン/コンサルティングを行う。

■株式会社パソナ ソーシャルイノベーション部 部長 加藤 遼氏
(株式会社パソナJOBHUB 旅するように「はたらく」部長 /内閣官房シェアリングエコノミー伝道師)
シェアリングエコノミー、複業、リカレント教育を通じた新しい「はたらく」を創る事業やプロジェクトの企画・立上に取り組む。また、地域活性化ベンチャーファンドの事務局として、起業家の発掘・育成、事業インキュベーションを行い、出資先の事業開発・戦略担当役員も兼務。その他に、政府・自治体の政策委員や講演活動でも活躍。

■株式会社タネノチカラ 代表取締役社長 金子 大輔
知らないうちに身に染みてしまっている都市型の「あたりまえ」を再定義し、「持続可能」で「安心して子どもを育める社会」を作りたいと思い、それらの基盤である「食と健康」をテーマにした事業を立ち上げるため、淡路島に移住。

【 タネノチカラとは 】
東京から淡路島へ移住した男女4名が淡路島の耕作放棄地をパーマカルチャー(※1)的視点で整え、永続性の高い豊かな環境で健やかなコミュニティを育むことに挑戦しています。約3haの農地で共創型ファームビレッジ 「Seedbed」をつくるべく、自然栽培の農業体験やアースバッグハウスづくり、リトリートスペースの提供等の体験・滞在型プログラムを提供していきます。

(※1)パーマカルチャーとは
パーマネント(永続性)とカルチャー(文化)を組み合わせた造語。自然の生態系を参考にし、持続可能な建築や農業により、環境を含めて社会や暮らしを活性化するデザイン体系。

【 TANECHIKAサミットとは 】
永続性のある豊かな社会に向かって、知っているようで知らない日常のアタリマエを再定義し、新しい芽を育てるきっかけの場です。淡路島に移住した4人の若者が、3haの耕作放棄地から1000種の生き物が共生する生態系を育み、未来に続く健やかな場を築いていく[Seedbed Project](※2)の一環としてスタートしています。

(※2)Seedbed Projectとは
・“原点と豊かさ”の体験の共有
・次世代に残したい健やかな場所づくり
・多くの人と生物が共生することで生まれる、新たな社会(文化)の発信

【 タネノチカラの活動について 】
・facebook (https://www.facebook.com/seedbed.awajishima/)
・instagram (https://www.instagram.com/seedbed_awajishima/)

【本件に関するお問い合わせ】
株式会社タネノチカラ 広報担当 金藤(info@tanenochikara.com)

知らないうちに染みついた現代の「あたりまえ」を見つめ直し、安心して子どもを育める“持続可能な社会”をつくりたい。 全く性質の異なる、都会にいた4名が淡路島に移住し、共感者と共に「食と健康」をテーマにしたプロジェクト(#seedbedプロジェクト)を始動。