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コンサートホールソサエティ>ル・ルー指揮フランス国立放送管「ラヴェル管弦楽集」

まとめて落札したコンサートホールソサエティのレコードのなかに、まだ未入手だった盤がまじっていた。入札のときには気づかなかったので、得した気分になる。
モーリス・ル・ルー指揮フランス国立放送管弦楽団の「ラヴェル:管弦楽集」。「ボレロ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」など4曲。
ル・ルーは「赤い風船」という知る人ぞ知る名作映画の音楽などもてがけている作曲家でもある。日本には日本フィルを振りにきて、フランスの現代音楽などを紹介した指揮者だ。
フランス国立放送管弦楽団は覆面オケではない。れっきとしたフランスの名門といっていい。日本でいえばN響みたいな立ち位置だろう。
「ボレロ」は単純な構造なのだが、ひとつの作品として完璧なのではないだろうか。最初から最後まで同じリズムと旋律がくりかえされるだけのつくりなのだが、そこに起承転結があり、おおきな物語のうねりをふくんでいる。
パッフェルベルの「カノン」の構造とにている。あれもたんたんと旋律をくりかえしていくだけなのだが、足すことも引くこともできない究極の完成度をもつ名曲になった。

ちなみに、「ボレロ」はラヴェルが舞踏家のイダ・ルビンシュタインに依頼されて作曲したものだが、締め切りまぎわまで何も手をつけておらず、やばい、間に合わない、みたいな状況で大急ぎでつくったものだという。そんな促成栽培みたいな曲だが、作品そのものの魅力でこれからも時代を超えていきつづけていくだろう。

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