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コンサートホールソサエティ>ワルベルク指揮ウィーン国立響・ブルックナー交響曲9番

ヤフオクで50枚ほどまとまってコンサートホールソサエティのレコードがでていた。1970年代から80年代にかけてクラシックのレコードを中心に通信販売をしていたレーベルだ。私はコレクターとしてすでに350枚くらいのLPを集めている。ヤフオクを中心にして探してきたのだが、最近は持っていないLPがでてくることは少なくなっていた。
今回もジャケットをざっと見渡して、1枚だけ入手していないレコードをみつけた。
それがハインツ・ワルベルク指揮ウィーン国立交響楽団のブルックナー「交響曲第9番」だった。
コレクションの基本ルールとして、LP1枚1000円以上の値段はつけない、というのを守っている。しかし今回は50枚以上あり、写真をみるかぎりかなりコンディションもいいものがそろっていた。開始価格は1500円だったが、5100円でビットを入れておいた。ほしいレコードはたった1枚だが、50枚になおせば1枚100円レベルになる。
結果としては5100円で落札できた。一人せりかけてくる方がいたのだが、彼(彼女)は小刻みにビットを上げて、なんと5000円ジャストで降りてしまった。私としては痛しかゆしといったところだった。ほんらいならもっと安く買えていたかもしれなかった。しかしまあしかたがない。
コンサートホールソサエティの特徴として、いわゆる覆面オーケストラの演奏が多いことがある。たぶんほかのレコード会社との契約の関係もあって、有力なオーケストラの演奏をレコードにするのが困難だったのかもしれない。ベルリンフィルはグラモフォン、ウィーンフィルはデッカというように特定のレーベルがしっかりと押さえている。
だからウィーンフィルの演奏はないが、ウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏はたくさんある、といったぐあいだ。これはどういうことかというと、ウィーンフィルのメンバーは国立歌劇場管弦楽団のメンバーを選抜してコンサートにのぞんでいるので、実質的にはほぼ同じメンバーが演奏しているのにコンサートホールソサエティのLPでは後者の名前になっている。
ようは契約の抜け道というのか、デッカはウィーンフィルと契約してるので、国立歌劇場管弦楽団の他社のレコーディングに文句はいえない、みたいな話だと思う。

さて、そこでワルベルクの指揮したウィーン国立交響楽団だ。英語の表記だとThe Vienna state symphony orchestraとなる。ぐぐるとわかるが、じつはこの名前のオーケストラは存在しない。これもまた覆面オーケストラなのだ。
このオーケストラの正体はウィーントーンキュンストラ管弦楽団だと思われる。録音が1968年。ワルベルクは当時、トーンキュンストラの主席指揮者をやっていた(1964~1974年)。しかしトーンキュンストラがなぜ正規の名前ではなく、別名をつかったのかは謎だ。ウィーンフィルほど高名でなく、特定のレーベルとの専属契約はしていなかったと思われるからだ。いまとなってはほんとうの事情はわからない。

コンサートホールソサエティの覆面オーケストラでは、あのストコフスキーが指揮したニューヨークスタジアム交響楽団というのもある。なんなんそれ、と思う名前だが、これはニューヨークフィルなのだそうだ。ニューヨークフィルは、ワルターやバーンスタインの指揮するLPで名高いがCBSコロンビアからリリースされている。どうしたってマイナーな通販会社は別名にするしかないのはわかる。


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