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初めてのアウェイ遠征がクラブワールドカップになってしまった件①準備〜大会編

2023年5月6日、浦和レッズはサウジアラビアのクラブであるアル・ヒラルとの試合に1-0で勝利し、前の週に行われてた1st legのスコアと合計して2-1で勝利となりアジアチャンピオンズリーグ3度目の優勝を果たした。素晴らしい瞬間だった。しかしこの一方で自分にはある後悔の感情があった。それは「1週間前のサウジアラビアでの1st leg行けたなあ。行きたかったなあ」というものである。1st legの開催日は4月29日、ゴールデンウィーク真っ最中だったので行こうと思えば行けたのだ。そこで自分にある考えが浮かぶ。

そうだ、クラブワールドカップ行こう。

アジアチャンピオンズリーグでの優勝は大陸別王者による世界一決定戦であるクラブW杯への出場権獲得を意味する。この記事は、アウェイ遠征すらしたことがなく海外旅行に1人で行ったこともない浦和サポがクラブW杯を観戦するためにサウジアラビアに行った遠征の記録である。

クラブW杯に行きたいと思ったものの、自分は海外旅行なんて全くしたことがない。20年近く前に卒業旅行で韓国に行っただけだしそもそもあの時は韓国語喋れる友達に完全に頼りっきりだった。今度はマジで1人だ。しかしこのタイミングしかない。仕事は昨年末に転職したばかりということもあり上手く都合をつけられる(し、みんな休みはフレキシブルに取っている)。独身なので自分の都合だけで行ける(それはそれでどうなんだ、というのは置いておいて)。この状況でこのような機会を迎えられるのはこの時しかないかもしれない。だから行こう。そんな気持ちで腹を括り、まずは4月にサウジアラビアアウェイ遠征をした友達に話を聞くことに。6月の鹿島戦の後にお話を聞き、色々情報を得る。そして9月頭に日程が固まったところから一気に準備に入るのであった。

飛行機と宿の手配

まずツアーにするかという考えもあったが、初戦で負けたら短縮日程にして帰りたいという気持ちもあり、個人手配に。Expediaを使って手配した。が、結論から言うとなるべくなら使わないでダイレクトに予約を取ったほうが良い。Expediaを使った浦和サポの中にはホテルの予約が取られていなかったり別のホテルになってたりとトラブルが結構あった。自分もその例に漏れず航空券のチケットが姓名逆で予約されていた。このことは出発の日の成田空港のカウンターで発覚してとりあえず何とか出してもらえたものの帰りの航空券はそのあたり厳密なJALを含むこともあり、最終的にキャンセルして別便で取り直すことになった。価格に騙されず、直契約することをお勧めする。なお、ホテルはRed Sea Mallというショッピングモールにくっついているホテルにしたが、これは色々な意味で大正解だった。

パスポートは6月ごろに取得し、ビザは9月に取得。そう、サウジアラビアに入国するにはビザが必要なのだ。この辺の手筈は4月にアル・ヒラルとのアウェイ戦に行った先人たちの記録を頼りに難なく済ませた(因みに問題なければ数分でeビザを発行できる)。

準々決勝:浦和レッズvsクラブ・レオン

12月14日22:40成田空港発の飛行機に乗り、ドバイでの短いトランジットを経て12月15日の9時半頃にジェッダのキング・アブドゥルアズィズ国際空港に着陸。ホテルに荷物を預け、軽く着替えていざ出発。初戦はHISのバスツアーを予約していたので集合場所の別ホテルへ。バスツアー参加者は20人ちょいくらい(HISさんの本ツアー参加者+自分のような独立でとった人の合計)。ゆったり着席でスタジアムへ。駐車場のバススペースはスタジアムからかなり遠く、スタジアムまで日の差す中をひたすら歩いていくことに。20分かそこら歩いてゲートに到着する。しかしここから自分も含めた一行はセキュリティチェックに苦しめられるのであった。バッグのX線検査+自分自身の金属探知機での検査、さらにはバッグの中も空けて内容を細かくチェックされる。なるほどこれがアウェイの洗礼…ではなくFIFAの公式大会のレギュレーションですか。自分はここで充電ケーブルが引っかかることに。基本的に物は没収にはならずクロークに預けることとなるのはよいところ。そのクロークに行く途中で少しずつバスツアー一緒の人と打ち解け始める。
カバンを丸ごと預け、いざスタジアムへ。今回会場のプリンス・アブドゥッラー・スタジアムは第2会場的な位置付けで収容人数は25,000人程度。とはいえ会場内は装飾されておりアジア王者の展示もありで国際大会の「祝祭」感を味わうこともできた。

あちこちに掲げられていた「WELCOME THE CHAMPIONS」の文字

キックオフしてからはゴール裏でみんなで全力応援。前半を凌ぎ切り、後半途中出場したシャルクのシュートがキーパーの手を掠めてゴールに転がり込んでくあの瞬間、時が止まった気持ちになった。ものすごく歌い叫び、ものすごく喜んだ。今年の中でもトップクラスの嬉しい勝ちだ。これで次はマンチェスター・シティとの準決勝。そして自分の滞在も大会最終日までと確定した。

試合終了後にはレオンサポと会話する機会も。ユニフォーム交換を何度も求められたがこの後もこれ使うからって言って断ったwしかしながら終わった後のユニフォームなりグッズの交換はサポーター同士もあるのね、というのがこの大会に関する発見だったかもしれない。

準決勝:アルアハリVSフルミネンセ

大会を味わい切りたいという思いと共に準決勝のもう1戦である南米王者登場の試合も観ることに。そしてせっかくなので割と後の方になってから追加販売されたAl Jawhara(Hospitality Village)のチケットを購入。こちらはスタジアム敷地内のラウンジに入ることができ、その中で飲食もフリーでできるというもの。

ラウンジの全体感。奥に見えるはスタジアム
ビュッフェスタイル
ソファブース
サウジアラビアは禁酒なのでノンアルカクテル

料理は炭水化物多めだったのでそんなに多くの量は食べられなかったのだけど、静岡在住の日系ブラジル人フルミネンセサポーターの方から日本語で話しかけられてとても安心したりした。椅子たくさんでゆったり座れたしいい時間を過ごせた。

いい感じの雰囲気を味わった後試合へ。フルミネンセのサポーターは2000人くらいサウジアラビアに来たらしい(ちなみに浦和は400人)。しかしながらアルアハリのあるエジプトはジェッダから飛行機で2時間ということやそもそもアラブの連帯(去年のカタールW杯でのモロッコの応援が思い起こされるところだ)的なのもありスタジアムはアルアハリ応援勢でいっぱい。ブーイングや指笛もすごかったけど古代ブラジルサッカー感満載のフルミネンセが2点リードすると多くの観客は帰っていったのであった。しかしながら、「このアルアハリ(のサポーター)との試合はやりたくないなあ」と思った私でした。

自分のいる側の陣にボールが入るとみんなで立つフルミネンセサポ達

ちなみに会場がほとんどアラブかブラジルの人ということもあり自分は相当珍しい部類の人だったようで、ボランティアスタッフとかにも「どこからきたの?」とよく聞かれた。そこで「Japanだよ」と言うと「ジャパン!?オラワ!!」と返ってくる。さらに進んでいくと見た目だけで「オーオラワ!!」と声をかけられる。浦和レッズのこの国における認知度の高さと初戦での勝利の意義をひしひしと感じた日でもあった。

準決勝:浦和レッズvsマンチェスター・シティ

大一番。プレミアリーグを過去6シーズン中5回優勝している、ペップ・グアルディオラ率いる最強チームと浦和レッズの公式戦。相手がめちゃくちゃ強いのはわかっていたものの、試合をやる以上勝つことを期待して臨みたいし実際シティ自体も調子悪い上に超過密日程だったわけで勝機を見出せるのではないかと思っていた。しかし実際に見たらやはりシティは凄かった。みんな足が早く、周りをよく見ててポジション取りも良いので中途半端なスピードのパスなんかはあっさり取られてしまう。そしてパスは適切なスピードで的確な場所に飛ぶ。スーパープレイがあるわけではないがまずもってめちゃくちゃ上手い、そんなチームだった。完敗だったけど、いつかこういうチームと真っ向勝負して勝つ所を見てみたいなと心から思ったそんな日でもあった。

ちなみに会場のほとんどがシティのファンで開始前に「3-0!3-0!」と煽ってくるクソガキなんかもいたのだけど、フルミネンセのサポが終わった後に励ましの声をかけてくれたり開始前にもやたらアル・ヒラルのサポが声かけてくれたりでとてもいい交流もできた。国際的な大会に出ることの意味ってサポーターにとってもたくさんあるもんなんだなあと実感した日でもあった。(この辺は相対するのがしがらみの少ない他国のチームだから、というのもあるんだろうな)

3位決定戦:浦和レッズVSアルアハリ

泣いても笑っても最終戦。会場にはやはりアルアハリのサポーターが大挙して登場。しかし両方赤いから遠くからだと見分けがつかない笑

試合はジェットコースターのように感情が上下する試合だった。コンディションの問題もあったけど準決勝の時に見てた通りアルアハリは普通に強くて万全だったら勝てたのかというとそうでもないかなという気はしてしまう。当たり前のように足もパスも早かった。さすがのエジプトの名門だった。

終わったら終わったでノーサイドになるのが国際大会ならではなのか、終わった後はなんだかんだ「お前ら良かったよ!90分も歌い続けるなんてすげーな!」みたいな感じで声かけてもらえた。あと持ってたタオマフと旗を交換してもらった。使う機会はないかと思うけどいい記念になった。

アルアハリの旗

総合的な感想

サッカー的な感想はもっとたくさん語れる人がいるだろうと思いつつも少し話すと3位決定戦で負けて4位という結果自体はまあ妥当ではあった。選手達(特に小泉佳穂)のコメントにも出てるように普段できてることはそれなりにできて、できてないことはできなかったという感じ。しかしながらまず初戦に勝ってマンチェスター・シティやアルアハリといった強い相手と真っ正面から戦う機会を得られたことが今大会での最大の成果であったと思う。

自分はクラブW杯に行ったのは初めてだったのだけど、ピッチ内の闘いとピッチ外の交流は別という体験が新鮮だった。そして、浦和レッズが国際大会に出て一定の成果を出したことで大会に来てる様々な人から一目置かれるようになったと感じたし他国の方々から浦和の名前を(訛って「オラワ」になるけど)呼んでもらえるのは嬉しかった。サッカーっていいなあと改めて思えた素敵な祝祭空間だった。

こぼれ話をいくつか。

  • 自分が泊まったホテルはなんとクラブ・レオンの宿泊場所であった。試合の翌日にホテルのエントランスで鉢合わせて少し会話させてもらって写真も撮らせてもらえた。めちゃくちゃナイスガイだった。Jリーグに来てくれたらいいねえ

  • クラブ・レオン戦の次の日からホテルにフルミネンセサポが大量に止まり始めた。彼らとのコミュニケーションは特にしなかったんだけど試合のない日もいつもユニフォームを着てた。また、CWCのロゴの入ったオフィシャルっぽいバスに乗ってスタジアムに行っていた。

  • 記者の人とかYouTuberらしき人から「予想スコアを聞かせてよ!」とインタビュー(?)されることが結構あった。その度に毎回「1-0で浦和が勝つ」と答え続けていた(どの試合であっても、だ)

  • 負けた後に煽ってくる人には自分は遭遇しなかった(シティ戦の後とかはいたらしい)

  • 最終的には日本人(東アジア人)ってだけで「お〜オラワ!」って声をかけられるようになってた我々。僕は聞かれなかったけど「お前らオラワか、どこから来たの?」と聞かれてた人がいた

  • 3位決定戦の前に移動してる時に浦和レッズの選手バスと遭遇。前後をパトカーに警護されて渋滞に遭遇した時も道を作ってもらい回避していた

フルミネンセサポ御一行の乗っていたバス

総じて良い思い出になりました。CWC2025@アメリカも行けるなら行きたいですなあ。

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