「凪待ち」(白石和彌)



今さら褒めても遅いでしょうか?地方の上映はこれからかも。手放しで絶賛します。

いやあ、大傑作。スゴイな香取慎吾。普段の明るく楽しい慎吾ちゃんが微塵も存在しない。役者ですね。早くも今年の映画賞の主演男優賞は「半世界」の稲垣吾郎と香取慎吾の対決になりそうな予感がします。どちらも、地方で働く男ですね。キネマ旬報あたりは、稲垣吾郎と香取慎吾同点のW受賞でいかがだろう。100周年なんだからスター俳優にあげなさいよ。

白石和彌、全部観てるわけじゃないけど、本当に腕が鈍りませんね。観るとわかるんですが、犯人探しのサスペンスでは無いんです。家族の物語。

ここまではネタバレじゃないと思いますが、長年連れ添った恋人が殺害されるんですが、事情があって籍を入れてなかった。その恋人には娘がいるんですが、香取慎吾演じる男性を中心に、家族の形をどうするか、失意の中、日常は荒れ果て、そこから再生を目指すといった感じです。

脚本は加藤正人。この映画は都心から、まだ被災の傷跡が残る東北へと移り住むんですが、「彼女の人生は間違いじゃない」でも、都心と被災地を行ったり来たりする女性の映画の脚本を書いていたので、こだわりがあるんでしょうか。

エンドロールで気づきましたが、プロデューサーは椎井友紀子。「半世界」もこの人。かつて阪本順治作品を中心に傑作を世に放ち続けた人。また活躍が楽しみになりました。


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