「主戦場」(ミキ・デザキ)

「主戦場」The Main Battleground of The Comfort Women Issue(ミキ・デザキ)

なぜ長い英語タイトルを書いたか?意外と知らない人もいるだろうけど、これは日本映画でも無ければ韓国映画でもない。アメリカ映画。

以前に映画館で予告を見た時から気にはなってたんですが、ものすごい混んでてどうしようか悩んでいました。ただ、映画評論家のパイセンが褒めちぎってるのと、今度お会いする議員さんが観たというので、時間に余裕を持って昨日観に行きました。もうだいぶ座席に余裕が出てきたようです。

いや、スゴイ。大傑作だった。ドキュメンタリー映画でこんなに思考を揺さぶられた体験は近年記憶にありません。

序盤、杉田水脈(自民党衆議院議員)、ケント・ギルバート、藤岡信勝らが、ニヤニヤ笑いながら好き放題話すのを観て、大袈裟ではなく腹が立って握った拳から血が出そうなくらいだった。しかし、彼らの主張は客観的でロジカルな方法でことごとく論破されていく。しかし、その辺の見方は思想的スタンスで変わるかもしれません。

しかし、興味を削がないように細かく書かないが、映画は中盤から予想し得ない方向に進んで行きます。本当によくぞ作った。やはり、観なければわからない。

そして、この映画の登場人物の中でもキーパーソンの1人と言っていい人物が出てきて本当にビックリしました。まず、テレビとかには出てこない「黒幕」ではないか。オレも、しゃべってる姿は始めて観ました。

で、頭をグラグラと揺さぶられた状態でクライマックス。ある人物(従軍慰安婦の関係者ではない)の独白に、思わず涙が溢れた。ドキュメンタリーで涙したの、いつ以来だろう。

「無知は罪」という言い方があるけど、知らないことがあるのはしかたない。この映画の中で若い人たちが従軍慰安婦問題そのものを知らないという取材シーンがあるけど、教科書から消されてるんだから。どうして消されてたかも、この映画は追う。「知ろうとしない姿勢」がダメなのだ。

なお、今読んでる、とある対談集に、右翼団体の抗議に合いながら学生に従軍慰安婦問題を教え続ける、とある学校の先生がいる。そういう人もいる。

映画雑誌を購読してるので普段滅多にパンフレットを買わないんだけど、珍しく買ってみた。何人かの筆者が書いてるんですが、ある人が例え話でかつて朝鮮半島で日本人が起こした大事件の話をしていた。オレは知らなかった。知らなくて恥ずかしいと思った。オレは高校生の頃、歴史の研究に費やした。個人的に日本史の先生とやり取りしたり、祖父が書店を経営していたので読み耽っていた。歴史科目だけが成績が良く学校で表彰されていた。そんなオレでも全く知らなかった。もはや自慢話にもならない。


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