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LINEの新AIアシスタントを使ってみた:AIアシスタントの便利さと懸念点の考察

2024年2月22日、LINEヤフーはコミュニケーションアプリ「LINE」上で使えるAIを公開しました。月額980円ですが、今現在、規約に同意してから3日間は有料機能を無料で使うことができます。

本記事では、このAIアシスタントを使用した感想や懸念点について詳しくまとめます。

また、AIアシスタント全般の問題点についても改めて考察します。最近執筆した記事と内容が一部重複する点、ご了承ください。


LINE AIアシスタントで何ができるのか

プレスリリースからの引用です。

友だちとのトークと同じようにメッセージを送るだけで、調べ物をお願いできたり、仕事や宿題のアイディアをもらえたり、画像・ファイルの翻訳や要約、画像解析によるカロリー計算・レシピ検索などをすることができます。

引用元:プレスリリース

また、UIは違和感なくLINEに統合されており、使い慣れたユーザーにはスムーズに利用できるでしょう。

AIアシスタントの台頭とその重要性

AIアシスタントは、昨今様々なサービスに組み込まれつつあります。
Microsoftが提供するCopilotであったり、コーディングをサポートするGitHub Copilotや、AppleもSiriをアップデートするべく奮闘しています。

https://github.com/features/copilot/

そんな中で日常的なコミュニケーションツールとして活用されるLINEに、AIが組み込まれるというのは自然な流れでしょう。

LINE AIアシスタントを使った感想

以下、簡単に使ってみた感想と、ChatGPT4との比較を混ぜた解説です。
なお、プレスリリースに記載されている範囲では普通に使えたので、それは省略します。

物体の認識とOCR処理

物体の認識については、正直精度は低い印象です。

LINE AIより

ライトの方はいささか意地悪でしたが、コンセントは頑張って欲しかったですね。
他方、ChatGPT4は驚くような結果でした。

ChatGPT4より

文字が見づらいので以下にも記載。

この画像は、「Splatoon 3」というゲームに関連するアイテムを写したものです。画像の上部には、特徴的な眼鏡型の目を持つイカの形をしたライトがあり、下部には同じキャラクターが描かれた「Splatoon 3」の小冊子やガイドブックのようなものが写っています。テキストは日本語で書かれており、ゲームの名前とおそらく何かの説明またはタイトルが記されています。このゲームは、色を塗って対戦するアクションシューティングゲームで、多くのプレイヤーに人気があります。

これは非常に正確で驚きました。電源コンセントの方は、コンセントとは認識できているものの、USBポートと見てしまっています。ただ、最大1500Wであったり、そういう所は読めているのは素晴らしいですね。

こういった画像認識というのは、明らかに「りんご」と分かるものを聞く場面では使わず、何か分からないものを確認する際に使用するはずです。
そうしたときに使えるか、といった点では現時点でLINE AIは微妙かと思います。

その他の用途

LINE AIは上記プレスリリース等であげられたもの意外は現時点でできません。
例えば、特定のキャラクターになりきってもらうチャットもできません。

別にLINE AIで無くても良い話ですが、日常生活の些細な疑問の解消には使えます。

これをわざわざ課金してAIに聞くのか、という話かもしれませんが。

AIアシスタントの懸念

LINEに限らずAIアシスタント全般に言えることですが、大きく以下2つの懸念を覚えます。

  • 入力された情報の取り扱い

  • 誤った解答からの訴訟リスク

入力された情報の取り扱い

昨今、企業からの個人情報流出が盛んに取り沙汰されています。
個人情報の取り扱いもいい加減なのに、果たしてユーザーが入力した情報の流出を防げるのかは一般の利用者からしたら疑問です。

LINE AIより

上記のAIが言うようにリスクゼロは存在しません。我々もそもそも流出して欲しくない情報は入力しないなど、意識的な制御は必要です。

加えて、中の人が閲覧するのか問題も依然としてあります。
例えば、OpenAIのChatGPTや、GoogleのGemini、その他数多のサービスでは、機能向上のためにトレーニングされた中の人があなたの入力を見ますよ、と明言していることが多いです。
具体的にどのように閲覧するかは、その企業によってまちまちでしょう。本当に匿名化しているところもあれば、テスラやAmazonのように顧客をおもちゃにしているところもあります(全てのプロダクト、サービスでそうしているわけではなく、下記ニュースになっている範囲です)。

上記の事象から、イコールその他のサービスも同様に危険であるとは思いません。しかし、こういったリスクがあることは肝に命じておくべきです。

我々もどこまで公開するのかということは意識的に行うべきですが、法整備を進めて、一度でもこのようなことがあれば事業取り潰し、会社は顧客への補償会社とするなど、かなり厳しい措置をとるべきです。
概ね、企業に極めて優しい措置が多いように感じます。事業継続困難なレベルにするべきです。

誤った解答からの訴訟リスク

AIチャットボットの誤回答に関して、責任はそれを提供する会社にある、とする判例がアメリカで出されました。

今回であればエア・カナダに裁判所が損害賠償支払いを命じています。

なので、サービスを提供する側はこういったリスクがあることも考慮した方が良いかもしれません。もっとも、日本での判例では無いですし、この訴訟に至る経緯を加味する必要があるかもしれません。

人間とのコミュニケーションの減少

これは本筋から逸れるので軽く触れますが、LINEにAIが統合されたことで、リアルな友達との会話の機会がよりAIに奪われる懸念もあるかと思います。
コスパで見ると、AIとの対話は人間との対話よりコスパ良いです。
内容にもよりますが、まさしく中毒みたいになってしまう人も出てくるのでは無いでしょうか。(人の事は言えませんが🙄)

インスタを主体としてコミュニケーションをとっている世代であれば、まだ大丈夫そうですが、テキストベースだとどうしてもAIの方が正確ですし、賢いですし、面白いですし、何より相手の状況を一切考えなくて良いのは楽です。
AIとのコミュニケーションが身近になるに従って、こういった懸念も頭の片隅にでも置いておいた方が良いような気がしますね。

LINE AIに今後求めるもの

話を戻して、LINE AIに今後追加して欲しい機能についてで、ちょっと怖いですが、誰かとの会話履歴を参照出来るようにして欲しいです。
あの会話いつしたっけであったり、ふわっとした、曖昧なことを聞いて、いついつ会話していますよ、と提示してくれれば大変助かりますね。
また、その人の会話パターンを覚えて、AIによる自動応答もあったら嬉しいですね。そのうち、お互いAIを使って、なんか勝手に合意をとって、要約して知らせてくれると面白そうです。(ディストピア味が増しますが🤖)

まとめ

LINE AIに関しては、使ってみた感じ正直なところかなり紳士的だと感じました。Geminiよりいい加減ではないです。
孫正義のことについて厳しめに聞いても、回答してくれますし、変な忖度も無さそうです。
ただ、現在の機能で980円も払うかと言われれば悩みますね。それこそもっとLINEの機能と結びつけば可能性はありますが。
ただし、安いと言えばそうなんですよね。他のサービスはもっと高額ですから、リーズナブルで無制限で使いたいというのであれば、あり得る選択肢かとは思います。

おまけ

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