夏になると、あちこちで花火大会がある。電車の吊り広告なんかを見てると、この時期はほとんどの花火大会が終わっていて、たぶん今年も見れないなーと思う。でも、あんなに人が多くて暑いところには、できたら行きたくない。家から見える花火なら見たいけど、そうじゃなかったら別に見に行かなくてもいい。

そんなふうに思うようになったのは、たぶん30代からで、20代の頃は花火大会に行けてないことが、なにかとんでもないことをし忘れているような気持ちになった。

花火大会に行かなかったわけじゃない。女の子の友達や、仲良くなった男の子と何度か行った覚えがある。でも、私は大好きな人と花火大会に行ったことがない。そのことで、いつも私は、人生における大事なことができてないような惨めな気持ちにさせられていた。

思えばそれはスタンプカードを集めるようなもので、誕生日プレゼントに指輪をもらうとか、クリスマスにいっしょに過ごすとか、それも大好きな人と、そういうことをしたら、カードにスタンプがどんどんたまっていく。

私はずっと、そのスタンプカードをスタンプでいっぱいにしたかった。いっぱいにしたらどうなるのか？別にどうもならない。私のカードはスタンプでいっぱいですよって人にアピールするためだけのもの。でも若いときはそういうのが大事だったりする。

スタンプを集めることなんて、特に意味はないってもう気付いてるけど、じゃあ今はスタンプカードから自由かっていうとそうでもない気がする。もしかしたら、スタンプを集めたいがために子育てをしてるのかもしれないとも思う。そう思うと、ちょっと怖くなってしまうんやけど。