御糸さち「ねこのね」の解説を書いた

歌集の書評や解説なんかを読むたび、常々思ってた。
こんなこと、絶対やりたくないな、と。
書評も解説も、その内容について書かれているもので、
どんな魅力があるか、どんなふうに心動かされるか
そういったことか主に書かれている。
でも、書評や解説を読むたび
これは歌集の作者ではなくて
書評や解説の作者が試されている、と感じていた。
いや別に試されてはいないのかもしれないけど
そこには、歌集の作者ではなく
書評や解説の作者が丸裸にされている。
どのぐらい、その本と向き合ったのか
日常生活で、どんなことを大事に考えてるのか
どのぐらいの深さをもって、物事を見つめているのか
そんなことが詳らかにされてしまう。
そんなことは、絶対にやりたくない。

そんなことを考えていた。
でも、心配するまでもなく
私にそういったことが依頼されることは、まずない。
安心して、短歌界の隅っこで遊んでいればいい。

そんな私が、ほんとに単なる偶然から
御糸さちさんの歌集「ねこのね」の解説を書くことになった。
そんなこと、絶対したくないの気持ちの底に
彼女の短歌を読んだ時に受ける印象を
他の人とも共有してみたい、という気持ちが少しだけのぞいた。

そして、書いた。
私の解説は、歌集の中身を読んでからじゃないと意味がわからないと思うので
ぜひ、歌集を読んでから、解説も読んで欲しい。
丸裸になって書いたつもりだから。

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