少し前の話。
仕事に行く電車に乗っていたら、大学生ぐらいの女の子が乗ってきた。
つやつやしたロングヘアに、ふんわりとしたロングスカート。頬にはチーク。流行りのメイク。
「かわいいな」と思うと同時に「いいな」と思った。
「うらやましいな」と思った。
そして、そんなことを思ったが自分に驚いた。
「うらやましい」ってなんだ？
女子大生だって、悩みや大変なことはある。
そんな簡単に人のことをうらやましいと思うなんて、すごく失礼じゃないか。
それに私は今の自分になりたくてなったはずじゃなかったのか？
前に進んできたつもりなのに、過去の自分のいた場所がうらやましくなるなんて。

そんなことを考えていた頃、上本さんから川上さんと3人でネットプリントを出さないかと誘われた。
「わたしがふと思ってるのは、いま生きている環境が、学生・女社会人・子育てママと各の環境があるとおもうんです。それをそのまま読むのもいいし、なんていうか、お互いの生活、女として多角的に見せられるようなことできないかな〜なんて、おもってて」
と言われた。
そう言われて、女子大生をうらやましいと思ったことを思い出した。
そのことを2人に伝えてみた。
なんとなく、2人には伝わって、私の言いたいことをわかってくれた。

そこから、3人で話し合って今回のネットプリントのコンセプトができた。

タイトルは「else」
自分ではない他の誰か
でも同じ性を生きる女性同士
そんな立場の違う相手に
手紙を送り合うような
ボールをただ打ち返すだけのような
そんな連作を送り合った。
デザインは、奈良絵里子さんにお願いした。

女性にはもちろんだけど、男性にも、たくさんの人に読んでほしい。
久しぶりにそう思える作品ができた。

コンセプトはあえて書かない。
いろんな人が感じたことを聞いてみたい。

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