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Mリーグ「“逆”目無し」「“両”目無し」問題

こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。

先日、仕事関係の飲み会で会った取引先の若い女性がMリーグファンで、
セガサミーフェニックスサポーターでした。

ひどく酔っ払いながら、
「サクラナイツはもうさ、レギュラー突破カタいわけじゃん。だったらりおチャンにトップ譲ってよ。岡田マヂうざい」
とか言ってるわけです。

これは先日ボーダー争いが過熱している状況のとき、
オーラスでトップ目だった東城りおプロを岡田紗佳プロがマンガンツモでまくってトップをとったときの試合のことを指しているのでしょう。

「ていうかもう、プラスのチームはそんなガツガツしないでよくない?どうせ半分なっちゃうんでしょ?おとなしくオリてろよ」
と、到底取引先に聞かせてはいけないような言葉遣いとともに心情を吐露していきます。

近くの席にいたBEAST推しというアラフォーくらいの男性も完全同意していて、
この思考って少数派の意見というわけではないのか?と少し驚きました。

要は、ボーダーを切るようなことにはもはやなり得ない、
「“逆”目無し」
みたいなチームが、ボーダー争いにチャチャ入れんなよ、
という話なんですよね。

擦り倒された「上位の価値が低すぎる問題」が原因か

いま巷ではMリーグ2023-24シーズンのレギュラーシーズンが終わり、
「レギュラーシーズン上位の価値が低すぎる問題」
とかについて各所からお気持ち表明が出されている頃かと思います。

レギュラーシーズンでトップが離れすぎてしまったときに、
そのままセミファイナル、ファイナルと進むと結果が見えすぎてしまって興が削がれます。
セミファイナル進出時にある程度持ち点が減らされるのはエンタメである以上仕方のないことだと個人的には思うのですが、
これがレギュレーションで上位陣がポイントを積み重ねることによる効用を低く感じさせ、
「アンタのところはレギュラー通過できるんだからうちにトップ取らせてよ!」
の根本的な原因になっている気がします。

レギュラーシーズンでたくさん稼いでもあまり意味がない

だったらレギュラー通過が堅いチームはそんなガツガツしなくていいだろ

ボーダー争いしている推しチームと同卓しているときにトップ狙ってくんな

みたいな思考になるわけです。

そもそもこの意見を採用するとメリットを享受するのは推しチームだけでなく、
競合するボーダー争いしているチームも同じ条件になるわけで、
なら最初からボーダー4チームで直接最終決戦をしたほうがいいじゃん、
となるのであまり意味がない意見なのですが、
完全に感情的な意見としては、まあ、そういうのもあるよね、と理解はできます。

ショーとして上位陣がガツガツ行くのを後押しする根拠が少ない

Mリーガーとしては、セミファイナルでポイントが削られるにしても、
少しでも多くポイントをもって進出し、
少しでも通過や優勝の可能性を上げたいというのは当然です。

そして一人の麻雀プロとして、自分の個人スコアを上げたいのも当然だと思います。

しかしMリーグをエンタメとして捉えたとき、
どうしても上位陣の選手がガツガツとトップを取りに行く姿を、
ショーとして後押しする要素が現状のレギュレーションだと少ないのです。

MVPなど個人賞を狙える位置にいる選手は別にして、
どうしてもボーダー争いにスポットがあたってしまうため、
後半戦の戦いにおいてショーの主人公は雷電・風林火山・BEAST・フェニックスの選手、それとMVP争いをしている選手たち、となってしまいがちです。

そしてそれらの選手のトップを阻止したり、
ラスに突き落としたりするような上位層の選手は、
まるで悪役かのように見えてきます。

チームの入れ替えレギュレーション以外に、
個人成績による入れ替えレギュレーションなどがあればまだ別なのです。
(規定ラインを下回らないようできるだけ稼いでおく必要がある)
ただ現状それもないので、
特に個人賞に引っかかりそうもなく(個人賞目無し)、
チーム状況がそれなりに良い選手については(ボーダー切り逆目無し)、
「“両”目無し」ということになり、
対戦相手のボーダー争いしている選手のサポーターからすると
「いやオリとけや」
とか
「そんなガツガツトップ狙う必要ある?」
とかいう感覚が芽生えてきてしまうのでしょう。

昔の麻雀業界からは考えられない事態ではある

ただ、麻雀の放送対局で各選手やチームにファンがつき、
飲み会でこんな話が出るくらいの事態になっているというのは、
昔の麻雀業界からすると考えられないようなことです。

当然熱心なファンが増えるのは良いことだと思うのですが、
このままだとボーダー争いしているチームの熱狂的なサポーターから、
特定の選手がヘイトを集めてしまうことが増える可能性があります。

ちなみに冒頭の女性の例でいうと、
岡田プロはMVPを狙っていて、
ボーダー争いしていないチームの選手の中ではでは比較的トップを狙うストーリーが確立されているという、
個人賞についてはまだ「目有り」状態だったにもかかわらず、
この言われようです。

個人賞もまったく圏外で、チーム状況が良いというような選手が、
ボーダー争いしているチームのリーチに全ツッパして親跳満を直撃なんてしようものなら、
大変なヘイトを集めることでしょう。

個人賞とボーダー争い以外をどう見せるか

繰り返しますが、Mリーガーであり、麻雀打ちである以上、
Mリーグルールではポイント効率の良いトップを常に狙うのは当然です。

しかしとくにレギュラーシーズン後半はボーダー争いと個人賞争いにスポットがあたりがちで、
それと関係ない両目無しの選手が出てくると特定の層から理不尽に悪者あつかいされる可能性があるということがわかりました。

これを防ぐには、レギュレーションを変えない範囲でということで考えると、
実況解説ベースで個人賞とボーダー争い以外の選手の見せ方を工夫するしかありません。

色々言われていますが、
このへん、無理矢理ストーリーを乗っけていくというところでいうと、
色々言われてますがなんだかんだいって日吉プロ解説が一番うまくハマりそうな気がします。
というか想像がつきます。

例えば、ボーダーは余裕で超えていてチーム状況は良いが、
チーム内で唯一マイナスの成績になっている選手がいたときに、
そこにスポットをあててストーリーを乗っけていくとか、そういうことです。

運営側が細かく取材をして、過去のデータとにらめっこし、
対局に乗せられるようなストーリーを捻出するしかありません。

少々無理矢理なものも出てくるかもしれませんが、
要はボーダー争いしているチームのサポーターやMVP争いしている選手のファンたちに、
少しでも感情的な落とし所となる可能性のある要素を作ってあげることが肝要なのだと思います。


麻雀において目無し問題というのは昔からついてまわる未解決問題みたいなものですが、
ここまで大きいコンテンツになると目無しは目無しでも色々な形で目無し問題が出てくるんですね・・・

こういう形で逆目無し問題で怒っているファンがいるというのは、
正直考えたことがなかったので、
勉強になりました。

世間ではレギュラーシーズン終わっていると思いますが、
僕はまだ3月15日を視聴中なので、
「逆目無し、両目無し問題」を頭の片隅に入れながら、
ボーダー争い、MVP争いの様子を楽しみたいと思います。

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