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【タノム投資家対談 第1弾】スタートアップ70社に投資する有安伸宏氏が語る「良い起業家、良い事業」(前編)

チーム・タノムには、豊富な経験を持つ多くの投資家・VCが資本参加くださっています。そんな投資家のみなさんと、当社代表・川野による対談シリーズ。
今回話を伺ったのは、エンジェル投資家の有安伸宏さん。ご自身も数社の起業を経験し、現在は投資家としてタノムを含む数十社の成長に関わられています。
有安さんから見た「良い起業家」の条件。そしてチーム・タノムに期待されていることを、お話しいただきました!

有安 伸宏 起業家/エンジェル投資家
ユニリーバ・ジャパンを経て、2007年にコーチ・ユナイテッドを創業。2013年に同社の全株式をクックパッドへ売却。2015年にTokyo Founders Fundを共同設立。米国シリコンバレーのスタートアップへの出資等、エンジェル投資も行う。投資先はマネーフォワード、キャディ、Kanmu、MaterialWorld、レンティオ、WAmazing等、日米約70社。2018年に国内初のスカウトスキームを採用したJapan Angel Fundを共同設立。慶應SFC卒。 

※以下、敬称略

第一印象は「ピッチが、地味!」。

ーーお二人はどのような経緯で出会われたのですか?

川野:以前から当社に出資いただいていたエンジェル投資家の赤坂さんからのご紹介で、2019年の1月頃にお会いしました。「川野さんに相性の良いエンジェルの方がいますよ」という話をいただいて。
有安さんのことは以前からメディアで知っていたので、当初お会いするときはちょっと緊張しましたね、、

有安:あれ!?川野さん固くない!?

川野:えっ

有安:せっかくのインタビューなんだから、もうちょっと砕けていった方が良いですよ。川野さんめちゃめちゃ真面目だから。ほら、肩の力ぬいて〜〜〜

ーー有安さんのアイスブレイク力がすごいですね。笑

有安:初めて川野さんにお会いしたときの印象も固かったんですよ。「領域も事業も良いのに、ピッチが地味」という感じでした。笑
僕は海外のスタートアップにも投資していますが、特に向こうはピッチ上手い人がたくさんいます。でも、それよりも大切なのは事業の「市場領域・PMF・トラクション」。タノムにはこれが揃っていた。

ピッチが地味なのも、川野さんの実直さや誠実さの裏返しであることが少し話せばわかりました。

川野:「地味」というのは他のエンジェルからも言われますね(笑)。有安さんとお会いしたのは2019年の1月、ちょうどサービスのトラクションがで始めた時期。チームとしても少しずつ手応えを感じていたところでした。

「粘り強さ」と「思い切りの良さ」を使い分ける柔軟さ

ーー有安さんが出資される時に、起業家のどういうところを見ていますか?

有安:たとえば年齢とか経歴といったファンダメンタルな部分はあまり重視していません。事業領域の良し悪しは当然見ていますが、起業家さん自身にフォーカスして見ている点は「柔軟さ」ですね。

たとえば川野さんの場合、最初の事業を撤退するときの意思決定に、その柔軟さを感じる。

Chefy(当社が2018年末に撤退したミールキット 事業)は、サービス公開からどれくらいで撤退を決めたんでしたっけ。

川野:半月くらい経ったところで事業の難しさを感じはじめました。想定したような数字がなかなかでなくて。それで、結果的に9ヶ月で撤退を決めました。

有安:これは本当にすごい!普通の起業家ならなかなか決められないことです。想いをもって始めた事業だから辞めにくいというのはありますが、撤退するとなると、従業員や取引先、投資家などにも説明する責任が生じ、起業家を肉体的精神的に疲弊させます。

本当に大変なんです、ピボットって。

特にミールキット事業の場合、固定費や在庫コストなども出るのでなおさら意思決定しにくかったはず。

川野:そうですね。

有安:こういう思い切った決断を下せることは、起業家の素養としてとても重要です。その一方で、今のタノムの事業については川野さんの粘り強さというか、しぶとさを感じています。


ーーしぶとさ、というと

有安:食材卸のようなレガシーな領域で事業をつくることは、想像以上にタフなことです。「こんなに便利になるんですよ」ということを示すだけでは、ユーザーの心は動かない。お客さんに寄り添って、課題を徹底的にヒアリングして、粘り強くコツコツと向き合っていかないといけないですよね。

川野:有安さんのおっしゃるこの領域の難しさについては、ミールキットをやっていた経験、あるいは起業以前に外食チェーンで働いていた頃の経験からも強く感じていました。

食材卸の業者さんからしてみると、私たちは「外から来たIT屋さん」。よそ者に、卸売の苦悩がわかるものか、と。なので、当時は築地の市場に深夜から出向いて、一緒に出荷作業をお手伝いするなどして彼らの課題を「ジブンゴト」にするようなアプローチをしていました。

有安:「一緒に出荷作業をお手伝いする」。これくらいやりきる覚悟が必要な領域ですよね。

撤退→再挑戦から生まれた、「真の顧客目線」

ーー今回、「タノム」は当社にとって2個目の事業となります。第1号の事業を成功させられなかったことは、有安さんの目にどう映りますか

有安:そこは全く気にしていない、というか、むしろポジティブに捉えています。出資先の中には3発目・4発目の事業でムーンショットを描く起業家もいますし、それは喜ばしいことです。
先に話したように、ピボットというのは非常に体力のいる決断なので、それができる起業家、という意味でタフネスを感じます。

また、特にタノムの場合はミールキットの失敗があったからこそ、今の事業領域に気づけたと思っています。

川野:そのとおりですね。ミールキット事業を終了するタイミングで、お取引先に「何か私たちが解決できることはないか」という話を持ちかける中で、現在のタノムの構想ができあがりました。

チームの中にも受発注に対するインサイトが貯まっていたため納得感も高く、事業化に踏み切ることができました。

有安:当事者として顧客の課題を肌で感じることができることって、なかなかないと思います。B2Bの領域だと特に。川野さんの起業家としての密かな強みは、このあたりにあると思っています。

ーーいかがでしたか?対談の後編では、有安さんの目からみたタノムの「事業」としての魅力や、目指すべき未来像についてお話しいただきます。ご期待ください!

後編はこちらから

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