福岡・博多の魅力を音にのせて 筑前琵琶奏者 “寺田蝶美”さん

琵琶の歴史は古く、シルクロードから日本に伝わりそこから独自の発展が起こりました。様々な琵琶の種類がありますが、福岡・博多の地で誕生したのが筑前琵琶です。今に生きる琵琶の魅力を伝えている筑前琵琶奏者の寺田蝶美さんにお話を伺いました!

プロフィール
出身地:
福岡
活動地域:主に福岡ですがご依頼があればどちらへでもお伺いします。
経歴:4歳より祖母内田旭潮の影響で筑前琵琶をはじめる。嶺旭蝶師・青山旭子師に師事。青山学院大学日本文学科卒 NHK邦楽技能者育成会卒 2014年福岡文化連盟青木賞奨励賞受賞。2016年東京国立劇場にて演奏、阿蘇神社にて奉納演奏。2017年9月アクロス福岡にて開催された福岡アジア文化賞授賞式にて秋篠宮殿下同妃殿下の御前で祝賀演奏、11月には大濠公園能楽堂にて新作「桧原桜」を初演した。
現在の職業および活動:筑前琵琶奏者・教授。筑前琵琶保存会師範 博多蝶美会主宰 日本琵琶楽協会会員 福岡文化連盟会員。古典曲演奏のみならず、伝えたい文学・歴史を題材に自ら作詞作曲し演奏する。
座右の銘:感謝

「育てて頂いた博多の街への感謝を込めて」


Q.どのような夢やビジョンをお持ちですか?

寺田蝶美さん(以下、蝶美)  筑前琵琶を通して、大好きな地元福岡・博多の街を、もっと盛り上げるお手伝いをしていきたいですね。筑前という言葉からも分かるように筑前琵琶は福岡・博多の地で誕生した楽器です。ありがたいことに琵琶を通して今まで多くの方々と繋がってまいりました。琵琶の音や魅力を知って頂きながら感謝も込めて博多を元気にさせていただく事が出来たらと考えています。
それから特に次の世代に、筑前琵琶の魅力を伝えていかなければなりません。琵琶の演奏の技術はもちろん、その曲の背景や歴史も一緒に伝えていきたいです。古曲を大切にしながらも伝承するだけでなく更には私自身も新しい作品を作り、多くの方々に今に生きる筑前琵琶の弾き語りを聞いていただきたいです。作品のテーマとしては主に文学・歴史・説話などですが福岡・博多の事柄をたくさん取り上げていきたいです。地元で起こった戦いなどであっても案外なかなか知る機会がございません。琵琶の弾き語りで地元の事をもっと知っていただく契機になればと思います。これからは昭和や平成の事柄や文学も曲にしていきたいですね。琵琶の演奏を聴いて皆さんが場面や心情を想像したり感じたりすることを楽しんで頂けたら最高に嬉しいです。


Q.それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?

蝶美 今年から福岡教育大学の先生と、福岡における筑前琵琶について「残す」ということの取り組みを始めています。特に戦後から平成にかけての筑前琵琶についてです。昨年は東京から聞き取り調査の方がおみえになったりしましたがやはり地元の事ですので私たちの手で残していきたいという思いがあります。祖母が残していた古い新聞や雑誌の切り抜き、私が4歳より続けてきた琵琶演奏会のパンフレットや写真なども資料とさせて頂きます。
また、現在小学校一年生、高校生など琵琶を習いに来られている生徒さんがいらっしゃいます。きちんと演奏できるように基礎をしっかりと学んでいただき、将来更に新たな筑前琵琶の次の一歩を踏み出せるような後押しができたらと思います。
更には演奏をお聴きくださる聴者の方々にもっと関心を持って頂けるように精進と工夫をして琵琶ファンを増やすことも大切です。奏者も聴者も一緒に育っていけたら素敵だと思います。ダンスや他の楽器などとのコラボも既に取り組んでまいりましたが更なる発展や新たな試みも挑戦していきたいと考えています。常にチャレンジは続けていきたいです。


Q.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような活動をしていますか?

蝶美  今年も「博多どんたく」の季節となり、準備も始まりましたが、福岡教育大学の生徒さんの受け入れを始めて三年目となります。将来学校などを中心に音楽教育に携わる方々に筑前琵琶を体験していただくことは本当に意義あることと考えます。また、博多の祭りを通じて日本の音楽を肌で感じて頂きたいと思っています。
ありがたいことに私個人としては、様々な演奏の機会を頂けるようになってまいりましたが、 おさらい会を開催したりイベントに参加したりしてお稽古中の生徒さんたちにもたくさん出演の機会を作っていくようにしています。舞台に立つことで一層熱心に稽古に取り組むことができると思いますし、何よりも私がそのようにして育てて頂きました。演奏会が一つ終わるとまた次のイベントが用意されていて、その連続で琵琶を辞めずに今日まで続けてきたようにも思います。目の前の目標に向かって努力をし達成した嬉しさや上手くいかなかった悔しさなど、たくさんの経験をしてもらいたいと思っています。芸事に完璧というゴールはないのですがお客様からのお声に感謝して励まして頂き演奏活動を大いに楽しんでほしいなと思っています。


Q.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

蝶美 平成19年の夏にご縁があってスコットランドで演奏する機会がありエディンバラやグラスゴーを訪れました。日本人にしか琵琶の良さは伝わらないのではと思っていましたが、スコットランドの方々の方が日本人より反応が良かったのは意外でした。それぞれの家で家紋のようにチェックの柄を伝統として受け継ぎ、バグパイプの演奏をする現地の方々は伝統というもの、自分たちの国に無い琵琶に対してとても興味を持って下さり、尊重もしてくれたんです。受け入れて頂き喜んで頂けたのですが反省もありました。能・歌舞伎についてや日本のアニメーションについてなど様々な日本の文化について質問を受けました。もう少し自国の文化についてしっかり知り語ることができたら良かったなと思いました。英語力の問題ではなく、語るべき何かを持っているかいないかの問題だと気が付いたんですね。筑前琵琶も演奏だけではなく、楽器についてや歴史についても一緒に語れることが必要だと感じました。
それから、「日本に行った事があります。東京、京都、大阪知っています。福岡はどこですか?」とも聞かれ、世界から見たら福岡の存在感がまだまだ薄いと思いました。「次に日本へ行く時には福岡に行ってみたい」と思って頂きたいなと思いました。ここでもしっかりと福岡について語りたいと思いましたし、生まれも育ちも福岡である私は郷土の歴史を改めて振り返りたいと思いました。福岡に住んでいる多くの方々に、地域のことについてもっと知ってもらいたいと思ったきっかけでもあります。


Q.その発見や出会いの背景には、何があったのですか?

蝶美  幼少よりいわゆる環境先行型で続けてきた琵琶でしたが、高校生になって進路を決めなければならない時期を迎え、ここまで「少しでも上手くなりたい」の一心でお稽古を続けてきたけれど大学に琵琶科は無いしということでどうしようかと思っていました。そんな時、祖母が「琵琶を続けてくれたら嬉しいけど、あなたか幸せに生きるために琵琶があるならいいね」というようなことを言ってくれました。凄くラクな気持ちになって逆に琵琶を続けようと思ったきっかけとなりました。大学では古典文学を専攻、今となっては琵琶の歌詞を書くことに大いに役に立っています。琵琶のおかげで中高生の頃、古典の時間が好きでした。最近は古典の時間も削られがちであるようですが非常に残念な気がします。日本人として日本語の美しい響きや七五調の音の流れなどを大切にしていきたいし伝えていけたらと思います。
私は博多の街に育てて頂きました。だからこそ、琵琶を通してこの地域のために何か自分にできることはないかと考えます。ご縁を頂いた皆様に楽しんで頂けるように福岡の街を中心にこれからも活動をしていきたいと思います。時には世界に出ていくことも大切ですが「筑前琵琶を聴きに福岡に行こう」というお客様が増えたら嬉しいなと思います。地元発祥の楽器で地元の歴史や伝承、観光に関わるところまで紹介しておもてなしがしたいと夢は膨らみます。琵琶の演奏を楽しんで頂くために最近はレジュメを用意したりPowerPointを活用したりと新しい試みにも取り組んでいます。

記者 とても地域に対する愛情が深いですね。蝶美さんの演奏を聞いて博多に興味を持ってくれる方も増えるように感じました!貴重なお話ありがとうございます!

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蝶美さんの活動、連絡については、こちらから↓↓
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筑前琵琶奏者 寺田蝶美の公式HP


【編集後記】
インタビューを担当させていただいた風見、清水、吉村です。
お話をする中で琵琶の歴史から福岡・博多の歴史など、博多の魅力を改めて感じました!また地元に対する愛情深さが、きっと蝶美さんの演奏をより一層魅力的にさせていると感じました。これからの活動も応援しています!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。



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清水七央子

神戸出身。福岡在住。生命誕生に興味があり、生物学科専攻。一時期、日本が嫌いで海外に飛び出すが、結局どこに行っても社会を創るのは「人間」であり、「出会い」であることを実感。日本からはじまる新たな社会モデル・組織モデルを創る活動しています。

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