福岡から世界に「楽しい」を しくみデザイン代表 “中村俊介”さん

体を動かせば誰もが演奏できる音楽アプリ「KAGURA」や、大人も子どもも簡単にプログラミングが楽しめるアプリ「Springin’(スプリンギン)」を生みだす「しくみデザイン」。福岡から世界に「楽しい」を発信し続けている、しくみデザイン代表の中村俊介さんのお話を伺いに行きました!

中村さんプロフィール
出身地/活動地域:滋賀で生まれ、群馬、名古屋を経て福岡に住み着く。福岡を拠点に、世界で活動中。
経歴:名古屋大学建築学科、九州芸術工科大学芸術工学専攻を経て、2005年にしくみデザインを設立。2013年にはインテル主催のコンテストで世界一となるなどUX分野の先駆者として注目を集める。芸術工学博士。
現在の職業および活動 :株式会社しくみデザイン代表取締役、クリエイティブ教育ラボ所長。世界中すべての人を表現者にするべくAR楽器KAGURAやビジュアルプログラミングツールSpringin'等を開発・展開中。
座右の銘:『楽』

「自分が楽しいと思えることを追求している人が、そのまま生きていける世界になる」

Q.どんな心のあり方や認識の変化が、今のしくみデザインの活動につながっていますか?

高校を卒業して僕は名古屋大学の建築学科に進んだんですが、実は建築を選んだことに深い理由はなかったんですよ。大学でデザインをやろうと考えたときに当時の僕には建築しか浮かばなかったってだけなんです。名古屋大学を選んだのも、入試に僕が得意な方式があったからというのが大きかったんです。

でも、そんな理由で入ったので大学での建築の勉強にはあまり身が入りませんでしたし、それなりに学んでいる過程の中で建築がやりたいことではないなって気づいたんです。

当時の僕は自分が考えたものは、全部自分で最後まで作り上げたいって気持ちが強かったんですね。
でも建築って究極の分業で成り立っているんです。設計と施工は明確に分かれているし、そのそれぞれの過程でもそれぞれの持場があって、他の分野からは口を出しづらい。じゃあ自分で最後まで作ることができることを学ぶにはどうしたらいいだろうと考えるようになったんですね。

そこで先生から「ここが合ってるんじゃない?」と紹介されたのが九州芸術工科大学、現在の九州大学芸術工学部でした。だったらそこの大学院でちゃんとデザインの勉強をしようと思って一年浪人をして進学しました。

でも芸工大でも路線変更をすることになります。
僕は建築学科で専門知識を学んでいたこともあって絵を描くことは得意だと思っていたんです。でも同じ研究室の学生の絵を見るとみんな僕よりうまい。それどころじゃない。大学院生の僕より学部の1年生のほうが断然うまかった。当たり前ですよね。みんな絵の勉強をして大学に入ってくるわけですから。僕がこれから必死に練習してもこの差は埋まらない、勝負にならないなと感じました。

そんな中、同じ研究室の4つ下でずば抜けて絵が上手い人と一緒に作品をつくることになったんです。彼には絵を書いてもらって、コンセプトデザインなどは僕が考えることにしました。つまり全部を自分でやるのではなく、それぞれが得意分野を分業する体制をとってみたんです。そうしたらこれがうまくいったんですね。お互いが無理せずにすごくいい作品ができた。しかも賞まで取れた。これがしくみデザインを立ち上げるきっかけのひとつになりました。

僕が得意なことってほんの小さな分野なんですけど、それ以外の僕の苦手なことを得意にしてる人って世の中にいっぱいいる。そしてそういう人たちで集まったらトータルでなんでもできる「法人」になる。これが起業の醍醐味なのかもしれません。ちなみにさっき紹介した、一緒に作品を作った4つ下のずば抜けて絵が上手い人が今のしくみデザインのチーフデザイナーです。

Q.AIが活躍する時代に必要とされるニーズとは?

いちばん大事なのは、状況を分析して受け入れる力だと思います。

AIによって仕事がなくなるってことが話題になりますけど、本来ならやりたくない仕事をせずに生活していけるならこんなに素晴らしいことはないじゃないですか。

AIに限らず技術の進歩は必ず起きること。そしてその技術が社会と関わることで生き方や働き方が変わるのは不可避なんですね。つまり前提と考えていたことが前提じゃなくなっちゃう。そしてその前提が変わった社会で生きていくためには、そのなくなった前提の下に隠れていた「そもそも」を掘り起こして考えることが必要になると思いますね。加えて少し厳しいことを言えば、もうなくなってしまった前提にしがみついていろいろと邪魔をしてくる人をスルーする力も大事でしょうね(笑)

AIで仕事が減るという観点だと、そもそも仕事とはなにかってことを考えないといけないんです。なんで仕事をするんだろう? それはお金が必要だから? でもお金を稼ぐことと仕事をすることは本当にイコールなのかどうかとか。

AIによる自動化が進んだ社会では多分労働時間が減るでしょう。
そうなると余暇の時間が増える。今後はこの余暇の時間をどう過ごすかということが今まで以上に価値として問われるようになります。つまり楽しさを作り出す力、つまり創造性が重視されるようになるわけです。

創造性って才能のように思われているけど、そんなことはありません。鍛えることで伸びていくんですよ。実際に子どもたちは遊びや勉強の中で創造性を高めていきます。ただ成長の過程でさまざまな理由から伸ばすのをやめてしまうんです。だから創造性を訓練する機会を増やすことが今後求められていきます。

2020年から小学校で必修化されるプログラミング教育も、この創造性を伸ばす一環として導入されるんですよ。プログラミング人材を増やすことだけが目的ではないことに注意してほしいですね。

今しくみデザインで作っているビジュアルプログラミングアプリの「Springin'」は、大人でも子どもでも簡単に自分の作りたいものを作ることができます。「作るって楽しい!」という経験をしてもらうことにフォーカスして作っているんです。

「やりたいことをやりましょう」とか「作りたいものを作っていいんだよ」なんて簡単に言ってしまいがちですが、やりたいこととか作りたいものってそうそう簡単に見つからないじゃないですか。やりたいことが見つかったとき、それを実現する具体的な手法はその時に学ぶことができます。ただその学びのベースとして「作るって楽しい!」という気持ちは絶対必要です。作ることが楽しくなかったら、そもそも作ろうと思いませんからね。

Q.美しい時代を創るために気をつけていることは何ですか?

普段は自覚しているわけじゃないんですが、考えてみると「我慢しない」ってことかもしれません。

例えばやる気が出ない日。無理やりやる気を出そうとしても、出せるものではないですよね。そんなときは素直に「やりたくないなら、やらなくていいよね」「やらなきゃいけないことはあるけど、いつまでにやればいけるかな?」というように考えて行動していますね。しんどいことはしんどいし、嬉しいことは嬉しい。嫌なことは嫌。あまり飾らずに自分をよく見せようとしないことが楽に生きるコツなのもかもしれませんね。

あとはやりたくないことはやらないこと。無理やりやるんじゃなくて、やりたくないことをなるべくやらずにすむ方法を自分で一個一個調べています。

とはいえやりたくないことを全部カットするわけにもいかないじゃないですか(笑) そんなときにそれをやるかどうかの判断材料から「偉い人が言ってるから」とか「みんなが言っているから」という要素をなるべく排除するようにしています。

もちろん自分の判断に自信がないときは他人に意見を求めることはありますよ。自分と意見が違ってもあえてその人の意見を取り入れるケースもたくさんあります。でも意見を求めるのは僕が信頼できる、自分よりその分野のことを知っている身近な人にしています。

どんな人かわからない、いわゆる有識者の意見は気にしないようにしていますね。そういう有識者がメディアで語る「世の中の常識」には疑問を持つことが多いので。参考にはするけど、それだけが判断の基準にはならないし、しないですね。

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中村さんの活動、連絡については、こちらから↓↓

●SHIKUMI DESIGN

●KAGURA - CHANGE YOUR MOTION INTO MUSIC

●Springin' スプリンギン - 世界にひとつだけのアプリをみんなに届けよう!


【編集後記】

インタビューの記者を担当した清水と古川です。

『自分の人生を一文字であらわすと「楽」』とおっしゃる中村さん。
ご自身の心に素直に生きている自然体な話し方と、笑顔が印象的でした。
お話する中で、中村さんの「楽しい」を追求する心が「KAGURA」や「Springin’」の誕生に繋がっているのではないかと感じました。
今後もどんな「楽しい」が誕生していくのか、とても楽しみです。

貴重なお話、ありがとうございます!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


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清水七央子

神戸出身。福岡在住。生命誕生の秘密を知りたく、大学では生物学科専攻。一時期、日本が嫌いで海外に飛び出すが、結局どこに行っても社会を創るのは「人間」であり、「出会い」であることを実感。日本からはじまる新たな社会モデル・組織モデルを創る活動しています。

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