マッチ売りの少女

とある寒い地域にマッチを売る少女がいました。
「マッチはいりませんかよく燃えるマッチですよ」
道行く人は見向きもしません。
「今日誰もマッチを買ってくれないと家を追い出されてしますわ」
そんな危機的状況に陥られた少女に無慈悲に吹き狂う風は、みるみるうちに少女の体力を奪っていきました。
「マッチは要りませんか?」
「そんなものを使わなくてもライターがあるので結構です」
「あぁ 今時マッチを買ってくれる人なんていないのだわ」
ライターのある現代ではマッチを買ってくれる人などいませんでした。
そしてついに限界を迎えたマッチ売りの少女は、マッチを燃やして暖を取ることにしました。
マッチを一本燃やすとそこには亡くなったはずの御婆様の姿が見えました。
「なんで御婆様が見えたの?」
マッチ売りの少女は不思議に思いました。
もう一本もう一本と繰り返していくと、あっという間にマッチはすべてなくなってしまいました。
「あぁ ついにマッチまでなくなってしまいましたわ。どうやってこの体を温めましょう」
するとそこに寒さをもろともしない、タンクトップに短パンのマッチョが近づいてきました。
「かわいそうに寒いのかい?寒いなら一緒にうさぎ跳びをしないかい?」
「この際体を温められるのなら手段は、選びませんわ。いいでしょううさぎ跳びをしましょう」
そして1キロもの距離をマッチョと一緒にうさぎ跳びをしました。
マッチ売りの少女は寒くなるたびに筋トレをすることにしました。
それから長い月日がたちマッチ売りの少女は筋骨隆々になっていました。
そしていつしかマッチ売りの少女はマッチョ売りの少女になっていました。


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