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陰陽論がスゴイっていうはなし②

前回の続きです。

東洋には「陰陽論」という独自の思考フレームワークがあります。これは西洋にはなく、いかにも東洋っぽさに溢れたツールなのに、日本人も含めた現代人の東洋人が意外と知らない(というか、無意識レベルでは理解してるはずなのに自覚がない)、そんな「陰陽論」のお話です。

※前回を読んでない方はコチラを↓

おさらい

まず前回のおさらいです。
陰陽論とは「あらゆるモノやコトは、必ず”陰”と”陽”の二つの性質を持っている」という”世界の見かた”で、それぞれこんな感じで定義されます。

陰・・・充実、革新。対象の内側に向かっていく側面
陽・・・成長、発展。対象の外側に向かっていく側面

この陰陽に基づく世界観を表現した図式が、陰陽図とか太極図とか言われてるこのマークです。

西洋にも、モノ・コトを分けて考えていくことで世界を捉えようとする「二元論」という考え方があります。対象を2つの側面に分けるという点では西洋も東洋も違いはありませんが、東洋の陰陽論は「2つに分けるだけでは留まらない!」っていうのがこのポストの主題です。

名付けて「ココが凄いよ陰陽論!」と題して、陰陽論のスゴイところを3つ挙げ、前回はその1番目「矛盾もOK!」を紹介しました。

①矛盾もOK!
②取りこぼさない!
③未来予知もできる!

----ここまでおさらい---

ということで、今回は②を紹介します。

ココが凄いよ陰陽論②取りこぼさない!

取りこぼさない」って、いったい何を取りこぼさないのかというと、それは「モノごとの全体像」です。どんなモノごとにも、自分から見えやすい側面と見えにくい側面があります。見えやすい一方に目がいってしまうあまり、もう一方の側面を見落としがちです。そんな時、この陰陽論のフレームで対象をとらえると、思考のモレがなくなる(かもね)ということです。

「側面」とかいって、何だか小難しいことを言ってるように聞こえるかもしれませんが、そんな大したことでもなくて、よくよく考えればものすごくフツー(というか、当たり前)に聞こえることです。

具体例でいきましょう。

例えば、経済成長

経済成長」って、どんな国や企業にとっても「良いこと、喜ばしいこと、目指すべきこと」ですよね。なぜなら、経済が成長すれば国や会社は豊かになり、そこに暮らす人々の生活水準が向上し、幸せに繋がると考えられているからです。日本は戦後の焼け野原から急速な経済成長を遂げ、一気に先進国の仲間入りを果たしました。その日本を今度は中国が急速な経済成長で追いつき2014年に追い越しました。発展途上にある東南アジアやアフリカの国々は今現在も経済成長を主目標として掲げています。このように産業革命から現代まで世界中が皆「経済成長」を目標に走り続けてきたわけです。

この経済成長は陰陽論でいえば「成長・発展」の外に向かう側面なので""にあたりますが、経済成長とは物質的な豊かさのことですから、""である「経済成長」に対して、充実・革新の""の側面はと言うと「精神充実」です。この「精神充実」の側面が、経済成長の裏でずっとおろそかになってきたと考えます。というのも、経済成長という””の側面に世界中が偏って注力してきたあまり、環境破壊や公害が発生し、粉飾・汚職、ハラスメントといった問題が起き続け、さらには過労死やワーキングプアといった問題が出てきたわけです。物質的な豊かさにばかり目がいって、心の豊かさを求めることが犠牲になってきました。今、マインドフルネスやスピリチュアルな文化や精神性が世界中で求められているのは、これまで””に偏りすぎた反動とも言えます。このように精神充実をおろそかにした経済成長というのは「ブレーキのない車」と同じです。アクセル全開。そしていつかクラッシュ。怖いですねw

もっと身近な例えでいうなら、例えば「人の性格」。

世の中には「自己主張が強い人」と「自己主張が弱い人」がいると思います。両者を陰陽論で考えるとこんな感じでしょうか。

例えば「自己主張が強い」という性格は、それ自体が良いとか悪いとかいうことではなく、その性格には「良い面」と「悪い面」の両方があるわけです。同様に「自己主張が弱い」という性格も、それ自体が良い悪いなんてことは決してなくて、やはり「良い面」と「悪い面」の両方があるわけです。世の中、自己主張が強い人より自己主張が弱い人の方が下に見られがちな風潮がありますが、それはとても偏った危険な見方だと思います。

要するに

長々と例をあげてきましたが、有り体に言ってしまえば、物事には必ずプラスの面とマイナスの面があるんだよ、ってことです。よく「旨い話にはウラがある」といいますが、あまりにプラス面ばかり見せられるとマイナス面の存在を強く疑ってしまうのが人情というものです。しかし、世の中はとても複雑なので、その人情が常に働いてくれるとは限らないわけです。うっかり、陽もしくは陰の部分しか目に入ってないときがあります。そんなとき、この陰陽論を思い出して「あれ?これってブレーキの付いてない車じゃね?」とか「あれ?デメリットとしか思えなかったけど、これってむしろメリットじゃね?」と気づくことができたりします。

最後に:陰陽和して元となす

中国古典思想では、この「陰と陽の両面で考える」ことを

「陰陽和して元となす」

という言葉で表現します。文字通り、陰と陽の両方があって初めてひとつ(全体)を表すんだよ、という意味です。

③はまた次回に。。。つづく。

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