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QUANTAリトリート沖縄①

そんなこんなでバタバタしながらも私はQUANTAリトリート沖縄に無事参加することができた。
沖縄での4日間の出来事をどのように書いたらいいのか、帰宅して一ヶ月近く経っても正直ずっと分からないでいる。
でも今ひとつだけ確実に言えるのは、もしこのリトリートに参加していなかったらと考えると、本当にゾッとする、ということ。

☆彡

2023年3月26日、沖縄に向かう数日前から私は風邪をひいていた。
子のインフルからは時間が経ってるしただの風邪だと思っても、もしホテルで高熱が出たらと思うとまた恐怖がむくむくと湧いてきた。
一瞬、キャンセル…という思いがよぎったが、私にとっては高額な参加費を全額無駄にするわけにはいかない!という貧乏根性のおかげで思いとどまる事ができた。

前日よりは体調はいいがそれでも若干の風邪をひいたまま私は那覇空港に降り立った。
途端、身体中が緩んだ。
沖縄にいるだけで満たされる。
沖縄が死ぬほど好きだからこそ、ここに来るのが怖かった。
死ぬほど好きな場所なのに、喜びより過去の自分の悲しみが勝ってしまったら、もう他に救われる場所が無いと思っていたからだ。
でも頭の記憶とも年月とも関係なく、身体はすっかり生暖かい空気に馴染み、私は変わらず沖縄が大好きなままだった。
一人でも私は大丈夫だった。
それがとても嬉しかった。

リムジンで1時間、宿泊するHIYORIオーシャンリゾート沖縄に到着すると、まだ何も始まっていないのに私はすでに狼狽えていた。
私の知ってる沖縄旅行といえば離島、民宿、ペラペラのワンピースにビーサンを引っ掛けてレンタサイクルで海に行き、島で唯一の商店でアイスキャンディーを買って食べ、コンクリの狭い風呂で水みたいなシャワーを浴びて、食堂で他の宿泊客とご飯を食べて、夜の桟橋へ行き寝っ転がって星を眺める。
と、常にそんな感じだったので当たり前のように汚れてもよくて乾きやすくて動きやすい恰好とリュックで来たが、そのことをものすごく後悔するほど、そこは完璧なリゾートホテルだった。
一気に顔が赤くなるのを感じながらもなるべく動揺を出さないようにフロントでチェックインし、案内されたエントランスのソファに座ると、恐らく同じリトリートの参加者の方たちが周りにたくさんいて、みんな綺麗な格好をして落ち着いて談笑していた。
完全に場違いなところに来てしまった恥ずかしさで下を向きそうになる。
みんなアクセサリーを付けて、身なりやバックも綺麗で、私みたいに(精神的にも状況的にも金銭的にも)悲壮な覚悟を持ってここに来ているような人はいないのではないだろうか。
私だけ貧乏くさくて恥ずかしいな…そう思い、流石に何ひとつ下調べせずに望んだことを後悔した。
でも、もし調べていたらそれはそれで気後れして私にはやっぱり場違いなのでと辞退していたかもしれないし、とにかくもう現状こんな感じで来てしまったのだから仕方ない。それにそもそも綺麗な服とかヒールとか革のバックとか持っていないじゃないか。とにかくこの4日間、目立たないように過ごそう。きっと参加者の誰とも話せないだろうし、セッションとか受けてサクッと帰ろう。
そう思いながら無理やり顔を上げてウェルカムティーを飲んでいた。
そんな私の目の前には渋い感じのダンディなおじさまが座っていて、落ち着いた様子でウェルカムティーを飲んでいた。
お一人なので商談とかのお仕事だろうか。もしくは社長さんのバカンスという感じだろうか。
そんなことを考えているとホテルのスタッフの方がこちらにやって来て、リトリート参加者への説明を記載した封筒を差し出した。
と思ったら向かいのダンディな男性が受け取ったので、まさかリトリート参加者だと思ってもみなかった私はものすごく驚いた(が顔には出さないよう咄嗟に気をつけた)。
ホテルの方からカードキーを受け取り滞在中の説明を聞き終えるとスマートに席を立ちエレベーターの方へと向かわれたこの方は、今回のリトリートに参加している2人の男性のうちの1人で、お名前はkenさんだと後に知った。

ホテルもすごいし、QUANTAリトリートって、もしかして社長とかセレブとかが参加するやつだったのか!?と自分の場違いさにどんどん恥ずかしくなりながらも、私はとにかく不安を絶対顔に出さないようにと必死でポーカーフェイスを決め、大きな窓の向こうに見える沖縄の青い海をしばらく見ていた。
沖縄にいる!ということだけが、その時の私の唯一の救いだった。

つづく


より良い表現ができるように励みます。ありがとうございます🌷