見出し画像

夜明けの中山道で見つけた小さな秋。

小さな春、小さな夏、小さな秋、小さな冬。この中で1番しっくりくる表現が秋な気がしますが、秋って小さい方が魅力的に感じる気がします。秋は小さくなければいけないのでしょうか。

そんな秋の訪れを迎えるために出た週末の小旅行記はこれで、3作目。鎌倉編、山梨編に引き続き今回は長野に突入です。

奈良井

さて、5時半ごろ快活クラブを離れ、朝の冷え切った空気で深呼吸。目を開けると360度どこを見渡しても、山々の稜線が、明るくなり始めた空にくっきりと浮き出てきています。中でも、西に見える穂高連峰は朝日に照らされて、ピンク色の雪を見ることができます。

長野県民は羨ましいですね。毎朝こんな雄大な景色に囲まれて、1日を開始できるなんて。昨日は夜のうちに到着したので、何も山の存在は確認できませんでしたが、今いるのは松本平のど真ん中。そりゃ、山に囲まれていて当然です。

塩尻駅は朝から東京方面、松本方面、名古屋方面の分岐点として列車の往来が激しい様子です。貨物の長い編成が爆音を鳴らしながらホームを通過していく様子も見られました。

ここからは、中央西線に乗車して、中津川方面を目指します。少しすると、両側を山に挟まれた木曽路らしい車窓が始まります。

ここらへん、中山道六十九次を塩尻宿から辿ると洗馬せば宿、本山もとやま宿、贄川にえかわ宿、奈良井ならい宿と続き、街道の賑わっていた当時の情緒が至る所から染み出しています。最高です。数分揺られて、奈良井駅で下車します。

まず駅舎が古い。良い。明治の時代から改築されていないであろう駅構内も、ポスターだけが時代を塗り替えてきたような内装で時代が止まった感じがします。

駅を出て左手に進むとすぐに、宿場町の様子が見えてきます。見ていて何故か理由はわからないけど、心が落ち着く街並みです。

気温は1℃。まだ、太陽光が差し込んでこないため、宿場町は冷え切っていました。誰もいない静かな奈良井に、かつての宿場町としての賑わいを想像しながら、シャッターを切り続けます。

宿場町の1番奥まで行って戻ってきましたが、いくらでも時間が潰せます。この町は、京都方面へ向かう旅人にとって、この先に待ち受ける鳥居峠に備える最後のお休み処。どこを見渡しても、江戸時代から時間が止まったような佇まいです。

宿場町特有の町の始まりと終わりにある鍵状にカクっと曲がった角も「鍵の手」として名所になっています。

その近くには、これまた、宿場町でしか見れない高札場の再現跡もあります。こういうの見ると宿場町に来たんだと実感ができるので、心が躍ります。

そのほかにもアイストップが多く、10m進むのに10分かかってしまうほど、歩いていて飽きない場所です。次に来る列車で塩尻へ戻らなければいけないことが恨まれるほど、時間を忘れて奈良井の宿場にどっぷりと使っていたいですが、帰らなければいけません。

駅に戻ると地元の人たちによって、町の清掃を行う集会が催されており、未来永劫、この宿場町の美しさを保っていこうとする姿勢が伝わってきました。

相変わらず駅の雰囲気が素晴らしい。8時台の上り列車で塩尻へ戻ります。塩尻駅では、日本で1番入口の狭い駅そば屋である「桔梗」にて、かき揚げたまごうどんを食べました。

こういうのはなんだかんだで最高に美味しいです。常連客と店員さんの馴れ馴れしい会話を聞きながら食べる感じが、なんとも言えない駅そば屋感で好きでした。

ここまでで信州編の前半が終了です。次回は軽井沢・碓氷峠編。塩尻から松本・篠ノ井経由で軽井沢へ向かうところから始まります。

この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

38,123件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?