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「君たちはどう生きるか」で気になったセリフ5つ

忘れないために備忘録的に書いてるので、そこまで深掘りはしない。なので、あまり期待はしないでほしいが、もし何かあれば、ぜひ意見頂きたい。




先週の7月14日に「君たちはどう生きるか」が公開された。公開直後から星の数ほどの考察がなされ、無限の解釈がなされたこの作品を、個人的に作中で違和感を感じたセリフから振り返ってみる。

僕は、今日までに3回見た。

1回目は、公開初日の朝8時の初回上映で見た。映画館を出て、さっとシャワーを浴びたような感覚になった。今の2時間はなんだったんだろうって。

2回目が、実質初めてみたいなもので、なるほどなるほどと、あらすじを噛み砕くように見た。世の中に出回っている考察と重ねることで、その真偽を確かめるように努めた。

3回目は、この物語を通して、宮﨑駿は観客にどのような心の動きを与えたいのか、考えながら見た。

どこで泣いてほしいのか、そもそも泣かせることを想定していないのか、大人たちは何を受け取ってほしいのか、子どもたちに何を伝えたいのか。少しだけわかったような気がしたが、やはり細かくはよくわからない。

映画全体を通じて、登場人物がなぜその行動に及んだのかには、無限のハテナしか生まれない。そこで、一つ一つのセリフに着目することで解読を試みたい。

ひとまずここでは、5つの気になったセリフを取り上げる。深い意味までは提言したくないので、あまり期待はしないでほしい。



1つ目「鳥目」

消えた夏子を追いかける眞人が、森の中に入り込む時、それをやめさせようと着いてきたキリコが発するセリフに、暗いところでは目が見えなくなる「鳥目」という表現が含まれる。

おばあちゃんの口から出てきそうな言葉ではあるが、普段、日常生活ではあまり聞き慣れないこの単語の「鳥」という部分。その後の展開を示唆させる何かを感じる。考え過ぎかな。


2つ目「いい子だからおいで」

産屋に眠る夏子を呼び覚まそうと、ヒミが口にするセリフである。ジブリファンなら察したかもしれないが、この「いい子」という表現。

ナウシカが王蟲を目覚めさせるシーンや、サンが乙事主に言い聞かせるシーン、千が坊を諭すシーンなど、過去作品でも多数登場するこの表現は、宮崎駿なりの「母性」を表現する一つの手段なのかもしれない、とか思う。


3つ目「火は素敵だ」

最後、時の回廊で一堂が会して、ドアの前の短い間で別れを惜しむシーンでヒミがこういうセリフを発言する。

眞人が「元の時間に戻ると空襲で死んじゃうよ」と、ヒミに伝えると、「火は素敵だ」と会話のキャッチボールが続く。

若干噛み合ってないように聞こえるこの会話の中で、「火」は「素敵」なものだと言及される。

これもジブリファンなら、ピンとくるかもしれないが、ナウシカの住む風の谷の住人が、土と水は綺麗だが、「あまり火は使いなくない」と火の使用を極力避けたい世界観を明らかにする。

宮崎駿の頭の中では、「火」に対する特別な思いがあるように囁かれている。


4つ目「ごぶんご」

迷い込んだ塔の中で、青鷺男を矢で仕留めるシーンでは、「風切りの7番」という言葉が登場する。

直後、大叔父(?)によって赤い薔薇が上から落とされ、地面に接した瞬間ガラスのように割れ、粉々になって蒸発する。この描写もかなり謎が多いが、続いて畳み掛けるようにして謎なセリフが連続する。

それが、床にのめり込みながら青鷺男が発する「ごぶんご」というセリフである。語源も、意味も、全くわからない。

もしかしたら単純に僕が知らない、検索しても出てこない日本語だけなのかも。


5つ目「読みかけの本」

頭の良すぎる大叔父が、本を読み過ぎて頭をおかしくし、読みかけの本を残して、姿をくらましたと言う伝説が言い伝えられているという。

ただ、おそらくこれは作り話で、のちに真実が1人のおばあちゃんから語られるが、どうもこの「読みかけの本」が引っかかる。

眞人もたまたま発見した母親の遺言が残る「君たちはどう生きるか」という本を読みかけにして、夏子を助けにいく決心をする。

この映画の転換点でもある、「君たちはどう生きるか」という本との出会い。物語の仕組み上でもあり、宮崎駿本人の自叙伝的な人生経験の中でも、大きな意味を持つ「本を読む」という行為には、色々な意味が込められていると思う。


以上、まだ3回しか見ていないから全容が掴みきれていないし、全容を掴むことが果たしてすべきことなのかも、わからなくないが、ひとまず気になったセリフを5つだけ挙げた。

随所にこれまでのジブリ作品のオマージュと思わせる展開や作画、セリフが滲み出ているこの作品は、噛めば噛むほど楽しめる、スルメのような作品であることは間違い無いと思う。心の底から自然と涙が出てくるまで、もう何度か映画館に足を運びたいと思う。

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