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"The LEPLI" ARCHIVES-88/ 『 師走の気ぜわしい日々に、』

文責/平川武治。
初稿/2012年12月12日。
写真/ Mr.& Mrs.Marick Sidibe's the hands' on BAMAKO '11

「師走の不安定な日々のこのごろ。
どうか,”自心で自心を豊かに”
そして,おおらかに今年が終えるいい時間に。」

 きっと、皆さんもご存知の愉しいバレー-ヴィデオを2本,
僕からの少し早いクリスマスプレゼントです。
大切な共とお楽しみください。

その壱は/
 This original is a "The Figural Cabinet (a ‘mechanical cabaret’) by Oskar Schlemmer on '27/8."

 あのBAUHAUSのメンバーの独り,Oskar Schlemmerが
当時のバウハウスの演劇科の生徒たちと’27年から創作したバレーを
’70年にイタリーのバレー劇団が再演したヴィデオです。
 愉しいです。美しいです。
 
 ここでは、”コスチュームとは?”が考えられるヴィデオです。
今では,舞台衣装を手掛ける人たちが多くなりましたしが,
その多くは美の根幹のルールが抜け落ちて,
TVゲームか、アキバのバリエーション。
 このシュレンマーの作品からは人形を演じる人間たちの
人間らしさがプリミティフに感じられる作品です。

 此処には人間の引きつりから生まれる”ギャグ”は無く,
持ち得た人間のゆとりから生まれるユーモアが有ります。

"http://www.youtube.com/watch?v=8c6B7VKfdW4">http://www.youtube.com/watch?v=8c6B7VKfdW4

 その弐は/
The Blood of a Poet (French: Le Sang d'un Poete) (1930)

 少し時代が過ぎた’30年のあのJ.コクトーの有名なアヴァンギャルドな
作品、"The Blood of a Poet // Le sang d'un poète" (1930)です。

 J.コクトーを語るなら、一度はこのヴィデオを見た人たちでしょう。
このヴィデオを知らずにコクトーを語っている人はみんないい加減な人でしょう。

 このヴィデオはあのM.レイの恋人でもあり,アシスタントでもあった,
L.ミラーが撮影した、最初で最後のムーヴィー作品です。
これ1本しかムーヴィー作品を撮影をしていない作品が
J.コクトーのものであるのも面白いです。

 そして,主演が
当時、ドラッグクイーンとしてアメリカから英国へ渡りその後、巴里へ。
そして,その名を欲しいままにしていた、当時の社交界の超有名人BARBETTEがシャネルを着て演じているのも見物。
 彼は20世紀が間もなく始まろうとした1899年12月19日に生まれた
文字通り、元祖"DRAG QUEEN" です。
巴里では当時の社交の場であった,The Casino de ParisやThe Moulin Rouge,等で人気を博し、その後はアメリカへ帰りもちろんハリウッドへ。
そして,確か,'79年まで生きていたはずです。

 もう独りの主人公は,
あのEnrique Rivero。
彼はチリ生まれ(1906–1954)で'20年代に巴里へ来る。
彼もまた,この時代の社交界に君臨した美男子男優で,
ピカソ、モディリアーニ、マンレイ,ガートルドスタイン、
ガブリエル-シャネル、リーミラー
それに、ノワイエ子爵たちと交流があった。

 音楽を担当しているのは,
フランス人作曲家,Georges Auric (1899 〜1983)。
彼も当時,コクトーが主謀して結成された前衛グループ,
”Les Six”のメンバー。
後のコクトーの映画作品、”La Belle et la Bête/美女と野獣”の
音楽も手掛けた。

 そしてもう一つ,
この作品の制作費の出資者はCharles Vicomte de Noailles.
僕も昔、’97年頃から初めは,審査員として招待して頂いた
あの巴里のファッションデザイナーへの登竜門と既になってしまった,
”Mode Festival de Hyères/イエールファッションコンテスト”の発祥の地、
Hyères/イエールのメイン-シンボルン会場になっている
館のオーナーでもあった、Charles de Noailles子爵でした。

 当然,このLa villa Noaillesの建築家は,
当時のフランスモダニズムの黎明期に於ける建築家,
Robert Mallet Stevensの作品。
南仏イエールという場所柄をそのまま,モダニズムへ置き換えたような,
地中海の空気感を’23年に設計デザインしたもの。

 余談だが、このLa villa Noaillesを確か’90年代初めに
あのK.ラガフェールド氏が写真に凝り始めた初期に,
”La villa Noailles”を撮影し,1冊の写真集を作っている。
僕は来日した彼からこの写真集を貰ったので覚えている。

 Jean Cocteauの創作意欲とその活動に
この時代の文化が爛熟した巴里の社交界舞台、
そこで活躍した各方面の人々が此れ程までに集まって
この1作の短編映画を制作する。
素晴らしい時代だったのですね。

[ Jean Cocteau+Man Ray+Lee Miller+Gabrielle Coco Chanel
+Georges Auric++BARBETTE+Enrique Rivero
+Charles Vicomte de Noailles=Le Sang d'un Poete ]

"http://www.youtube.com/watch?v=BAqxEq4ylb4&feature=endscreen


 みなさまどうか,お愉しみと共に,
”師走選挙へ”、ご自心の”決断/リスク”を忘れずに。
そして,新たな,可能性多きお年をお迎えください。
合掌。
相案相忘。

文責/平川武治。
初稿/2012年12月12日。


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