宮古島のサトウキビ畑でジャマイカを思いだした。

大好きなレゲエミュージックが生まれた、ジャマイカを思い出しながら、サトウキビの収穫と黒糖づくり体験をして来た。


今、ジャマイカに住んでいる黒人の祖先は、1500年前半、砂糖を作るためのサトウキビプランテーションなどの強制奴隷労働のために連れてこられた。
ジャマイカ原住民のアワラク族は、白人による集団虐殺や酷使であっという間に絶滅。そして、ジャマイカは、アフリカから連れてこられた黒人の島に変わった。17世紀後半になると、ジャマイカは砂糖輸出の世界の中心地となる。

この曲は、私はいまバビロン川の辺りで天国を思い出している。巨大なシステムによって、知らない土地に連れてこられた私はどうやって神に捧げる歌を歌えばいいのだろうか。そんなことを歌っている、melodiansの名曲「rivers of babylon」。レゲエ界は色恋の歌も多いけれど、敬虔なラスタマンの歌もあって、そのギャップが面白い。

ところ変わり、日本でのサトウキビ栽培は、江戸時代初期1600年初期に琉球、奄美に伝わる。琉球、奄美では、島津藩の苛烈な糖業振興のもと、1713年に初めて「大阪市場」への流通がはじまり「商品」としての砂糖ができあがる。

一方、高価な砂糖の輸入による外貨流出を防ぐために、8代将軍吉宗も本格的に力をいれはじめ、琉球、奄美から、苗を取り寄せ、江戸や全国でのサトウキビ栽培を試作させる。

その中で、現在の川崎である武蔵国大師河原、池上幸豊が研究の末、独自の製糖法を生み出し、製糖普及の全国行脚に向かう。1764〜1784年の間に全国24箇所をまわった。

将軍吉宗がサトウキビの栽培、製糖政策を始めてから、およそ60年後。池上氏の行脚の末、努力が、讃岐の地で、ようやく身を結んだ。

それが、和三盆である。和三盆は「竹蔗(ちくしゃ)」という四国在来種のサトウキビからできている。製品開発から8年後の1790年。大阪市場に出荷できるほどの量産に成功し、そこから讃岐は日本一の製糖地として名を馳せることとなる。

讃岐の土壌は稲作には不向きで、作物不良が続いていた流れの中で、竹蔗の生産が農家の希望となった。「上質な砂糖をつくろう」という農家の栽培や製糖への熱心な研究心が、いい土地でいい種をつかうということだけではない、和三盆のブランドを産んだのだ。

あれから200年以上の時がすぎ、場所は宮古島。新たな砂糖づくりに、たったひとりで挑戦している人がいる。オルタナティブファーム宮古の松本さんだ。家族旅行で宮古島に来て。この島の海・太陽・空が大好きになり、移住を決めた。関東で自動車メーカーのエンジニアから一転、興味を持ち始めていた農産事業を始めたそうだ。

初めの数年は通いながら、サトウキビ畑で研修をし、(師匠みたいな方が数人いるそう。)6年前に移住。移住後は就職はせず、起業農家として活動を始める。

松本さんのこだわりは、無肥料無農薬の自然栽培。刈り取りも手刈り(機械だとどうしても、ネズミにかじられた部分や、傷んだ部分の原料が混じってしまう。)で行う。そして、サトウキビを絞ってから1時間以内に、加工をはじめることだ。(キビジュースの状態では、すぐに酸化(劣化)してしまう)

扱う品種は、農林21号、農林25号、農林15号、北中1号 の4品種が混在していて、 今は色々と試してみた結果、収量・糖度からして、農林25号に絞っていこうかなとのこと。

日本酒をつくる酵母も「協会9号」とか名前が付いているけれど、サトウキビも「農林25号」とか、そういう名前が付いている。

すべて自然栽培の全種25号で作れたら、相当面白いだろうなぁと思った。「おいしさ」の世界は相当フェティッシュな世界なので、細かければ細かいほど、売れる。

たとえば縄文時代は「お米」は「お米」だったのに、今は「あきたこまち」やら「こしひかり」やら、品種と産地と作り手と作り方と。様々な分類がされていく。

性癖にくらべたら、もう相当な分類があり。しかも、性癖だったら「え、、まじかよ、おまえ変態じゃん、、、、」とヒカれることでも。食へのこだわりは、ポジティブに「ヘンタイ」という言葉が使われるし、ワインに詳しかったら、知識と教養とがあると見なされる。故に、どんどんとフェティッシュ化がすすむ。

だから、松本さんの砂糖も、コーヒーやチョコレートのようにシングルオリジン(ブレンドではなく、単品種からつくるもの)で勝負できたら、それこそ竹蔗からつくられる和三盆のように、味と誠実さが伝わるものになって。食材フェティッシュな世界で、もっと愛される商品になると思うのだ。

松本さんのサトウキビからつくった砂糖の魅力については、ソルトコーディネーターの青山志穂さんが詳しく紹介しているので、気になる方はこちらをどうぞ。


なんと、現在、好評につき、売り切れ!!で悔しくも買えなかったのが非常に残念だったけれど。味見はさせてもらったが、なんとも美味しかった。和三盆に比べると野生の味というか「キビ感」がつよい味だった。

奴隷として強制労働させられていた仕事を。自ら望んでやる。勝手に、ちょっと複雑な気分になりながらのサトウキビ畑での黒糖づくり体験。


体験編はまた。
次回に。

ジャマイカでking of kings の異名を持つJimmy CliffのPVにもサトウキビ畑が出て来ます。


参考文献:砂糖の世界史、江戸の料理と食生活


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

1

産地のごちそうキャンプ

生産地と生産者巡り、地方でのごはん会の記録です。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。