春ギター【毎週ショートショートnote】
道を歩いていると、公園から小さなメロディが聴こえてきた。
「そろそろ春かもしれない」
私はしゃがみ込んで、公園の脇の草むらをじっと見つめた。土から小さなギターが一本生えていた。風が優しく吹くたびに、ギターはポロロンとメロディを奏でる。
私は地面から生えている土筆を引き抜き、ギターのメロディに合わせて春を求めて歌い始めた。
ウグイスは私の歌にリフレインするように鳴き声で追いかけてくる。
鉄棒の横に生えている木の枝が8ビートのリズムを刻み始めた。
枝に生えてきていたつぼみは、歌に少しずつ興奮で微かに桃色に染まり始めていた。そして私達の音楽に合わせて、その木の花は一気に満開になった。
公園のすべり台から見上げた春の空が、水色と桜色に染まった。
私は一曲歌い終わると、次のライブ会場に向けて歩き始めた。
今年も新曲を引っ提げて九州から全国ツアーを始めます。
バンド SAKURAZENSEN、よろ。
毎週ショートショートnoteという企画の運営をしております。ショートショートや猫ショートショートも書いたりしております。サポートいただけたら、サポータ様へ足を向けて寝ないと言う特典がついております。最終的には夜空にしか足を向けて寝れないほどファンが増えるのが夢です。