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「茶の本」から学ぶ 店舗の在り方〜ヒト編〜

『美の追求』という永遠の問いを与えてくれる、素敵な一冊。

#店舗メディア の読書会で、読後の様々な考察を学び、私は結局、いつものように「店舗の在り方」を考えた。

『美の追求』と聞くと、視覚的に分かるビジュアルの美しさやスキルアップと思いがちだけれど、この本でいう「美」とは目には見えない「虚」の部分、ありたい理想の姿の追求なのだと私は思う。

〜販売マニュアルは必要か?〜

いきなり話は変わるのだけど、この本の中で、作法やルールにすごくこだわる部分と、自然こそ最大の美しさだ!という部分があったり、自然を追求するあまり、もはや自然ではないエピソードが出てくる。

〈お庭の掃除 編〉
いつも清潔が大事と説いていた利休が、我が子にお庭掃除をさせた。しかし、やり直しを申付ける。そして、1時間やり直しをしたのち、「もう完璧、やる事ないです」と子供は言った。だけど、利休は激怒して、小枝一本、落ち葉1枚落ちていない庭に降り、木を揺すって、庭一面に秋の葉っぱを散り敷かせる。利休の求めたものは清潔のみでなく美と自然であった。と、いうお話

〈花瓶のお水 編〉
花瓶の水滴は綺麗に水をぬぐってしまったら、不自然。だから、自然に水が散っているように水滴をつけておかなければならない。と、いう美意識。

もはや不自然に自然を教え込まれると言う謎。

これは、店舗で言うところの「販売マニュアル」とか「ロープレ大会」とかにも共通するのではないか?と、思う。

私も、個人的にはマニュアルは好きではない。ロープレ大会なんて、絶対に出たくない。
が、しかし、人事教育マネージャーとしては、推進しているし、自分の個性が分かるまでマニュアルを追求するということは大切だと思う。

私は、声が小さいしリアクションが薄い。
洞察8割の必要な事しか販売トークをしない忍者接客である。

新人の時、エリアの勉強会でロープレをする度に、リアクションが小さい!ここで声を大きく!もっと目を見開いて!と、マニュアルを押し付けられ、よく泣いていた。

それで編み出したのが、リアクションの大きさはお客様に任せる忍者接客である。私は、お客様の反応が良くなるトーク、商品の魅せまくる、洞察8割を独自のマニュアルにした。

何が言いたいかと言うと、マニュアルやロープレ大会で誰かがいいと言っているものを一度は追求してみる。
すると、個を知る事ができ、そこから自分なりのマニュアルを作ることができるのだと思う。

茶の本の中のエピソードの利休も、庭が完璧に清潔でも、落ち葉で自然を演出しても、どちらでもよかったのではないか?
花瓶に水滴がついていてもいなくても良かったのではないか?と思う。

興味のあるところはその過程であって行為ではなかった。真に肝要なるは完成することであって完成ではなかった。(p.38)

とあるし、また、別の章には

茶室はある個人的趣味に適するように建てられるべきだと言う事は、芸術における最も重要な原理を実行することである。(p.62)

われわれは、おのれの役を立派に努めるためには、その芝居全体を知っていなければならぬ。個人を考えるために、全体を考えることを忘れてはならない。(p.48)

ともある。
弟子たちに伝えたかったのは、これが完璧だという結果ではなく、ここまで完璧を求めている過程だったのだと思う。

要するに、販売マニュアルもロープレ大会も必要だが、必要ではないとも言える。

〜再現性の追求が偶発性を生み、偶発的感動が再現欲求を生む〜

大切なのは、「マニュアルだから」「誰かに言われたから」という、己の意思なく行動だけを真似することなのだ。

マニュアルをやってみた。でも私にはなんか違う。それはなぜか?それは何か?自分は何を持っていて、何を大切にするのか?だから私はこうありたくて、これを選ぶ。

ロープレ大会で無意識の行動を褒められた。えっ、どこが良かったのだろう?どんな行動したっけ?もう一回再現したい。
と、無意識に意識を向けた時、言語化されマニュアル化される。
そして、マニュアルを追求するこで、偶発的に感動が生まれる。

再現性の追求が偶発性を産み、偶発的感動が再現欲を生むのである。

これが、いわゆる
完全は不完全で、不完全が完全であるということなのだろう。

ゴールは自律、自分の律の追求

そして師匠(先輩)は、弟子(後輩)が自己の美を追求して独自の方法を見つけた時、その過程を学び、新たな方法を認る事が大切だと思う。

弟子のゴールは師匠への依存ではなく自律なのだから。

だから、己の美の追求の為に、マニュアルもロープレ大会も真摯に向きうことはとっても大切。

接客に限らず、素敵なヒトがいた時に、素直に真似るコトは、きっとみんなしてるはず。

真似るコトは、学ぶコト。
日々、今できるコトを完全に努める。
そして、理想の在りたい姿にはまだ余白があり不完全であるコトも知る。

少し長くなったので、次は「茶の本」から学ぶ「モノ」について

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