【あらすじ】
この度は誠にすみませんでした！
私の監督ふじゅき届きです！（やっべ…噛んだ。）

【登場人物】
郡司
岡崎
圭司

【大したことしてないのに謝罪会見で沢山の人が集まってビビる話】
郡司：この度は…え〜お足元の悪い中、このような席にお越しいただきまして誠にありがとうございます。

2人は同時に礼をする。

郡司：僭越ではございますが、私の方から、事の顛末についてお話しさせていただきたいと思います。このような場に慣れていない、ということもあり、多々不手際によるご迷惑をかけてしまう可能性もございますが、本日は何卒よろしくお願いします。

再度2人で礼をする。

郡司：またご迷惑をおかけした皆様に、心より謝罪をしたく思います。この度は誠に、申し訳ございませんでした。

再び2人で礼をする。
その後席に座る。

郡司：では、今回起きた内容について、岡崎より皆様へと説明させて頂きたいと思います。
岡崎：はい。この度は、私の不手際により、世間の皆様にご迷惑をおかけしてしまった事、こころよりお詫び申し上げます。

再度礼をする。

岡崎：まず、この度の事件の発端は私にあるということをお伝えいたします。私の務めております、某パン屋にて、2009年10月、私は、お客様に大変なご迷惑をかけてしまったことをお詫び申し上げます。私は…私は…誤ってカレーパンにビーフシチューを入れてしまいました。大変申し訳ございませんでした。

フラッシュが大量に焚かれる。

岡崎：まさか10年後経って今更指摘されるとは思っておらず…なんというかこう、怖くって、怖くって…。（思わずハンカチで目を拭う仕草。）

郡司は岡崎の背中をさする。

郡司：彼は、パンを購入したお客様から指摘を受けず、むしろ美味しそうに食べていらっしゃるようだったと話しています。しかしどのような形であれ、被害者の方への配慮が足りていなかったと反省しています。今後は被害者のご家族と話し合い、適切な対応を取らせていただくべきだと考えております。この度は、大変ご迷惑をおかけいたしました。

郡司：これからは質疑応答の時間とさせて頂きます。質問のある方は手を上げて発言をお願いします。では、右端の、チェックのシャツを着ている方。
圭司：岡崎さんに率直にお聞きします。今回のこの騒動について反省の色が見えない、という声が上がっていることについて、率直にどのようにお考えでしょうか？

郡司は岡崎に耳打ちする。

岡崎：心より反省をしております。もう二度とパンを食べまいと誓いました。
圭司：しかし、先日の週刊誌では美味しそうにフランスパンを食べる様子がスクープされていましたが、これについてはいかがですか？
岡崎：…別にフランスパンくらいいいでしょう！？

郡司はあわてて岡崎に耳打ちする。

岡崎：失礼いたしました。私は戒めのために敢えてフランスパンを食べました。正直…どのように償えばいいのかわからず、好きでもないフランスパンばかりを食べることで、私の反省を示していければと思っていました。

郡司：では次の方。後方真ん中の、タンクトップで麦わらの…そう、あなたです。お願いします。
圭司：今回の件では被害は数件で済んだものの、例えば今後あなたの真似をする人間が現れたとすれば、あなたの行為は断じて許されるものではありません。もし子供が真似をしたら…もし、それがビーフシチューではなくグラタンだったら、熱くて火傷してしまうかもしれませよね？あなたのような無責任な人間を、私は信用することが出来ません！っという声が上がっているようですが、そのことについてはいかがですか？
岡崎：えっと…どなたからの意見でしょう？
圭司：ネットではこのような意見が多数見受けられます。
岡崎：それ、絶対あなたの意見で…
郡司：（遮るように）それは確かにその通りです。ですが、皆さんはカツ丼のルーツをご存知ですか？かつて高級料理として提供されていたトンカツ。しかしある日、宴会のキャンセルによって大量のトンカツが廃棄に追いやられてしまう。あまりに勿体ないと思った店主は、そのトンカツにそばつゆと卵とじを加えるというアイディアを思いつく。それをカツ丼とよんで販売したその日、そのカツ丼は一気に売れたそうです。

郡司、一息ついて。

郡司：間違いや有り得ないとされるアイディアが、世界を変えることもあるんですよ。

記者は納得したように静かになる。

岡崎：…今ので納得したんすか！？
郡司：（満足気な表情で）続いて…そのグラサンで…赤いネクタイを頭に巻いてる方。お願いします。
圭司：恋愛が苦手なのですが、女性と仲良くなる方法を教えてください。
郡司：本件と関係ない内容は控えてください。次の方。他に質問がなければ本日の謝罪会見は終了とさせていただきます。この度はさまざまな方にご迷惑をおかけしてしまい、（ボソッと）せーのっ。
郡司・岡崎：大変申し訳ございませんでした。

2人は礼をする。
岡崎は会釈程度。郡司が無理やり頭を下げさせる。
多量のフラッシュが焚かれる。