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福岡のやばい父ちゃん

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福岡のやばい父ちゃんの話
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新連載がはじまります。noteで連載しておりました。
「福岡のやばい父ちゃん」がタイトルを変えて漫画化。
みなさまぜひ!

【新連載】ピン芸人、なんだか「変だった父」を語る/お父ちゃんは月曜日に歯を磨く#1 https://getnavi.jp/comic/403292/

福岡のやばい父ちゃん    第1話 「服」

福岡のやばい父ちゃん    第1話 「服」

「まちんしゃい!」

母の声だ

父がまた

Tシャツにミッキーマウスのトランクス一枚で町に出ようとした。

「ミッキーマウスばい」

理解不能の返しが飛び出す。

父は破天荒だ。

そして服に無頓着だった。

いつも自分がどんな服を着ているか把握していなかった。

昔、社員旅行についていき、温泉へ行った時

風呂上りに同じ会社の社員に服をほめられていた。

珍しくストライプ

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福岡のやばい父ちゃん 第2話 「臆病」

福岡のやばい父ちゃん 第2話 「臆病」

父は、豪快なわりに臆病な所があった。

まず犬が苦手だった。

犬を目の敵にしていた。

そして犬がいかに危険か教えてくれた。

犬は走って逃げると追いかけてくるという法則を僕に教えてくれた

そして父は毎回走って逃げた。

大の大人が犬に追いかけられる。

室内犬が流行り、のら犬も少なくなり、今では漫画でしかお目にかかれない光景だ。

そして高い所が苦手だった。

「かえって危

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福岡のやばい父ちゃん   第3話    「名前」

福岡のやばい父ちゃん   第3話    「名前」

「じゃんけんしな」

父が兄と僕に言った。

意味がわからなかったがじゃんけんをし、僕が負けた。

「じゃあ、二郎は明日から井上な」

僕はもともと吉田二郎という名前だった。

井上とは母方の姓

父も母も兄も吉田で僕は井上。

小学生の段階で、父が義兄さん、母が姉さん、兄が甥になった。

別に離婚とか養子になったわけじゃない。

引越しの時、税金が少し安くなるという理由で僕は井

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福岡のやばい父ちゃん 第4話 「渡米」

福岡のやばい父ちゃん 第4話 「渡米」

父が生徒会長になったら10万くれるというので

僕は演説で「消費税を廃止する」とふざけ

中学生レベルですから

爆笑をとり

生徒会長になった。

父は多方面で自慢し、鼻高々だったようだ。

中学生の息子を金で買収する。

やはり無茶苦茶かもしれない。

兄の授業参観の時

母が来れない状況で

父は兄に絶対に来るなと言われていた。

兄のクラスは二階だった。

授業が始まり、父の姿がなかったの

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福岡のやばい父ちゃん  第5話  プレゼント

福岡のやばい父ちゃん  第5話  プレゼント

父は本当に人を喜ばすのが好きだった。

知らない子供にもおこずかいを渡すほど人に何かをあげるのも好きだった

まあ、今思えば、ただの危ないおじさんであるが…

「私、カブト虫好き」

親戚の集まりの時に

やばい父ちゃんの妹の娘、つまり姪にあたるさよこが言った。

父ちゃんは妹を可愛がり、さらにはその娘、息子たちも可愛がった。

毎年、お年玉を奮発したり、おもちゃをあげたり、お父ちゃんは人を喜ばせ

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福岡のやばい父ちゃん 第6話 「雑」

福岡のやばい父ちゃん 第6話 「雑」

父の年賀状はいつみていて気持ち良かった。

せめて真ん中に書けばいいのに、ハガキの右はじにあけましておめでとうと、「ミミズ」がはったような、一筆書きで書いてあった。

そしてその文字の他は広大な白いスペース。

スキーでもできるのではないかと思うくらいの広大な白

所要時間3秒位の

日本で一番雑な年賀状。

「そげん汚なか年賀状、誰が喜ぶね」

祖母に言われたのも仕方ない

他人によく思われたい

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福岡のやばい父ちゃん 第7話 「母」

福岡のやばい父ちゃん 第7話 「母」

母が家に帰ると、祖母から

「この人と結婚しんしゃい」

と言われた。

旅館の娘と、そこに偶然泊まりに来た男。

父は母を気に入りまず、祖母をまるめこんだ。

大金をちらつかせたのかどうやったかわからないが、嘘をならびたてたのだろう。

酒もタバコもやらないという約束で母は父と結婚した。

その後に酒もタバコもギャンブルも女もやると知ることになる。

結婚してだいぶあとの話。

僕と父が話を

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福岡のやばい父ちゃん  第8話 「岩男」

福岡のやばい父ちゃん  第8話 「岩男」

少し話ははずれるが

祖母にいいくるめられたものの

父ちゃんを配偶者として選んだ、母ちゃんもやはり変な人で

どこが変か?と言われれば、特に言えないのだが、少し常識がなかった

それはやはり、母ちゃんの父、つまり、私の祖父が類稀なる変人だったからだろう

まず、驚くのは働いた事がないのだ

私の先祖は昔でいう、長者であり
福岡の城戸という駅の周辺はほとんどうちの所有する土地だった

じいちゃんは

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福岡のやばい父ちゃん 第9話 「幼馴染」

福岡のやばい父ちゃん 第9話 「幼馴染」

父の幼なじみにアマゾ●ライダーがいる。

アマゾ●ライダーをご存知だろうか。

ライダーの歴史では珍しく言葉が喋れない。

アマゾンで育った設定の為だ。

そして、正義の味方には珍しくフック船長の様に手に攻撃用の鍵がついている。
片手だからまだいいが

ヒーローショーがあった場合、握手に二倍時間がかかることになる。

「アマゾ●!」

と初登場に叫んだ時に歯に青のりがついていたというエピソードが

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福岡のやばい父ちゃん 第10話 「別れ」

福岡のやばい父ちゃん 第10話 「別れ」

毎日焼酎一本、タバコ二箱。

61歳は長生きかも知れない。

父は2年くらい入院して家族にみまもられ他界した。
有り金は全部使うがモットーの父だから、遺産的なものはなかった。

2年の入院中、母が見舞いに行っていたが、店が忙しくてなかなか行けず、父はさみしい思いをした様だ。
犬が嫌いな父だったが、さすがにペットでもいればと思ったのだろう。
犬の形をした風船を買って来てもらい可愛いがった。
病院内を

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