福岡のやばい父ちゃん 第10話 「別れ」

毎日焼酎一本、タバコ二箱。

61歳は長生きかも知れない。

父は2年くらい入院して家族にみまもられ他界した。
有り金は全部使うがモットーの父だから、遺産的なものはなかった。

2年の入院中、母が見舞いに行っていたが、店が忙しくてなかなか行けず、父はさみしい思いをした様だ。
犬が嫌いな父だったが、さすがにペットでもいればと思ったのだろう。
犬の形をした風船を買って来てもらい可愛いがった。
病院内を犬の風船を連れて歩く、ここでも父は名物になった。

女はわからない。
僕はさすがに気味が悪かったが

そんな父の行動が可愛いいと、看護婦に人気だった。
父が死ぬ3日前だろうか

僕も東京から呼び出された。

父の産まれ故郷は長崎だ。母が福岡。

長崎では墓参りに、墓まで行って爆竹という花火をならす。

さみしくないように、賑やかにするというわけだ。

母の提案で、父を歌いながら見送ることになった。

病室で人も通るのに恥ずかしいと一度は断ったが、せめてもの恩返しなので歌うことにした。 

僕はレパートリーが少ないので、こういう雰囲気にあう歌を歌えなかった。

母がなんでもいいと言うので

僕はしようがなく
サザンオールスターズのTUNAMIを熱唱した。

違和感を感じたが、母は感動して泣いていた。

次に兄がZARDの負けないでを熱唱した。

兄は歌える歌が、これだけしかなかったみたいだが

偶然

死が確定している父に頑張れとムチ入れる形になった。

かなりの違和感だったが、母はさらなる感動で泣いていた。

心電図をはかる機械が投入され

父の命もわずかとなった。

最後に死に間際にありがとうって言おうという母の提案があった。

心電図がだんだん弱くなり

死が近いた。

心電図の機械から、ピーという音が度々出る様になった。

死が近い

父の動きも弱くなっていた。

「死なないで!お父さん!」

家族で泣きながら声をかけた。

「あっ」

看護婦が、先生を呼びに言った。

先生が、父を見て心電図の機械を見て説明しだした。
今、お父さんは動いていますが、心臓を電気でマッサージしている為にその電気で動いています。お父さんは少し前に亡くなってます。

見逃した。

父の死を見逃した。 

「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」

駆け込む様にありがとうと言ったが間に合わなかった。

電気で動いているだけの父に、家族三人で死なないでとお願いしていた。

最後まで間抜けな一家だった。

父は10月29日に他界した。

魚屋なのに肉の日に死ぬというオチを残して

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