しくじり_03

福岡のやばい父ちゃん 第6話 「雑」

父の年賀状はいつみていて気持ち良かった。

せめて真ん中に書けばいいのに、ハガキの右はじにあけましておめでとうと、「ミミズ」がはったような、一筆書きで書いてあった。

そしてその文字の他は広大な白いスペース。

スキーでもできるのではないかと思うくらいの広大な白

所要時間3秒位の

日本で一番雑な年賀状。

「そげん汚なか年賀状、誰が喜ぶね」

祖母に言われたのも仕方ない

他人によく思われたい、他人に感謝してると思われたい、常識のある人と思われたい。

そういった雑念が一切ない。

空海も晩年は、この様な年賀状にいきついたのではないか。

なんて、僕は少し、父に甘いところがある。


父が歯を磨くのを見たことがないので歯は磨いているのか聞いたところ

「なんば、馬鹿にしよっとか、ちゃんと月曜日に磨きよろうもん」

という返事が返ってきた

朝しか磨かない人間は聞いたことがあるが、毎週、月曜に一回というのは・・・

と自分の父親にドン引きしていて

ふと、その日は月曜日だったので今日は磨いたか聞いてみると

「先週磨いたけん」

と、簡単に前言を放り投げた

雑の極みである


そして、この雑さが大事件を起こすことになる。

父が自分の山を掃除していた時の話だ。

枯れ葉やゴミを集め、燃やし、掃除は終了する所だった。

枯れ葉やゴミがなかなか燃え終わらないのでまだ燃え続けていたが

父は自分の部屋に帰り休憩した。

そしてその間に火は燃え広がり

自分の持ち山だけでなく、他人の持ち山も巻き込む大火事となった。

まず、近所の人に言われ母が発見した。

そして父を探した。山を探し、近所を探したがいなかった

そして父のいる父の部屋を開けて驚いた。

父はのん気にテレビゲームをしていた。

しかもことあろうにボンバーマンをしといた。

山を炎上させ、テレビ画面の中も炎上させていたのだ。

父の操縦するボンバーマンはアイテムを手に入れ

火力の強い爆弾を使っていたので、山に負けじと炎上していた。

焦っていた母は、山だけでなく、テレビの中も火事になったと錯覚をおこし

テレビに水をかけそうになった。

消防署が出動する大火事となり

そして母が近所に謝りに行った。

そして、肝心のリアルボンバーマンはというと

部屋に閉じこもっていた

父はいつでも誰にでも土下座ができたが、本当に自分が悪い時は謝れない変なプライドがあった。

それ以来、父はボンバーマンを二度としなかった。







娘に甘いもの買います!