痙攣性発声障害になった話

こんばんは。いつになく真面目なタイトルで申し訳ない。
今日はオタクの話ではありません。病気のお話です。
そんなに重たく話すつもりもないのですが、訳あって書き残しておきたいので、まああまり気負わず見て頂けたらと思います。

⬇今回ちょっと長いので、目次を作ってみました。もし良かったら必要な項目まで飛ばしちゃってください。


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声が出なくなった話


前回、

少しだけ声帯ポリープの治療のために休日を取った話をしたのですが、その時は「現在はちゃんと喋れてます」と注釈していた通り、割としっかり喋れていたんですよね。
ところが、投稿から数日経った頃、じわじわとまた声が出にくくなり、現在は再び声が出なくなってしまいました。

改めてお話すると、僕は去年の8月頃から喉声レベルMAXみたいな発声になり、それがどんどん酷くなり誰が聞いても喉が枯れてる人みたいな声になっていきました。喉が詰まりに詰まって、息が通らず声も出ないような状態です。
初めのうちは「ちょっと喉声だったかも」「風邪かもしれん」とか思ってたんです。カラオケ行った時もちょっと発声変になるな~と感じてはいるものの別に歌えるしみたいな。
それがどんどん悪化していって、全然声出ないが!?となった10月頃に一度耳鼻咽喉科にお世話になりました。
結果は前回お話した『声帯ポリープ』です。
これがあるせいで声がガラガラしちゃうんですよ〜なんて説明を受けながら、声帯の写真を見せて頂きました。かなり小さかったので手術はせず、一週間無言を貫くという沈黙療法で撃退しました。
で、その時にかなり休めたおかげか、声がマジで出るように戻っていました。多少の詰まりはあれど、出ないが!?という程ではなかったんですね。
ただまあ完全に治った気はしなかったので12月に再び同じ病院に行ったのですが、喉を見てもらったら「ポリープ消えてますね~」「喉すごい綺麗ですよ」「頑張りましたね!ちゃんと成果出てますよ!」なんて言ってもらってしまって。
エッじゃあ声が出にくい原因はもう喉にはなさそうって感じですか?と聞いたら「そうですねー」との事。ワーォ。その日は一応喉の炎症を抑えるお薬を頂き帰りました。前回の記事を書いたのがこの辺りです。
案の定その後もずっと声が出ない。寧ろどんどん酷くなっているような気がします。たまに話していますが僕は声優をやっており、声が出ない事は死活問題です。何とかしたいが喉に異常がないならこれは何なんだ?となったまま、ひと月程経ってしまいました……

病名が判明した話

正直、かなり困りました。『喉が詰まる』とか『声がかすれる』とかで調べても、全然当てはまる症状が出てこない。
単に己の怠惰で喉声になってるだけかも?と思い、腹式呼吸を改めて意識してみたり、ポリープ治療の後のリハビリに用いられる呼吸法を試したりしましたが、あまり効果を感じられず。
9月にコロナに罹って以来やや呼吸が苦しくなる事があったので、ひょっとしたら呼吸器系に問題があるのか?と考えて呼吸器内科に行くことも考えていました。

そんな折。
どうやって検索したのかイマヒトツ思い出せませんが、偶然にも【痙攣性発声障害】という言葉にたどり着くことが出来ました。
多分『声が詰まる』『喉に異常はない』とか、そういう感じの検索ワードだったと思います。声が出ないこと、喉には何も起きてない事、これをひたすら検索していた気がします。
痙攣性発声障害について調べてみたところ、発声時に「お!こいつ声出すんか!じゃあ喉閉めるわ!」という信号がアホほど強く送られてしまうせいか、筋肉が異常な痙攣を起こして必要以上に強く喉が締まってしまう病気とのこと。ジストニアの一種と考えられているそうです。原因はまだよくわかってないとか。ジストニアだなんてまさか難病か……?と思ったけどそうではないらしい。
とにかくそれによって『声が出ない』『声が震える』『声が途切れる』……などなど、喉に炎症は無いのに声がでないという状態になるらしいのです。
これじゃん!とすぐ思うくらい完璧に症状が一致していました。これじゃん。やっと見つけたわ。ありがとうネットの海。
どうやら患者さんの少ない希少疾患とやらで、だからあまり検索しても出てこなかったんだなあと頭を抱えましたが、僕としては原因不明のものから名前までついたれっきとした病気である事がわかったのはかなり大きな進歩でしたし安心すらしました。
珍しめな病気であった事も驚きでしたが、診断できる病院がそもそも少ないというのもびっくりでした(最初に行った耳鼻咽喉科は悪くないよ!ってことです)。幸い病名で調べたらすぐ出てきた病院が地元のものであったので(多分位置情報とかで出してくれたんやろなあ)、すぐ予約を取り音声外来に行ってまいりました。

専用の問診票を書いたり、喉にカメラを入れて声帯を見てもらったり、実際に声を出してみたりしました。
その時意外だったのが「エーと高い声出してみてください」って言われたので裏声を出したら、かなりすんなり音が出たんですよね。知らなかった。実は僕職場の人と話す時は結構声が出てるんですけど、目上の方と話す時に多分声がミックスボイスみたいな裏声に近い音になってるせいなんだとこの時知りました。すげえや。因みにこの裏声は割と出るというのも痙攣性発声障害の特徴の一つらしいです。
だからといって常に裏声で話す訳にもいかないんですけど!

そんな感じで結果は『痙攣性発声障害
もしくは『過緊張性発声障害
のどちらかという事。

……ン!?二つあるの!?
『過緊張性発声障害』の方は、緊張やストレスなどが原因で声が出なくなってしまう発声障害だそうです。
僕はメンタルやらかした記憶は無いし、おしゃべり大好きマンだし声優やってるから人前で喋るの別に苦手じゃないし、電話対応も仕事で結構やるし、思い当たる部分はないぞ!?
という事を先生に伝えると(「思い当たるきっかけとかありますか?」って聞かれたので「無いですね……」って答えただけ)どうやらそれに加えて、発症から半年が経っていることとリハビリの効果がみられないことの2つが確認されると『痙攣性発声障害』の方じゃないかな?となるらしいです。( ˙꒳​˙  )ナルホド……
この時は1月の末。発症からほぼ半年です。なのであとはリハビリを受けてみてどうかなーと言うことらしいので、そのままリハビリセンターにお邪魔しました。

まず録音。今の声の状態を波形とか見て分析するらしいです。すげえ。波形でもどの発声障害なのかの区別に役立つらしいです。マジで凄い。医療技術の向上ホントすごい。
ただこの時、何度やってもマイクの前で声が出てこなくて、結局録音できませんでした。最悪。そういう症状の病気なのはわかっちゃいるが本当に最悪。ホントスイマセン……ゴメンナサイ……
仕方が無いので録音はせず、腹式呼吸のやり方とかハミングとか喉に負担のかからない発声法をやっていくわけですが……僕は声優として既にその辺の知識があり、試してダメだったものばかりでした。マジで色々と申し訳がない……一応その場でも挑戦してみましたがやはり声は出ず。
しかしまあ続ける事に意味があるので、それらのメニューを頂き、家に帰ってからも継続してみる事にしました。
リハビリの内容にはハミングやトリルなど「おお、これは音が出るぞ!」という物もあるのですが、かといって喋れるかと言われたら全然喋れないという感じです。基礎練は出来るのに本番は無力みたいな。嫌な例えだな?
めちゃめちゃ調子よくトリルやハミングをした後に「じゃあ文章読んでみましょうか!」って台本とマイクを用意してもらって、ドヤ顔で読んだら声カッスカスで録音後「あんだけ音出てたので絶対いけると思ったんですけど!?」ってリハビリ担当のお姉さんと一緒に爆笑したりしました。因みに笑い声はほとんどの場合すんなりと出ます。うるさいくらい笑えます。お姉さんとの雑談でも声が出る時もあります。何なんだホントに。

ボトックス注射を打った話

そんなこんなで3月。
ひと月程リハビリを続けてみて、効果がなかなか出ないねとなり、『痙攣性発声障害』の方だろうねという結論になりました。
思ったより長かった……それだけ鑑別方法が難しいんだなあと改めて思いました。向き合ってくれたお医者様には感謝しております。

「リハビリを続けてみるか、お仕事の事がありますし注射という選択肢もありますが」と聞いて下さったので、いち早く声優業に戻りたかった僕は注射をお願いしました。
この注射、痙攣性発声障害について調べるとすぐ出てくる『ボトックス注射』というもので、ボツリヌス毒素(赤ちゃんがハチミツ食べるとアカンというのはこれによるものらしいです)から抽出した良さげなタンパク質を極小量注射すると、筋肉が麻痺して喉の締まりすぎを防いで一時的に声が出やすくなるというものらしいです。すごい。美容用としてシワ伸ばしにも使うものらしいです。ハチミツ由来なことを考えると納得かもしれない(?)
しかしまあ一時的にという言葉通り、これを打てば完治です!お疲れ様!という訳ではなく、3,4ヶ月ほどで効果は切れてしまうらしい。そりゃそうだ。原因を取り除くような処置ではないので。
それでもまずはお試し、声が出るなら嬉しいな、くらいの気持ちで注射を受けることを決めました。試せるものはなんでも試していきたい。そういえば僕は手術の話はされていませんが、手術という手もあるみたいです。が、それでも原因を完全に取り除くようなものはないんですよね。今後の医療の進歩に期待が膨らむ。

前回の診察の時に同意書やパンフレットを頂いていたのでよく読んでサインしてお渡しして、待合室で注射の準備が整うのを待ちました。
この時間が!怖い!めちゃめちゃ怖かった!
実を言うと、僕は注射というものがものすごく苦手です。
シンプルに痛いじゃないですか。針が刺さるんですよ己の体に。普通に怖いし痛い。僕はもういい歳の大人ですが何歳になろうが怖いもんは怖いし大人になったからといって痛みに強くなれるわけもない。無理です。
なので「今までやってきた事だ」と感じながらもリハビリに励めていたのも、ワンチャン注射を打たなくて済むためだったりします。そりゃ痛い思いせず治るならそれが一番に決まってる。でもそうはならなかった、ならなかったんだよロック。だからこの話はここで終わりなんだ。

準備が出来たので部屋に案内されると、ベッドに横になるよう言われました。枕の位置が肩くらいのところにあって、喉を突き出すような姿勢で仰向けになりました。
マジで怖い。これからここに刺すんか……って感じがすげえします。怖すぎ。
筋肉の位置を測るためにと電気パッド的なものを首に貼っていたそうです。これ自体には痛みは全くなかったです。良かった……それにしてもそれだけで体の内部がわかるなんて凄い。モニターは僕の頭上にあったので角度的に見えませんでしたがちょっと見てみたかった。
位置が把握出来たらしく、首にぷすっと刺されました。痛い……けど、あれ?思ったよりはそこまで痛くない……少なくともインフルエンザなんかの予防接種よりは全然痛くない……
「じゃあここに入れますね~」なんてお医者様の声がしたあたりでちょっと痛みがありました。流石に注入感はある……
と思った次の瞬間くらいには「これで終わりです~体起こしていいですよ~」との声。
この間僅か2,3分(⚠️体感)。
エ!?これだけ!?
と思っていたのが顔に出たのか、皆さん同じ顔をされるのか、先生は「あっという間でしょ?」なんていって笑ってくださいました。いやマジで早かった。そして全然痛くなかった。思えば噂に聞いていた麻酔のようなものも無かった。

注射あるあるの経過観察中、声を出さないようにとの事だったので静かに待ち、何事も無かったので無事終了。「思ったより痛くなかったでしょ」なんて先生に笑ってもらいましたがマジでその通りで何度も頷きました。
初回なので注射の効きを見るために次の予約をして、帰路に着きました。

注射後何時間か経ち、お腹がすいたので食事にしたのですが、その時顎を動かしたら注射した場所がややズキズキと痛みました。筋肉注射あるあるの筋肉痛的なやつです。場所が場所なのでちょっと困ってますが、まあ仕方ないかな……固いものは避けるようにしました。

肝心の効果は、打ってすぐ現れる訳ではなく2,3日後に「おや?」となってくるとの事なので、ワクワク待ちたいと思います。
初めのうちはゆるゆるすぎてカッスカスみたいな話も聞くので、どのくらい効果があるのか楽しみです。
(追記)
4日ほど経って、明らかに低音が出ていることに気が付きました。これは……効果が出ている……!
完全に詰まりがなくなるわけではなく、いつもなら詰まっている音が出る確率がかなり上がるって感じです。すごい!
未だに喉の筋肉痛が続いていることや、飲み物を飲み込む時に一気に喉に流れすぎてしまう感じがあるのが気になりますが、喋れる方が嬉しいな……!
(追記終わり)
(追記(3/ 19))
注射を打ち2週間ほどになりました。
なんか、うーん、詰まる時ものすごく詰まるなあ……
快適〜〜〜!ってほどでは全くないです。うーん……
正直効果としては全然出てない方なんじゃないかな……?と思ってます。次の病院の時に先生に伝えてみます。
(追記終わり)

症状についての話

一応まとめとして、僕に起きている症状らしいものを並べていこうと思います。
というのも、完全に声が出ない訳ではなく、何故か声が出るパターンみたいなものも多いんです。
このランダム性のせいで「なんだ声出るじゃん」と言われたり、挙句「嘘なのかな」とまで言われた事もあります。嘘なわけあるか!!!

【声が出にくいパターン】
定型文
「いらっしゃいませ」「お電話ありがとうございます」などなど、決まった言葉を話そうとするとまず出ません。不思議だしこれが一番困ってます。接客業として致命的だし電話対応も出来ません。
レストランで注文する時なんかも商品名が言えずメニュー表を指さしています。お芝居やナレーションの台本を読むこともこれに該当するのか声が出ません、死活問題です。
伝えたいこと
なんというか、説明しようとしたり話題を切り出そうとすると声が出ません。雑談ひとつとっても話題が広げられなくて寂しいです。
短めの返事
「うん」とか「へー」とか、「はい」みたいなやつです。とにかく出ない。出ないので「そうだね」みたいな次の言葉を探すんですけどそれもまああまり出ない。仕方が無いので首を動かして意思表示してます。
低めの地声
リラックスしていて普段なら一番出しやすい音のはずが、出ないことが多いです。なので家で同居人達と喋っていても結構な確率で声が詰まり放題します。
なんか全然出ない日
特にシチュエーション関係なく全然声が出ない日みたいなのがあります。謎。あまり長く続かないのは救い。

【声が出やすいパターン】
裏声/ハミング
鼻に響かせるタイプの音は出るみたいです。歌えるならカラオケ行きたいんですけどカウンターで話したり飲み物頼んだりは難しそうなので行けてないです。
目上の人との会話
僕の性格上そうなだけかもなのですが、前述の通り声がやや上ずったミックスボイスみたいな音になる都合で、職場の方と話す時が一番声が出ます。
お客様はそうじゃないの?というのは全くその通りなんですが、定型文以外であればやはり喋りやすいです。「このお弁当美味しいよね~」と言って頂いた時に「おいしいですよね!」と咄嗟にでる時なんかは出たりします。逆に「ありがとうございます!」と言おうとすると出にくいです。謎。
電話
意外なことに、定型文さえ乗り切ってしまえば電話上でも声が上ずりやすいのか、結構声が出ます。ただ「お電話ありがとうございます」や「もしもし」などの定型文が出ないので、なかなか電話自体取ろうと思えないのが辛いです。
あと普段話してるせいか同居人との電話は声が出ないことが多いです。久しぶりに通話を繋げた家族なんかは結構出ました。不思議。
笑い声/泣き声
ポリープ治療のために沈黙を貫こうとしていた時でさえ笑ってしまった時は声が出てしまったくらいには笑い声は完全に出ます。
この歳になるとエーン!と泣くことは無いのですが、例えばこの前原神の3章やっててギャン泣きしたんですけどその時は「ナ゛ヒ゛ーダ゛ち゛ゃ゛ん゛……」って普通に出ました。泣いてる時も出やすいんだと思います。
横になっている時
赤ちゃんがあれだけ泣いても喉が枯れない理由が腹式呼吸なのですが、大人であっても立っている時より横になっている方が簡単に腹式呼吸が出来ます。元々人類四足歩行だったのが二足歩行になった都合とかそういう話があるのですが閑話休題。
それが理由かはわかりませんが(立ってる時に腹式呼吸してても詰まるので……)横になっている時は比較的声が出やすいです。でもこれは比較的出やすいだけなので出ないこともまあまああります。

【その他ちょっと困ってること】
声量の調節が難しい
コソコソ喋るつもりが思ったより大きめに出てしまったり、笑い声が馬鹿みたいにでかかったりしてしまいます。
特に大きくなる方向にバグってます。多分声が出にくいので頑張って声を張ろうとしてしまってるのかも知れません。厄介。

記事にまとめた理由の話

さてかなり主観を色々と書いてきたのですが、なぜこれを普段はオタクの話しかしていない僕がnoteにまとめようと思ったのかって話なのですが……
この病気について書かれている記事が思ったよりも少なかったからです。ホントに患者数少ないんだ……と。
僕と同じように「声が出ないけど原因が分からない」「同じような症状の人を探したい」、また「注射を打ちたいけどどういうことをするのか分からない」と悩んでいる方達に、ほんの少しでも経験談をお届け出来たらいいなと思いました。
特に注射は思ってた以上に痛みも苦しさもなくサックリと終わり楽だったので、他の方々の体験談を見て「やっぱり針痛いんか……」「麻酔苦しいのか……ヤダな……」とかなりビビっていた僕なんかは「楽なパターンあるよ!!多分医学の進化だよ!!(⚠️本当に多分⚠️個人の感想です⚠️)」という気持ちを発信せずにはいられませんでした。

共に病気とタイマンする皆さんも、見守り支えるセコンドの皆さんも、こんなパターンもあるよ的な気持ちで読んでもらえたなら幸いです。
命に関わる病気でこそありませんが、生活には支障が出まくるしなかなか理解も得られないこの病気。少しでも読んでくださった皆さんの気持ちが楽になりますように!

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次はまたシンクレアの新しい人格の話とかがしたいです。
星2来るらしいという話を又聞きしてますが頭目ムルソーさんで爆死したのちにリウロージャさんまで来ちゃったので本当に石がないのでまだ出なくていいぞ!!!