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「マンションの機械式駐車場、今後も必要ですか?」

管理組合の理事長さんからの悲鳴

戸塚区内のあるマンション管理組合の理事長さんからご相談をいただきました。築27年のこのマンションでは、建築当時に横浜市建築基準条例(以下、条例)に基づいた駐車場附置義務に従って機械式駐車場が設置されています。当初は満車でしたが、住民の高齢化や若者の自動車離れ、ライドシェアの普及などライフ・スタイルの変化から、いまでは空きが目立っています。一方で、機械式駐車場も老朽化し故障することが多くなり、その度に修繕を繰り返してきましたが、いよいよ全部を建て替えないといけない状況になりました。管理組合としては、マンション自体の大規模修繕も控えている中で、駐車場の建て替えとなると、管理費・修繕積立金を現状の倍以上に引き上げなければならなくなるそうです。そこで、駐車場附置義務の緩和が受けられないかとのご相談をいただきました。

横浜市建築基準条例によるマンション駐車場附置義務

条例第4条の3では、住居部分の床面積の合計が1,000平方メートルを超える共同住宅の敷地には、自動車駐車場を設けなければならないとし、その台数については、敷地の用途地域に応じて、住戸数の一定割合以上の台数を確保しなければならないことになっています。私がご相談いただいたのは、第一種住居地域に建つ42戸のマンションです。第一種住居地域では4/10以上の附置義務が課せられており、このマンションにはその割合を超える17台収容できる機械式駐車場があります。

※横浜市建築基準条例
https://cgi.city.yokohama.lg.jp/somu/reiki/reiki_honbun/g202RG00000906.html
第4条の3 共同住宅、長屋、寄宿舎(規則で定めるものを除く。)及び下宿の用途に供する建築物で、住居の用に供する部分の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の住居の用に供する部分の床面積の合計の和をいう。)が1,000平方メートルを超えるものの敷地には、自動車の駐車のための施設(以下「駐車施設」という。)を設け、当該駐車施設において駐車することができる自動車の台数の当該建築物の住戸又は住室の数に対する割合(以下「駐車台数確保率」という。)を、都市計画法の規定により定められた用途地域のうち次の表に掲げる用途地域の区分に応じ、同表に掲げる数値としなければならない。

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自民党の提案により規制緩和が実現

この条項には、附置義務を下回る台数でも構わない適用除外の基準がいくつか設けられています。これまでは以下の4つのケースが適用除外を受けられる基準でした。

(1)前面道路等の状況によりやむを得ない場合

(2)まちづくりの方針で車の出入りを避けるよう位置づけられた道路に面する場合

(3)高齢者専用住宅等の場合

(4)学生のための寮の場合(適用対象)大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校(以下「大学等」という。)の学生のための寮で、自動車を所有しない者を入寮対象とし、その管理が適切に実施されるもの

ご覧いただいておわかりの通り、一般のマンションでは、引き続き条例4条の3による附置義務が課せられます。

これに対し、自民党の福地茂議員(港北区)が、時代にそぐわない規制であるとし、横浜市会で再三にわたりこの問題を議論してきました。

令和2年9月28日 横浜市会決算第一特別委員会
https://gikaichukei.city.yokohama.lg.jp/g07_Video_View.asp?SrchID=3863

令和3年3月2日 横浜市会予算第一特別委員会
https://gikaichukei.city.yokohama.lg.jp/g07_Video_View.asp?SrchID=4144


こうした横浜市会での自民党の提案により、令和3年2月に新たな基準が加えられました。
変更後の適用除外許可基準

竣工から10年を経過したマンションで、駐車場が利用されていないことが明らかであり、今後も利用されることが見込まれないものについては、おおむね10年間の駐車施設利用実績の推移から、実態に応じて十分な台数分の駐車施設を確保することを条件に基準割合以下の台数でも構わないということになりました。これにより、ご相談いただいたマンションでも駐車場台数の削減に向かう見込みです。同様の悩みを抱える管理組合の方がいらっしゃいましたら鈴木太郎政策研究所までご連絡ください。

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