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私がワインを愛す理由。

はじめまして。ワサオカタロウと申します。(@taru_otoko_wine)

ワインが好きで好きでたまらなくて、狂ってる
22歳です。

今回はそんな私とワインがどのように出会ったのか、なぜワインを愛すのか、書いていこうと思います。

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-2016年 11月-
私は成人します。

大学二年生だった私が、成人して一番最初に手にしたお酒はビールでした。
当時はワインになんて全く興味がなく、ビール、ハイボール、焼酎をローテーションする日々。
コンビニで買って一人で飲んだり、仲間と騒ぎながら飲むお酒が大好きでした。
たくさん迷惑をおかけした居酒屋さんには本当に申し訳ないく思っています。

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-数ヶ月後-

その日もなんとなく、お酒を買いに外に出ました。アルバイト先でカクテルを勉強していたため、
『リキュールでも買って家でカクテル作るか』そんなことを考えながら、いつものコンビニではなく、地元の酒屋に立ち寄ったのでした。

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その酒屋は100年以上前から今まで続く、歴史ある酒屋でした。
しかし、年季の入った外装からは想像できないくらい綺麗な内装で驚きました。そしてもう一つ驚いたことがあります。
店内に陳列するお酒の7割以上がワインだったのです。
ワインに興味はなかったものの、成人したての好奇心旺盛な私は30分近く店内をみて回りました。

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店内散策にも飽き、
『コンビニでビールでも買って帰るか。』
そんなことを考えながら店を出ようとした時、店主が声をかけてきました。

『ワインの試飲していきますか?』

ただで酒が飲めるなら、喜んで。
そんな気持ちで飲んだはずなのに、当時の私はまさか二年後、ワインの産地を世界一周するなんて考えてもいませんでした。

『なんだこの飲み物は……』

グラスの中の液体に圧倒され、心を奪われた瞬間を今でも覚えています。
そのボルドーワインは、力強くて、とても優しかった。
当時はワインのことなんて全くわからず、ワインといえば、頭痛、苦味、悪酔い、などマイナスのイメージでした。
しかし、そのワインはいつものそれとは全く異なるものでした。

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色々な果実の香り、自然の香り、甘い香り、知っているようで知らない香り、どこか懐かしい香り、落ち着く香りがいくつも複雑に混じり合って…
口に含むと、液体が爆発するように広がって、小さい時に口いっぱいに甘いお菓子を頬張った時のような幸福感、未体験なのに、どこか懐かしい幸せな感覚に思わず笑ってしまいました。

あまりの衝撃で、店主にワインについて一時間くらい質問をし、財布の中に入っていた5000円とそのワインを交換し、帰路につきます。

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翌日、店主と話をした時に"『神の雫』という漫画を読んでみなさい"と言われたことを思い出します。
古本屋に足を運び、漫画を手に取り、黙々と読みます。そこであるページで手が止まります。


【シャトー・ムートン・ロートシルト1982】

ミレーの晩鐘に例えられたこのワイン。
もともと絵画や美術作品が好きで、この絵画も知っていた私は、なぜこのワインとミレーの晩鐘が重なるか気になります。
そして何より、昨日衝撃を受けたワインと同じ『ボルドー』産であることもあり、とても興味が湧きます。

ムートンについて、全く知らなかった私はスマホで二時間くらい調べ続けました。
ただ、調べてわかったのはボルドーの格付け一級【5大シャトー】の一つ、そして一本25万円という絶望的な価格だけでした。

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私は一度気になることがあると、絶対に解決させないと気が済まない性格です。
漫画で見たワインが気になり、モヤモヤした日々を過ごします。

スーパーで安いワインを買ってみて、比較したりして楽しんでいましたが、やはりあのワインが気になる…
大学にいるときも、電車に乗ってる時も、家で寝転んでるときも、買ったワインを飲んでるときも、シャトームートンロートシルト 1982について毎日調べていました。

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-2017年 4月-

夢を叶えます。
そして、この日が私の人生を変えます。


【1982年の会】

ある日ネットでいつものようにワインを調べていると、5万円でシャトームートンロートシルト1982を飲めるワイン会を見つけてしまったのです。

自分なりにワインは勉強していて、少しの知識は付いていましたが、こんなに古いワインを飲むのは初めてで、とても緊張したのを覚えています。
何より貧乏学生にとって、一度の食事で5万円払うことは、1ヶ月全ての欲を我慢することに等しかったので、相当な覚悟が必要でした。
しかし、その時の私は、なぜか躊躇うこともなくお金を振り込んでいました。
それほどそのワインが気になっていました。

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古酒専門店とされるお店が会場。
緊張して一時間前に最寄駅に着いてしまいました。

どんな人がいるのかわからない、体が震える。緊張で踏み出せず、その辺をうろうろして、時間を潰しました。
結局、開始五分前に店に入ります。

『〇〇ワイン会です』

店の中は埃のかぶったたくさんのワインの空き瓶が陳列されています。

決して豪華な内装ではなく店主も堅苦しくなく、気さくな方。
案内されたとおり、奥へ進むと、

『こんにちは、若いねぇ』

主催者と思われる男性が声をかけてきました。


実は【ワイン会】は初めてではありませんでした。
過去にも、持ち寄りのワイン会や、会費5000円〜程度のワイン会には参加していた。

しかし、それらは決して気持ちのいいものではなかった。
学生だから、若いから、何もわからないから、君にはまだ早いから、ガキだから。
悔しかった。
同じ会費を払ったのに、メインのワインは他の人より減らされたり、残飯を全て私の皿にのせられたり。
平等に扱われなかった。

どうせこのワイン会に集まる人も、いつもと同じ。
もう慣れていたから、貶されるのはこわくありませんでした。

でもそこに集まる人は最後まで全員が私を対等な立場で扱ってくれました。

くだらない蘊蓄の禁止、ワインの知恵比べ、貶しあい、論争が無いだけでこんなに美味しく楽しくワインが飲めると学びました。

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念願のムートン1982からは未だ知らない香りがたくさんしました。全く嫌ではない、どこか心地よい不思議な香り、夕焼けを閉じ込めたような色をした液体を口に含むと、驚くほど落ち着きがあり、穏やかで、ワインが熟成するとこんな素晴らしいものになるのか、と感動しました。
そしてそのワインの余韻がいつまでも口に残るような感覚に震えました。
結果的にミレーの晩鐘は見えませんでしたが、熟成ワインの魅力を知り、ワインの虜になっていました。

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そんな会も終盤、最後に出てきたワインだけは他のワインとは少し違いました。

そして、そこでそのワインを飲むことによって、ワインに魂を捧げることを決意します。

【シャトーラトゥール1982】

35年、完璧な熟成、抜栓前に6ヶ月の安静、他のワインが落ち着き寡黙になる中、飲み頃を迎えたはずのこのワインは、力強さを残していました。角はなく綺麗に丸みがあるのですが、その奥に火が灯っているのを見ました。希望を求めて、深い穴に向かって、ゆっくりと向かっていくような、期待と感動が止まりませんでした。

シャトーラトゥール1982の余韻はいつまでも私の体内を流れ、その炎は燃え尽きることはありません。

飲んだワインは全て1982年

1    Veuve Clicquot   Brut Carte d’Or  1982


2    G.H. Mumm   Cordon Rose Millesime  1982


3    Meursault 1er Cru ” Perrieres ” 1982        Potinet Ampeau


4    Meursault ” Les Narvaux ” 1982          Leroy


5    Chateau  Brane-Cantenac  1982


6    Chateau  Duhart-Milon-Rothschild 1982


7    Chateau  Pichon-Longueville Comtesse de Lalande  1982


8    Chateau  Margaux  1982        


9    Chateau  Mouton-Rothschild  1982


10    Chateau  Latour  1982


これらのワインには全て、【感動】がありました。

時を飲む。

人が35年生きれば、いろいろなことがあるように、ワインも35年経てば複雑な姿に変わります。


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その後、私はワインに【感動】を求め、探求します。

持っていたお金、世界一周でもしようと考え、貯めていた100万円近くのお金も、全てワインにつぎ込み、それでも足りず、朝昼晩と、大学のない日は働き続け、4店舗の飲食店と、印刷工場で働き、ワインを飲み続けました。

知らないものを知りたい。

知れば、また知りたいワインに出会う。

そんな幸せに満ちた日々。


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-2017年9月-
国内ワイン産地を巡り、ボランティアとしてワインづくりを体験しながら学ぶ。

-2018年10月-
日本ソムリエ協会ワインエキスパートを取得。

-2018年12月〜2019年3月-
ワイン産地5大陸・18カ国・世界一周。
世界のワイナリーを105軒訪問、


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テイスティングコメントは初めて飲んだボルドーワインから一度も欠かさず取り続けています。
2019年5月現在、2289種。

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たくさん苦労もしました、経済的なことだけではなく、周りの大人たちには皮肉や罵声を浴びせられた日々も。

一番辛かったのは、尊敬していたソムリエさんに、SNSで飲んだワインのコメントをあげたら、とても冷たい言葉を投げられた時です。

自由にワインを飲みたかっただけなのに。

悲しくて、辛くて、友人たちの理解も得られず、一人ぼっちで、でも、それでもグラスに注ぐ一杯のワインを飲むと幸せになれて

今ではそんな私を応援してくれる人がたくさんいて、一緒にワインを飲んでくれる仲間がいて、今日もワインを飲み続けています。

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好きなことを継続すれば、いつか、必ず振り向いてくれる人がいます。

だから周りになんて言われても、本当に好きなことだけは妥協しないでください。

投げ出さないでください。

継続すれば、それはあなたの人生を豊かにする、パートナーになります。

夢や希望を与えるものになります。


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今の私の目標は、【一人でも多くの若者にワインを知ってもらう】事です。

成人したての時に、私はなぜ、真っ先にビールを手に取ったのでしょうか?

それは、幼い頃からビールを認識していたからです。

家族や親戚がビールを飲んでいて、テレビをつけても、CMで美味しそうにビールを飲む映像を自然に眺めていたからです。

私が、ワインの魅力を広める活動をする事で、それを一人でも多くの方が目にして、ワインを知ってもらえたら、ワインがもっと日常に溶け込んでくれたら、そんな気持ちで今日もワインを飲んでいます。

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ワインの学びは無限です。

学べば学ぶほど深みにはまり、どこまで探求しても終わりはありません。

まだワインを飲み始めて2年半。

知らないことが、知りたいことが星の数ほどあります。

これからも有機的に進化し続けるワインをこれからも愛し続けます。

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