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スタートアップにおけるデザイナーの役割

スタートアップでデザイナーとして感じていること、考えていることを書こうと思います。

まずは現場で開発内外のメンバーから聞かれる「ウチらしくない」「ユーザの声を聞き入れよう」など、主観的な感覚に寄った意見ユーザの声=解決すべき課題と捉える意見にどう向き合いプロダクトの改善に繋げているかということからスタートアップにおけるデザイナーの役割について書こうと思います。

まだサービス像が固まっていない時期に起こる問題

サービス提供者の想いやユーザの声を聞き、それを自社プロダクトに還元していくことは重要です。しかし、提供者側の思い込みで機能開発をすることは、市場ニーズとの乖離からサービスの失敗を招くことになりかねません。

逆に市場ニーズに都度応えているとサービス提供側が自分たちのプロダクトをコントロールすることが難しくなり、結果誰向けのサービスかを見失ってしまい、場当たり的な耐久性の無いプロダクト開発に陥ってしまいます。これは特にユーザ属性が多様になる顧客向けのサービスにおいて注意する必要があります。

ユーザ属性とビジネス要件の整理

そうならないために必要になるのが、サービスに対して親和性の高いユーザとビジネス的に狙いたいユーザの体系化、いわゆるペルソナの作成です。

サービスに親和性の高いユーザとは自社のプロダクトにいち早く価値を見い出し使ってくれているユーザ像、ビジネス的に狙いたいユーザとは自社も持続可能な利益を得られるユーザ像です。

必ずしも既存の提供価値に対して親和性の高いユーザが、収益的にWin-Winの関係になれるとは限りません。親和性の高いユーザはなぜ自分たちのサービスやプロダクトを使ってくれているのかをユーザインタビューをもとに定性的な観点で分析を行い、すでに提供できている価値と、まだ満たせていない価値を洗い出します。特に顧客向けサービスの場合は1つのプロダクトにおいて複数の使われ方、ペルソナが導き出せます。

ビジネス的に狙いたいユーザは市場規模や顧客獲得コストなどの定量データから収益性の良い層を洗い出します。もちろん短期的な収益性だけでなく、サービス提供者として社会に与える影響やブランドの観点も含みます。

社内の目線合わせとプロダクトへの機能還元

定性データから分析した自社の提供価値を体系化することで、自分たちがどのようなサービスを提供しているのかを明らかにすることができ、それを各ペルソナに当てはめ収益性やブランド、開発コストなどビジネス要件と突き合わせ順位付けを行うことで、機能開発の優先順位を決めることができます。

これによって、現場で沸き起こる「そのデザインはウチらしくない」やSNSなどでの自社プロダクトへの要望にも自分たちがそう思うからやユーザが欲しっているから作ろうではなく、ペルソナに当てはめるとそれは誰の要望なのか、その要望の裏にある根本原因は何なのか、その根本原因への解決策は他のペルソナへどのような影響は与えるのかまで認識することができ、社内の意思統一を図りつつその要望に対して適切な還元がプロダクトにもできるようになります。

まとめ

特に事業が安定していないスタートアップのような現場では何においてもスピードが最優先され日々意思決定が繰り返されます。そのような環境ではメンバーのサービスに対する認識や想いもバラバラになりがちです。また、各々のメンバーのプロダクトへの想いが強いが故に起こる問題がスタートアップではつきものです。

デザイナーにはそのような環境においてユーザ調査を行い、ペルソナや価値体系図など視覚的なアウトプットを利用し、自社サービスは誰に向けての何の課題を解決するサービスなのかを明文化すること、社内の目線合わせをし向かうべき方向へリソースを最適化することも役割の1つだと思っています。

1記事目として社内外のサービスやプロダクトへの意見にどう向き合うか、それに対しデザイナーとしてどう対処してサービス・プロダクト開発に貢献するかを実体験をもとにした知見で書きました。同じような立場で働くデザイナーや事業会社・スタートアップのデザイナーがどのような働き方をしているのか気になる方の参考になれば幸いです。

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