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スト6初心者すぎ大会が「誰も傷つけない格ゲー」の新しい形だった話

野田クリスタルさんが開いた「スト6初心者すぎ大会」が面白すぎました。

「ジャンプボタンすらわからない人求む」というハードルを地の底に埋めたコンセプトで開催された異例の大会。冒頭から「キャラって選べるんですか?」という人たちによって参加者のキャラがモダンルーク(初期設定キャラ)だらけになったり、「2先(2試合先取)」の意味がわからず1試合やっただけでみんな帰ってしまったり、コント「格ゲー大会」の様相を呈していて笑えました。

正直、こういうのって嘘つく空気読めない参加者を防げないので「こいつ初心者じゃねーじゃん……」って盛り下がるのが心配でした。実際他のランク限定大会でもそういう趣旨ズレプレイヤーのせいで微妙な空気になってるの見た。

ところがこの大会では「審判団が初心者ではないと判定したら名誉ある失格」というファジーなルールを設定し、むしろそうした嘘つきを見破る“人狼ゲーム”というネタに昇華してしまったのが見事でした。「上手すぎる!失格!」「しゃがみガードしてるから人狼!」とかいう格ゲー大会で聞いたことない実況解説が乱れ飛んでいてよかった。経験者も未経験者も笑いながら参加できる空気があって、このへんお笑い芸人・野田クリスタルが主催したという意味も大きかったと思います。ブレーカーが落ちて中断するとかいう致命的なエラーすら「運営が初心者」「瞬獄殺」とか笑いになっててすげー嚙み合ってるなと思った。

SFL解説でおなじみハメコさん、全キャラマスター・ハイタニさんという実況解説の人選もハマってました

僕も数カ月前まで完全初心者だったから思うんですが、格ゲーって1対1で勝ち負けがはっきり出るし、上手い人にはボコボコにされちゃうし、よくわからん専門用語で語り合ってるし「マニアの世界やん…」って引いちゃう人も多いと思います。僕は引いてました。

でもこんな風に操作もルールもわかってないことを「いい初心者だ!」と認めてくれて、ちょっとでもできると「上手すぎる(から失格)」とべた褒めしてくれるの、最初のゲーム体験としてめちゃくちゃあったけえなと思いました。ストIIとかちょっとやってて波動拳くらいは出せるっぽい「クラおじ(クラシック操作選んでるおじさん)」には審判団も「帰ってきてくれて嬉しい」とか言ってちょっと判定甘くなってるのも人情味があってよかったです。

1つのブロックが丸ごと失格になるなどの激闘(?)を乗り越え、決勝に勝ち残った真の初心者2人による決勝戦。ものすごい勢いでボタンを連打していることがわかる“滝のようなキーディス”に両者の魂を感じてめちゃくちゃ笑いながら感動しました。名勝負というのは実力の有無ではなく人の思いのぶつかりによって生まれるのだということを再認識しました。

お互い死ぬほど同じボタン連打してるのが熱い

ゲームに限りませんが、スポーツでも将棋でもお笑いの賞レースでも、“結果としての勝ち負けはあるけどその行い自体が楽しい”って要素がたくさんあって、スト6初心者すぎ大会は格闘ゲームにまつわる楽しい部分をたくさん見せてくれたと思います。素晴らしいeスポーツ大会でした。

おまけ

以下メンバーシップ向けのおまけです。スト6からまともに格ゲーやり始めた僕は最初のころどんなだったのか、配信アーカイブがあったのでちょっと見てみました。初心者ブランカがダイヤ5になるまでの軌跡です。

ベータ版のころはまだブランカがいませんでした

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