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はじめての借金、政策金融公庫から融資を受ける具体的な流れ

私たちは「子どもたちのやりたい!をカタチに」というミッションを掲げ、YouTuberになりたい小学生を対象に、映像制作、ネットリテラシーを学ぶフルマオンラインという習い事を運営しています。

先日、政策金融公庫から融資を受けました。

僕自身、初めての融資だったため、何を準備するのか、どんなスケジュールで進むのか全く分からなかっため、同じように初めての融資を検討している方のお役に立てればと思い、この記事を書いています。

細かい内容は省いて、ざっくりと書いています。
使う制度によっても違うので、あくまで一例として見ていただけると幸いです。

【目次】
ざっくりとしたスケジュール
融資を受ける前のチェックリスト
 (1)本当に融資を受けるか決める
 (2)融資希望金額の決め方
 (3)返済シュミレーションの立て方
 (4)据置期間を設定する場合
 (5)無担保と無保証の違いを理解する
 (6)期限の利益喪失に注意
スケジュール詳細と必要書類
 (1)公庫窓口に行く、もしくは書類を郵送
タイトルに借金という言葉を入れた理由

ざっくりとしたスケジュール

スケジュール感だけ知りたい!という方はこちらを御覧ください。

3月30日:税理士さんに融資の相談
4月02日:公庫窓口にて書類提出
4月09日:電話にて面談日程決定
4月27日:公庫に行き担当者と面談
4月28日:電話にて公庫から融資決定
5月03日:書類到着
5月07日:書類提出
5月27日:着金

今回はコロナの影響で、窓口が混んでいたため、いつもより時間がかかっていたようです。通常は書類提出から着金までは1ヶ月〜1.5ヶ月ほどで完了するようです。(2回目以降の融資は、もっと早く着金するらしい。)

融資を受ける前のチェックリスト

(1)本当に融資を受けるか決める
融資を受ける前に、本当に融資を受けるべきかを考える必要があります。融資を受けると返済義務が発生します。

一時的には良くても、借りた金額よりたくさん返すわけなので、それに耐えられないと潰れます。

融資を受けることで決められた期間内に「元本(借りたお金)+利子」以上のお金を生み出せるか、をよく考えて融資の計画を立てる必要があります。


(2)融資希望金額の決め方
融資を受ける場合、いくら借りるかを決める必要があります。
政策金融公庫から運転資金の融資を受ける場合、公庫の担当者曰く、

毎月出て行くお金(バーンレート)の6ヶ月分が一つの目安になります。」

と仰っていました。
ケースバイケースではありますが、運転資金の場合、毎月出ていくお金の6ヶ月分、というのを一つの目安にするといいと思います。


(3)返済シュミレーションの立て方
借りる金額が決まったら、どのぐらいの期間で返すかを決める必要があります。色々な返済期間の決め方がありますが、営業利益から考える方法があります。

例えば1000万を5年で返す場合
毎年200万の元金+利息を返済する必要があります。

毎年200万の営業利益なら5年、
毎年250万の営業利益なら4年
毎年100万の営業利益なら10年

のような感じです。(ざっくりなイメージです。)

もちろんギリギリだと思わぬ出費に耐えられないことになるので、ある程度は余裕をもっておくと安心です。

融資を受けてすぐに売上が立たないビジネスモデルの場合は、据置き期間を設定することができます。


(4)据置き期間を設定する場合
据置き期間とは、期間中利息の支払いのみ、元本の支払いをする必要がなくなります。つまり元本の返済がないため、最初は余裕を持った返済にすることができます。

例えば

据置期間なしで1000万を5年で返す場合
1年目:200万+利息
2年目:200万+利息
3年目:200万+利息
4年目:200万+利息
5年目:200万+利息

据置期間を1年で1000万を5年で返す場合
1年目:利息のみ
2年目:250万+利息
3年目:250万+利息
4年目:250万+利息
5年目:250万+利息

初期投資が必要な場合など、売上が立つまで時間がかかることが予想される場合はうまく据置きを活用していきましょう。

据置期間の注意点は、同じ返済期間だと、据置期間を設定すると、1年あたりの返済額が予定より増えることです。

1000万を5年で返済するの場合、
据置期間がない場合:(200万+利息)×5年
据置期間1年の場合:利息×1年+(250万+利息)×4年

上記のように、1年間の返済額が大きくなることがわかります。

返済額が問題なければ、そのままで大丈夫です。
もし1年あたりの返済額が大きすぎると感じた場合は、上記の例だと
据置期間1年+5年の6年を返済期間にすると想定通りの返済額になります。


(5)無担保と無保証の違いを理解する
最初に言葉の定義を確認しておきましょう。

無担保・無保証とは?

無担保:担保(土地や建物など)が必要ない
無保証:連帯保証人が必要ない

気をつけなくてはならないのは「無保証」についてです。

多くの場合、無担保にはなっても、無保証になることはありません。

融資の制度や金額、企業規模、財務状況により無保証融資が可能な場合があります。

しかし基本は、社長の個人保証が必要になり、会社の連帯保証人になることを求められます。

これの意味することは、会社が倒産して残った借金は、社長(連帯保証人)に返済義務が生じる、ということです。

従業員を守る、取引先を守る、どれも大切ですが、返済見込みが乏しいにも関わらず、借金を増やすと、最悪の場合社長自身の首を締めることになるので要注意です。

無保証で融資してもらえないかは確認してみましょう。個人保証を外せるなら、できるだけ避けるのが無難です。(多くの場合難しいようですが)


(6)期限の利益喪失に注意

期限の利益喪失とは
公庫(銀行)からすぐに借りたお金を全額返すことを求められること

細かいことは省いて、ざっくり説明すると上記のようなことです。

期限の利益というのは、貸し手と借り手は、決められた返済期間と金額を守りますよ、いう約束です。

5年返済と約束したのに、2年目に全額すぐに返してください、という無茶振りを防ぐ効果があります。

期限の利益喪失は、この約束が破棄され、今すぐに全額返してください、すぐに!と公庫(銀行)が主張できる状態を指します。

期限の利益の喪失が起こると、かなり会社にとっては厳しい状況になります。いきなり全額返す現金なんて口座の残高にない場合や、あったとしても、全額返すと会社のキャッシュフローが回らなくなって、従業員の給与等が払えなくなってしまいます。

非常に恐ろしいです。

そんな怖いことが起こらないためにも、期限の利益喪失が起こる場合を知っておく必要があります。

ここは契約書にしっかりかいてありますが、一番やってしまいそうなのは、計画と異なる資金の使い方をした場合(嘘の理由で資金を得て、他に使った場合)です。

例えば設備投資で1000万融資を受けたのに、ベンツを1000万で買った、みたいな感じです。

これをすると、一発アウトです。

使途を全部細かく出す必要はありませんが、明らかに公庫を騙すような、
うまく理由をつけてとりあえず借りちゃえ、は危険です。注意しましょう。

しかし世の中びっくりするぐらい(あまり言えないような)やり方が色々あるらしいです。

自分には度胸がなく、公庫(銀行)を含む貸し手側には、あくまで誠実な対応が前提だと僕は思いますが。(当たり前なんですけど)

スケジュール詳細と必要書類

融資金額、返済スケジュールが決まり、個人保証、期限の利益喪失を理解したら、いよいよ書類の準備に取り掛かります。

(1)公庫窓口に行く、もしくは書類を郵送
使う融資の制度により、必要書類が異なるので、詳細はこちらから確認してください。

僕は新型コロナウイルス感染症特別貸付だったので、以下の書類を用意して直接窓口に行きました。⑥⑦⑧は税理士さんのアドバイスで僕が自主的に追加で提出した書類のため、なくても問題ないと思います。

①借入申込書
②コロナウイルス売上減少報告書(相談時点では作成してない)
③直近2期分の確定申告書・決算書の写し
④履歴事項全部証明書
⑤ご商売の概要

⑥事業計画書
⑦2020年度の事業計画数値
⑧2019年度2月までの試算表

融資制度、必要な書類の詳細はこちらから確認できます。
公庫窓口の方は、使えそうな制度などを詳しく、とても丁寧に教えてくれました。困ったこと、分からないことがあれば一度相談しにいくのもありかもしれません。


(2)電話で面談日程の調整
書類を提出すると、後日公庫の担当者から面談日程調整と追加提出書類依頼の電話がきます。

僕の場合は、書類提出してから1週間ほどで連絡がきました。
その際に面談日程の調整と合わせて、以下の書類の持参を求められました。

①月次試算表(今期分_PLのみでOK)
②通帳会社(12月から最新まで)
③通帳個人(全て)
④直前の法人税の領収書
⑤直前の源泉所得税の領収書
⑥賃貸契約書(会社と個人)
⑦免許書

面談は約3週間後、とにかくコロナの影響で混み合っているようでした。混雑していなかれば、もっとスムーズにいくと思います。


(3)面談
格好はスーツではなく、デニムにシャツで行きました。
面談に行くと、個室に通されて、事業についてや現在の財務状況などを質問されます。事業計画の資料に会社説明を入れていたり、担当者の方が事前にWebサイトを見ていただいていたので、基本的なビジネスモデルと今後の見通しを話しました。

僕の場合はすごく優しい方で、詰められる、みたいな雰囲気ではなく、提出した書類の内容があっているか、分からなかったところを確認している感じでした。

BSについての質問はあまりなく、PLを見てる様子でしたが、特に突っ込まれることはありません。

売上減少の理由や、売上を増やせる理由がロジカルに説明できれば特に問題ないと思います。

公庫の方はどちらかというと企業の人側に寄り添った会話の仕方で、もっと詰められると思っていたこともあり、とても温かく感じました。


(4)電話で融資結果の連絡がくる
面談が終わると、電話で融資金額についての結果が知らされます。
面談の際は1週間以内に連絡します、と言われていましたが、翌日には融資が通ったと電話がきました。

金額など最終条件について問題ないかを聞かれます。
問題ないと伝えると、後日書類を郵送するので、必要書類を返送してください、と言われました。この時点でほぼ融資されることは決定します。


(5)書類が届いて提出
融資結果の電話が来た後、5日程度で最終的な書類が届き、サインして以下の書類を返送しました。

①借用証書
②印鑑証明書(会社と個人)
③預金通帳コピー
④預金口座振替利用届

特に重要なのは借用証書です。
これにサインすることで、正式に融資を申込むことになります。

借用証書には、借用金額、利率、返済金額と期間(回数)、借主、連帯保証人、契約に関する重要事項案内が記載されています。

特に重要な部分については太字にしたり、枠線で囲ったりと、読み手のことを考えた、親切な契約書に見えました。


(6)着金
書類を提出してから3週間後に指定した銀行口座に着金がありました。
これで手続きは完了、あとは毎月完済するまで自動引き落としで返済がスタートします。

以上が相談から着金までの流れです。

今回は申請から着金まで約2ヶ月かかりました、コロナの影響が大きかったのかも知れません、検討している方は余裕をもったスケジュールを引くことをオススメします。

あくまで一例ですが、公庫からの融資を検討されている方のお役に立てると幸いです。


タイトルに「借金」という言葉を入れた理由

スタートアップ、ベンチャー界隈にいると「資金調達」という言葉をよく目にします。

資金調達にも大きくエクイティとデットがあり、プレスリリースで出る資金調達はエクイティファイナンスを指していることが多いです。

融資のことをデットファイナンスと呼んだりしますが、簡単にいうと借金です。

さすがにプレスリリースで借金しました!というのは見たことがないですが、デットファイナンスというと何だかカッコよく聞こえますよね。

でも借金です。
公庫や銀行など、融資をする機関は何十倍ものリターンを期待しているわけではありません。その点でVCとは大きく性格が異なります。

「確実に返せよ」

これが借金です。
僕は借金をしました。
会社が飛んだら僕が払うことになります。

このことを忘れないためにも、あえてタイトルに「借金」という強い言葉を使いました。

正直、去年も融資を検討したことがありましたが、恥ずかしながら個人保証が付くのが怖くて借金が出来ませんでした。

でも今回は前向きに、迷うことなく借金が出来ました。

それは、倒産するから、というよりも非常食というか、念のため現金を確保する目的で融資を受けたからかもしれません。

コロナの影響が出始める2月ぐらいには、先輩起業家たちが皆口を揃えて

「現金を確保せよ」

と仰っていました。
起業したのが2016年7月なので、不況というものをまだ経験していません。
ここを踏ん張れるか、そのあと伸ばせるか、は頑張りどころであり、負けないことが大事だと思い、できれば負いたくない借金でも、資金を集めることを優先しました。

僕個人の考え方として、バットを振れる回数さえ増やせれば、いつかは勝てると思っています。

今回の融資もその方針からの選択です。
繰り返しになりますが、基本借金ってあまりしたいものではありません笑
でも必要に応じて柔軟な選択肢を選んでいきたいと思います。

まとまりのない文章ですいません。
このnoteが誰かの役に立てると嬉しいです!

僕らは子どもたちのYouTuberになりたい!映像を作りたい!ゲーム実況をやりたい!そんな想いをこれからも応援していきます!

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