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【神山まるごと高専】「そんなこと言われたら、もうやるしかない!」理事長の寺田さんから聞いた100億集める理由

子ども向けオンライン動画制作教室「FULMA Online(フルマオンライン)」を運営するフルマの齊藤です。

先日、「運用益による学費無償化【神山まるごと高専モデル】の衝撃」というnoteを書きました。


好き勝手、興奮しながら書いたnoteですが、
大変光栄なことに、神山まるごと高専の運営チームの方々にも読んでいただき「一度お話しましょう」とまで言っていただきました。

さらにスキーム実現に向けて動いている長谷川さんにはDMで質問をさせていただき、丁寧な回答までいただきました。
(嬉しい…いいんですか…こんなに丁寧に対応いただいて…)

そして最終的には
神山まるごと高専の理事長(予定)であり
Sansanの代表取締役 / CEOを務める寺田さんにも読んでいただき、

嬉しくなってDMでお礼のご連絡をさせていただいたところ、
まさかの直接お会いできる機会をいただくことになりました。

(えぇ…どうしよう…聞きたいことがありすぎる…緊張…)


当初、寺田さんからお聞きした内容をnoteにする予定はありませんでした。

そのため、写真を撮ったり、細かいメモはせず、
ひたすら気になっていたことを質問し続けていました。

しかし、MTGを終えて、お聞きした内容をまとめているうちに、
自分の中だけで消化するのはもったいないのではないかと思い、
広報の小池さんに、MTGの内容をnoteに書いてもいいかと確認を取りました。

すると小池さんから「現時点で出せる情報であればOK」という連絡と合わせて、「こんなこともあるかなと」とお写真をいただきました。
(自分も小池さんのように可能性を先回りできる人間になりたい…)


前置きが長くなりましたが、ここからはお話の内容を簡単にまとめていきます。


Q:どうして今回のスキームを思いついたか教えてもらえませんか?


寺田さん:
最初から学費を無償にしたい、というのが先にあったんです。
その上でどういう方法があるかと考えた時に、
100億円を奨学金基金として集めて、利回りを5%として5億運用をする構想は割と早い段階から考えてはいました。そしてそこに長期的な寄付も加えると成立するかなと。
 
最初に24億円の寄付を集めた時には、ものすごく大変だったんです。
寄付って、企業様にお金をいただくことで、明確な見返りをお返しできない。これを毎年やってたらサステイナブルではないなと思ってしまいました笑
 
他の方法はないだろうかと思っていた時に、
運用スキームなら出来るかもしれないという話がディスカッションで出ました。

MITなどが7%近くで運用している実績もあるし、いけるんじゃないかと。

いろんな人の助言があり、検討を重ねていくなかで、運用益モデルが実現できそうなことが分かってきました。
仕組み的に出来るのであれば、100億円は集められるという気はしました。

細かい話だと今回のスキームは出資であり、お金を出す企業側が損益にならないのがポイントだったりして、どうすれば集めやすいかも考えました。

企業はすごい金額を銀行にある意味、眠らせている。
そのお金を、預ける先を変えることによって、社会貢献をすることができる。そんなスキームになるイメージでした。

実際に出資集めを始めたら、とても大変でした笑


Q:出資者(企業)にはMAX出資額までのリターンで、それ以上は返せない、という認識であっていますか?


寺田さん:その通りです。
非営利型の一般社団法人を選択する場合、出資金額までしか返せない仕組みになっています。(余剰金の分配ができない)

このモデルがうまくいけば、企業の休眠資産が社会に回り始める。
ぜひこのモデルが広まってをしてほしいと考えています。


社会的意義が大きいとはいえ、10億円を出せる企業は限られていますよね?出資企業のメリットや出資する理由はなんでしょうか?


寺田さん:企業の冠をつけた奨学金を出すことによって、一定、企業としてブランディングに貢献できます。
加えて、企業としての社会貢献だけでなく、生徒からアイディアを募ったり、協業など具体的なメリットを得ることができます。

とはいえ、出資を決めていただくには、本校への共感が一番重要で、共感からアクションしてもらうことが多いです。


Q:ぶっちゃけ、断られるケースの多いのかなと思うんですけど、出してくれる企業の特徴とかってあったりするんですか?


寺田さん:トップが会社のビジョンと本校のコンセプトやビジョンとを重ね合わせ、共感いただき、後押しいただける会社から拠出いただけることが多いです。

少しずつ意思を固めてくれている会社様が増えつつあり、今後発表することができそうです。

そして少しずつ出資を決める企業が増えてくれると、他の企業も検討に入ってくれたりしますからね。

奨学金基金の話ではないですが、開校資金集めの際には、
環境とタイミングの影響も大きかったと思います。

コロナがきたじゃないですか。
あれによって寄附のお願いのMTGをオンラインにせざるを得なくなった。

ちょっと前じゃありえないですよね?
お金出してもらうのに、オンラインでなんて失礼だ、的な。

それにSansanの仕事もありますし、全部オフラインだったら仕事が回らなかったかもしれない。

1日8アポみたいな状態でいろんな方にご相談できたのは、コロナ禍を逆手に取れたのが非常に大きいと思います。

とはいえ一人では決して出資を集められないと思っています。
ここいる元々Sansanの営業エースだった長谷川が自ら志願して、神山まるごと高専の開校支援に協力したいと申し出てくれたんです。

実際に、Sansanはリソースサポーターとして、CSV活動としてこの学校の開校を後押ししていますが、その一員に加わってくれた。

彼は神山町に移住することも決まってますし、こうやっていろんな人が協力してくれたから今があるのは大きいですね。

結構この高専のプロジェクトは、人の力が大きいんです。
あの人がいなかったら出来なかった、ということが非常に多くて、
いろんなタイミングと出会いによってここまできたという感じです。


実は最初50億を集めて一部の学生に対して奨学金を出そうという話だったんです。

でも運営のメンバーから
「わかりにくいから倍の100億集めて、学費無料にした方がいいと思います」
という意見があって。

確かにそうだなって思いました。

100億集めるってすごい大変なんですけど、50億にしなくてよかったと今は心から思います。

50億で一部学費無料だと出資を集められなかったと思っています。

わかりにくいし、記憶にも残りづらいので。


Q:上場企業の社長として忙しい中で、さらに学校づくりの先頭に立ってコミットするというのは聞いたことがありません。
その熱源はどこからきているんでしょうか?


寺田さん:実は最初、私自身が先頭に立つつもりはなかったです。

だからこそ理事長探しには時間をかけて、この人にお願いしたい、と思う人にアプローチをしていきました。

でも、この人にお願いしたい!と思っていた山川咲(現クリエイティブディレクター)に

「寺田さんが理事長をやるか、このプロジェクトを白紙に戻すか、どちらかにすべき」と言われたんですよね。

あれが一番衝撃でしたね。
そこで自分の中で覚悟が決めなければと思いました。

また周りの人を自分がたくさん巻き込んできた責任、プレッシャーもありました。

例えば、このプロジェクトが失敗したとすると、町やその業界に居づらくなってしまうメンバーもいるかもしれない。

そんなこと考えたら、もうやるしかないって思うじゃないですか笑

起業して会社を一個作る。投資家の皆さんから資金調達をするのと同じぐらい、もしかしたら、それより大変だし、しんどいですよ。
投資はあくまでも投資。
でも寄付って想いが乗っていて、しかも自分が巻き込んだ人がたくさんいます。

経済規模で言えば、数億レベルの話。1つの会社から見たら必ずしも大きくないかもしれない。ですが、起業するより学校を作る方がずっと大変だとわかりました。

こんな大変なことを、他の人にお願いしようとしていたんだなと思って申し訳ない気持ちになりましたよ笑

だんだん周りがかたまっていき、気づけばもうやるしかない、という状態でした。
最初は大変、しんどい、という気持ちが大きかったですが、だんだんとワクワクに変わっていきました。


Q:外から見ているとすごく上手くいっているようにみえるんですが、何か課題はあったりするのでしょうか?


寺田さん:今の課題は奨学金が本当に必要な子に届くようにしたいということです

こないだオフラインイベント「神山まるごと高専 presents 未来の学校FES」を行ったのですが、来場者の中心的なシェアを占めるのは、イベントの存在を知っているような情報感度の高い保護者の皆さん、イベントのために東京や神山にきてくれるなど、経済的に豊かな家庭がほとんどです。

僕らはお金持ちが集まるボーディングスクールを作りたいわけじゃないんです。本当に学びたい子が経済的な理由で諦めてなくよい学校にしたいだけなんです。

どうやってこの矛盾の状況を変えて、必要な子や保護者にリーチできるかは現在の悩みですね。


MTGを終えて

あっという間の1時間、大変貴重なお話を聞くことができました。
記者でもない、僕のような若造に対しても、びっくりするぐらい丁寧で、柔らかい口調でお話ししていただき、人間味と魅力に溢れた方で感動しました。

学校のビジョンだけでなく、きっとこういう寺田さんの人柄も素敵な仲間が集まる引力になっているだろうなぁ。

学校立ち上げの話の時、寺田さんはずっと、
ほんとヤバかったんですよ!と大変でした、しんどかったです!
と笑いながら話しているのが印象的で、

今回は運用益のスキームについて興奮して書いたnoteをキッカケに、MTGの場を設定いただきましたが、立ち上げの裏側、葛藤まで教えていただけて本当に贅沢な時間になりました。

自ら先頭に立つことで実現する世界(先頭に立たないとできないこと)もあるんだなと。

想いに共感した時に、自分もいつかサクッと10億出せるぐらい、頑張りたいと思いますm(_ _)m

奨学金無償が本当に必要な人に届けたいという想い、
これは公立の中学校などで学校案内やポスター掲示ができて、
必要な子の目に届くといいですよね。

ウチの学校でも案内掲示したい!という学校がありましたら、
神山まるごと高専のサイトから連絡してみてください。
(こんなこと勝手に言っていいのかわかりませんが笑)

サマースクールの参加者も募集しているようなので、ぜひ!

以上!

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