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2020年の誕生日を迎えて

いつもと同じようではないけれど、誕生日がまた、やってきました。

1月〜3月に、同級生の斎藤徹くんが開催してくれたhintゼミで、自分の強みを活かしながら、自分・社員・周囲の人の幸せ創出を基準に生きていくということを大変強く意識するようになりました。

いま、自分に何ができるんだろう。

鏡に映るアスパラガスのように、自分自身を観察しました。

1) 自分は「変化する者」か?

私が尊敬するプラネタリウム・クリエイターの大平貴之さん は、いつもいろんなアイデアを発信してくれています。

その中で、「進化論」で有名なダーウィンが、「生き残る者は、強い者でも、賢い者でもない。変化する者だ。」と述べたことを引用して今後の世界を考察していたことに感銘を受けました。

”自分は「変化する者」か?”

それ以来、この問いは毎日頭に浮かんでいます。

どんな小さなきっかけでも確実に拾い、変化につながるかどうか、試したい。同時に、人々が困っていることに関心を向け、良く観察して、解決する方法を模索したいと思います。

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2) 保険適応となったドゥイブス法を、患者さんのもとへ

【DWIBS(ドゥイブス)法とはこんな方法】

・MRIの撮影法のひとつ。拡散強調画像(DWI)を改良。
・がんの有無の判断や、治療経過観察ができる。
・被曝がなく、注射不要。寝ているだけで撮影できる。
・安価なので、繰り返し検査できる。

今年3月に、突如として、全身MRI(前立腺がんの骨転移)の保険適用(加算)が認められました。

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2年余り前に、中医協で審査される原案に関わらせていただきましたが、そのときは最終審査には通りませんでした。

その後、泌尿器科や乳腺外科、あるいは血液内科の先生方が必要性について運動してくださり、また患者会の皆さんも応援してくださり、世論が盛り上がってきてはいました。しかし突然認可になったのは青天の霹靂でした。

▼ 全国58施設で認定済み。国立がんセンターも予定。

コロナの影に隠れていますが、しかしこれは本当に大きなインパクトでした。日本医学放射線学会の公式ページによると、すでに全国58施設で加算申請が認められたそうです。

国立がんセンターもすでに申請済み(認可待ち)とのことです。ということは、癌の正式な診断法の一角として、ナショナルセンターで採用してもらえることになったのです。これほど象徴的なニュースはありません。

患者さんからは「受けたい希望があるのに、受けられる病院を探すのに難儀する」とのお叱りを受けておりましたが、これでようやくその下地ができました。2004年の発表以来、実に16年目の出来事です。

▼ 実際の読影法・撮影法の普及が必要

しかし、実際には、①読影法がまだよくわからない、②撮影法が難しい、との医師・技師の声があります。このため、例えば以下のように、DWIBS上かなり明白でも、信じてもらえないこともあります。

この画像では、4月の段階で骨転移の可能性が高いとレポートしました。しかし「本当かどうかわからない」ということになり、判断保留で未処置のままとなっています。他の検査では写っていなかったためです。この間、患者さんは待つしかありません。

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欧州のガイドラインで、DWIBS法が骨転移診断のファーストチョイスとなったのは5年以上も前のことですが、まだ認知度が足りません。

上記の例では、Batson静脈叢の豊富な右椎弓根の所見であること、また2月〜4月の3回シリーズの持続的な変化を見れば、ほとんどの診断医が転移疑いと診断すると思います。しかし、別の(それも1回の)感度の低い検査結果が優先されることを稀ならず経験します。

そこで今年は、勉強会や動画、文書で、診断法や撮影法の実際を伝えていきたいと思います。

以下のように3回に分けて、まずはBody DWI研究会(Web)で基本事項を伝えることを手始めといたします。この研究会をweb聴講してくだされば、基本的な読影ができるようになりますので、医療関係者の皆さまは奮ってご参加ください(下の画像クリックで遷移)。

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▼ 痛くないMRI乳がん検診 

一昨年始めた「痛くないMRI乳がん検診」の受診者感想は、NPS 20〜50という、一般の検診としては考えられないほど、非常に高い評価を得ています。

綿密にアンケートをいただき、さまざまな改善をしたのですが、こんなに良く思っていただけることは、とてもうれしく思っています

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マンモグラフィで「デンスブレスト(高濃度乳房)」となっている人には特に有用ですし、検出能力が非常に高くなるよう、診断上の工夫を凝らし、また画質の調整をとにかく入念にしています。

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社会情勢とは無関係に、癌は密かに身体のなかで増大を続けています。

コロナが落ち着いたら、皆さんには引き続き受けていただけるよう、続けていきたいと思います。

また今年後半〜来年の乳がん関連の学会では、(もし開催されるなら)出番があるので、発表などを続け、乳がん関係の医療関係者にも伝えようと思います。

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3) 音声認識を、改めて紹介する

音声認識は、西暦2000年から使っています。2001年に投稿した論文のデータがこれです。PCのスペックみてください。Pentium III 500MHz(メモリ256MB)で、ですよ。

そのときすでに、この違い。

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もう、圧倒的に入力が速いのです。

ところが哀しいことに「タイプ打ちが速い」と自認する人がとくに使いません。
あるいは、「ぜんぜんムリ」といって最初から投げ出してしまう日本人のなんと多いことか。

・・・チコちゃんに叱られます。

ワープロ検定というのがあって、1級は、1分間に(修正も入れて)80文字相当 です(最近はいろんな付加条件ができましたが、速度として「間違いない80字」を要求されることは変わっていません。この論文を執筆した自分の速度は(修正に要する時間も含めて)毎分99字でしたから、結構速いです。

もちろんそれよりもっと速く打てる人もいます。でも、それを自慢しても、余り意味がないです。

というか、ぜんぜん価値が違う。
音声認識はそれよりもうんと速く、疲れないからです。

この「疲れない」がポイント。
肩こりしながらパチパチを続けるなんて、馬鹿らしい。タイピングにしゃかりきになっても、他の能力が下がってます。

音声認識は、タイプが速いから要らないのではなくて、
リテラシーとしての、もう一つの入力手段

なんです。

ただ、喋れば良いのではなくて、

・「てん・まる・かいぎょう」をスムースに文章中で言える。
・「連続音声認識」なので、短く切ると変換の正確性が下がる。ある程度長く発話できる。
・「考えながら文を組み立てて」発話する。

といったことができるかどうかのリテラシーだと言うこともできます。

私は速い → 私は考えて発話できる能力がある という違い。

一度使えるようになると、LINEなどの短めのやりとりなどに、驚異的な能力を発揮します。下記は、そのデモ例です。認識しながらコンピュータが考えている様子、ご覧になれますか。連続音声認識*だからです。

*連続音声認識(CSR; Continuous Speech Recognition):  ある発話に対して文字に変換する際にその前後の音声も解析して、最適と思われる変換結果を返すこと。このため、最初に変換された文字も、発話していくと後で修正されることを期待できる。また発話は、短くすればするほど効率が悪い。習熟して長く喋れるようになると、変換も正確になる特性がある。

意外なことに、新幹線の中でものすごく小さな声で入れても入力できます。
音声認識の辞書的なものを作る方法もありますから、こういった技術を、わかりやすく説明する動画をもう少し作ろうと思います。

これは、その後に作成した、日本語を音声入力→DeepLで英語翻訳の例です。音声認識の能力を獲得することで、新しい効率を獲得できます。


コロナのことがありますから、重症化したら一週間でこの世を去らなくてはなりません。その覚悟をもって、新しい一年を過ごそうと思います。

これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

2020.5.17 
高原太郎

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【付録】

▼ AmiVoiceは、「マイク修正」を会得するかどうかで成否が決まる。

医学領域で圧倒的な性能のあるAmiVoice(アドバンスト・メディア)が、なぜ優れているか。

それは、Siriなどの汎用の音声認識が、いわば「入力だけ」のものであるのに対し、マイクで修正できるからです。

マイクで修正 というのはつまり、基本的にキーボードに手を触れる必要がなくなるということです。これを知らない人が多いです。

もう一つは、ユーザー辞書を一回だけ登録することです。

これは以前、アドバンスト・メディアが主催した学会のサテライトミーティングの動画がありますので、リンクします。

・マイク修正は2つの機能だけ覚えればOK
・ユーザー辞書の登録のしかた  を御覧ください。














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