マガジンのカバー画像

読書メモ

23
日々読んだものの記録
運営しているクリエイター

記事一覧

【2019年版】明日から社会人になる人たちにオススメする4冊(就活生にもオススメ)

【2019年版】明日から社会人になる人たちにオススメする4冊(就活生にもオススメ)

2年前に似たような記事のタイトルをてきとーに書いたことがあるんですけど、今でも継続的に読まれているので、ニーズがあるんだなということで2019年版を書こうと思います。

あらためて書こうと思った背景にはこういう事情もあります。

- この数年で働き方が本当に変わってきており、新社会人もその変化に備えておいた方がよい
- この数年だけでも仕事に関する良書がいくつも出版された
- 前回は本当にテキトー

もっとみる
「ボヘミアン・ラプソディ」と『フェルマーの最終定理』に見るモチベーションの源泉

「ボヘミアン・ラプソディ」と『フェルマーの最終定理』に見るモチベーションの源泉

巷ではQUEENのフレディ・マーキュリーの伝記映画「ボヘミアン・ラプソィ」が大旋風を巻き起こしてますね。
僕も初週にDolby atomosで観ましたが、素晴らしすぎて今年観たほかの映画を全部忘れてしまいました。今度はIMAXでもう一度観るつもりです。

※注:微妙に映画のネタバレあります(wikipediaレベルの情報ですが)

この映画で最高だなと思ったのは、QUEENとフレディの重要な転換点

もっとみる
『逆説のスタートアップ思考』はスタートアップしなくても役に立つ良書です。

『逆説のスタートアップ思考』はスタートアップしなくても役に立つ良書です。

一部の界隈で話題になっていた『逆説のスタートアップ思考』(馬田隆明、中公新書ラクレ)という本が評判通り素晴らしい本だったのですごく簡単にご紹介(というかほぼ自分用のメモ)。

「スタートアップは半直感的である」ということが全体メッセージですが、それより具体的各論が非常にためになるので最初から最後まで精読をお勧めします。特に�プロダクトに関する章はインターネットサービスに携わっている人すべてに役立つ

もっとみる

明日から社会人になる人たちにオススメする5冊

明日から社会人になる皆さま、おめでとうございます。
僕もこれから新卒を育てなくてはならないので、そのために使おうと思っている本をせっかくだからご紹介します。

(2019年版を書いたのにこちらの方が読まれるので、リンクを貼っておきます)

【基本姿勢1】『入社1年目の教科書』(岩瀬大輔、ダイヤモンド社)

社会人1年目を迎えるにあたっての基本的な姿勢を正しく身につけることはその後のキャリアの大きな

もっとみる
問題は1%の富裕層ではない、中産階級(エリート)なのだ

問題は1%の富裕層ではない、中産階級(エリート)なのだ

エマニュエル・トッドの『問題は英国ではない、EUなのだ』を読んだのですが、この本の中でのエリート批判が痛烈で興味深かったのでメモ。

BREXITとトランプ大統領誕生を予期していただろうトッド氏の問題意識の中心のひとつが、この本で指摘されているエリートのナルシスト化。注意すべき点は、ここで言う"エリート"とは"1%の富裕層"のような狭い話ではなく、高等教育を受けた中産階級全体、ざっくり言えば社会の

もっとみる
『日本3.0 2020年の人生戦略』佐々木紀彦

『日本3.0 2020年の人生戦略』佐々木紀彦

NewsPicksの佐々木編集長の著書。

2020年を節目に日本は大きく変わる。なぜそうなるのか。具体的にどう変わるのか。その変化の時代に私たちはどう行動すべきなのか。
ということを、「国家」「経済」「仕事」「教育」「リーダー」という観点から論じている。

極めて広いトピックを扱っていながらリーダブルなのはさすが佐々木編集長といったところだが、現代の日本人に対する痛烈な批評と最重要でアクショナブ

もっとみる
理系になりたい僕が成毛眞氏推薦図書から読んだ本とこれから読む本6選

理系になりたい僕が成毛眞氏推薦図書から読んだ本とこれから読む本6選

正月に成毛眞さんの『AI時代の人生戦略』(SB新書)という本を一気読みしたのでご紹介する。

いわゆるSTEM(STEAM)教育がこれからの若者だけでなく、おっさん達にも大事であるということを主張する本である。
(STEM教育の意味すらわからない方は是非ググるか、成毛さんの著書を読んでみたください。)

概要を個人的に参考になった部分でウェイトをかけて要約(意訳)すると、
・15~16歳くらいまで

もっとみる
2016年に読んでよかった本8冊

2016年に読んでよかった本8冊

2016年は年間でだいたい50冊くらい本を読んだようです。
(写真はツタヤ発祥の地、枚方の蔦屋書店)

自分のために記録している読書ノートから、個人的に特によかった本をご紹介します。2016年に出版された本というわけではなく、あくまで芹川が2016年に読んだ本ということなので、今更感があったとしても怒らないでください。

(ビジネス編)

『ピクト図解』:板橋悟(ダイヤモンド社)2010年刊なので

もっとみる

『新・所得倍増論』(デービッド・アトキンソン)

この本の主張は極めてシンプルであり、以下の3点に要約できる。

・日本の生産性は世界27位であり、先進国最低水準である
・ その原因は、日本人の客観的に数字を見て事実を受け入れない姿勢や、それに伴う危機感のなさにある
・日本の生産性を改善するには、生産性改善に向けて政府が経営者にプレッシャーをかけるべきである。年金基金などを用いて物言う株主になればそれは可能である。

本書を通じて筆者が主張する「

もっとみる

『SMARTCUTS:時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人』 シェーン・スノウ

本書の主張はきわめてシンプルで、大きな成功はコツコツと努力を積み重ねた結果ではなく、時間をかけずにスマートに成功する方法がある、ということに尽きる。

それは以下の4つのメッセージに現れている。

- 思わぬ成果を偶然に生み出す能力は意識的に発揮できる

- 運は自ら切り開ける

- ルールやしきたりは無視していい

- 成功への裁量の道はいつも同じではない

こうした、本来時間をとられるべきでは

もっとみる
知の巨人たちの言葉から学ぶべきこと

知の巨人たちの言葉から学ぶべきこと

『知の逆転』(NHK出版新書)は現代最高の知の巨人6名のインタビュー集である。読みやすくて非常にお手軽な本だが、内容は”すごい人達の功績を3時間で学びましょう”的な安易さは全くなく、巨人達が質問にひとつひとつ丁寧に答えていく濃密なものになっている。

彼らの言葉から学ぶべきは、個々の賢者たちの功績である学説や発見などではない(もちろんそれも素晴らしい)。本当に重要なのは、彼らが事実や真理とどのよう

もっとみる
『99%の会社はいらない』(堀江貴文、ベスト新書)

『99%の会社はいらない』(堀江貴文、ベスト新書)

ホリエモンの新刊がまたいいこと言っていたので、個人的に刺さったことをまとめておく。

成功の要件は賢いことではない。バカになり、行動することである。社長というのはバカか天才しかいない。そして、バカと天才は紙一重だ。優秀なエリートは、保険をかけるような「小利口」な人間が多すぎる。(p.42)

成功する人は、みんな身の丈に合わないチャレンジをしている。第1章でも述べたが、大成功したと言われるような会

もっとみる
村上春樹『短篇小説のつくり方』(MONKEY Vol.9掲載)

村上春樹『短篇小説のつくり方』(MONKEY Vol.9掲載)

イケてる文芸誌『MONKEY』最新号が短編小説特集で、そこに載っている村上春樹のインタビューが面白い。

冒頭でレイモンド・カーヴァーとグレイス・ペイリーという、いずれも唯一無二の短篇作家について触れている。ふたりとも主流派的な(アメリカの大学の創作科的な)書き方はしていない。二人とも学歴がほとんどなく、”自分で身銭を切って”文体を作っている。

僕も小説家を発掘するような仕事をしているのでわかる

もっとみる
『服従』(ミシェル・ウェルベック、河出書房新社)

『服従』(ミシェル・ウェルベック、河出書房新社)

2022年にイスラム政党がフランス大統領選に勝利する話。

パリで起きたテロ 、シリアからの移民問題など、現実にフランス人が感じているであろうイスラムに対する不安を炙り出した設定は見事。

そうした地政学的不安以上に僕がぞっとしたのは、インテリ階級の脆さの描き方だ。そこそこ成功した大学教授が、政権交代に伴い職を追われ、若いガールフレンドを失い、孤独と虚無感の中で社会的にリタイアしていく。そして最後

もっとみる