見出し画像

2017年にストラヴィンスキーの楽曲が日本初演されるという胸熱な話

イギリスからフィルハーモニア管弦楽団が来日しておりまして、行ってきました。

マーラーの交響曲の中でも2番目に好きな6番「悲劇的」を聴きたかったからこの日に行ったのですが、たまたま同日の演目だった曲がこれでした。

ストラヴィンスキー:葬送の歌 op.5(日本初演)

「春の祭典」「火の鳥」「ペトルーシュカ」の3大バレエで特に有名なストラヴィンスキーですが、半世紀前にお亡くなりになっております。それで今更日本初演ってどゆこと? と思ったわけですが、どうやら100年前になくなってしまったスコアが2年前に発見されたらしいです。

100年行方不明のストラビンスキー作品、露音楽院で発見

世界初演は2016年にゲルギエフのマリインスキー管によって行われたとのこと。100年間誰も聴いたことのなかったストラヴィンスキーの初期の楽曲を生で聴くというのは、クラシック好きとしてはなかなか胸熱な体験でした。師のリムスキー=コルサコフの死にあたって彼に捧げた曲らしいですが、3大バレエよりも古いかなり初期の作品です(op.6だし)。

曲は弦楽器が神秘的な雰囲気を作りつつ、管楽器が彩りを添えていくオーケストレーションがいかにもストラヴィンスキーっぽい素敵な曲でした。指揮が若干雑だったのでけっこうズレて気になりましたが、それも多目に見てあげられるきれいな音でした。

ちなみにフィルハーモニア管弦楽団はロンドンを拠点とする主要3大オーケストラ(他はLondon Symphony OrchestraとLondon Philharmonic Orchestra)の中では一番下手くそなのですが、この日のメインのマーラーはなかなかよかったです。ロンドンに住んでいたとき何度も聴きましたが、ロンドンではこんなに集中力のある演奏をしていなかった気がします。もしかして最近ちょっとうまくなったんだろうか。。。

イギリスのオーケストラの特徴は、指揮が雑だととにかくすぐずれるということです。なので、指揮がどういう仕事をして音を作っていくかというのを観察するという独特の楽しみ方ができます。これは指揮がどうだろうとばっちり合わせられてしまう几帳面なドイツのオーケストラでは味わえないマニアックな楽しみです。

この日のエサ=ペッカ・サロネンはどうだったかというと、6番の1楽章・4楽章のような構築的で力強い楽曲では重厚で複雑な演奏をばっちり合わせて来ましたが、緩徐楽章の3楽章とかストラヴィンスキーはちょっと感覚的に過ぎて乱れが気になりましたが、繊細で歌心のあふれる演奏だったのでよしとします。

80分に及ぶ長大な交響曲を最後は顔を真っ赤にしながら振りきったサロネンさんとオーケストラには惜しみない拍手が送られましたが、それに値するなかなか素敵な演奏会でした。

お読み頂いただけでも十分嬉しいですが、サポートして頂けたらさらに読者の皆様に返せるように頑張ります。