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【2023年夏コミ(C102)】カップリング表記ランキング(速報版)

今年も毎コミケ恒例「カップリング表記統計」のお時間です。一部確定していないデータがあるので、あくまで速報値です。確定値は改めてTwitterでお知らせいたします。


■C102概況

今回のコミケも少しずつ規制が緩和されて、サークル数が約20,000→約21,000と約1,000サークル増加しています(コミックマーケット準備会発表ベースの数値)。前回に比べて増加しているジャンルは「ゲーム(ネット・ソーシャル)」が最多で、主に『ブルーアーカイブ』(ブルアカ)が増えています。このブルアカは次回冬コミから独立ジャンルになることが発表されています。他に増えているジャンルは「男性向」「FC(少女・青年)」「VTuber」「ガンダム」「ウマ娘」「東方Project」あたりで、少し語弊があるかもしれませんが、男性人気の高いジャンルが全体的に増えています。逆にいわゆる「女性向け」と呼ばれるジャンルは減少傾向にあります。その影響を受けてか、全体のサークル数は増加したものの、カップリング表記数は3,800→3,443表記で、357表記(約1割)減少する結果になっています。

▼サークル数とカップリング表記数の推移

コミケのサークル数とカップリング表記数の推移

2011年と2012年は未調査です。グラフの形状を見て分かる通り、カップリング表記数は「2000年代後半~2010年代前半をピークに右肩下がり」になっています。原因はいくつか考えられますが、ちゃんと書くと論文になってしまうのでここでは割愛します。重要なのは、もう今の時代は「この調査結果で各ジャンルの盛り上がりを判断するにはサンプル数が足りなすぎる」ということです。なのであくまで「コミケに限定した調査結果」ということで参考までに見て頂ければと思います。

※2000年前後のグラフがギザギザしてるのは、当時夏コミは3日開催・冬コミは2日開催だったためです

▼1サークル2スペースの取り扱い

些細な話ですが、今回のコミケから「1サークル2スペース」の運用が始まっています。詳しい制度は公式ページを見てほしいのですが、結果としてこのケースでは、1サークルに2つのサークルカットが設定されています。それで、実際のサークルカットを見て検討した結果、当調査では「2つのサークルカット両方とも調査対象にする」方針にしています。基本的にこれまでも「サークルカットに書かれているカップリング表記はすべて集計」しているので、1サークル2スペース制についてもあまり気にせず、サークルカットに書いてあれば全部対象がすっきりするかなと。実際のサークルカットでは、2枚に同じ表記が書かれてるケースも別々の表記が書かれてるケースも両方ありました。ただ、1サークル2スペースは頒布に幅を取る「オリジナル雑貨」ジャンルのサークルさんが多いので、カップリング表記の調査としてはあまり影響はないレベルです。

■作品別表記数ランキング(TOP20)

ここから具体的な調査結果です。まずは基本の作品別ランキング。

【2023年夏(C102)】作品別カップリング表記数ランキング

作品別のトップは冬コミに続いて『Fate/Grand Order』。19位に『Fate/stay night』も入っていて根強い人気になっています。『ウマ娘』『VTuber』がランクアップしているのは前述の通り、ジャンルのサークル数自体が増えている効果が出ています。目を引くのは初登場8位の『機動戦士ガンダム水星の魔女』でしょうか。ガンダムで初登場トップ10入りは『新機動戦記ガンダムW』以来28年ぶりの快挙です(SEEDと00はコミケ2回目でトップ10入り)。

大きなジャンルで見てみると、TOP20のうち半数オーバーの11作品がゲーム、5作品が漫画、2作品がオリジナルアニメ(両方サンライズ)で、令和初期から続くゲーム中心の傾向が継続している状況です。特に普段から接触機会の多いソシャゲは強いですね。

■作品別表記増加数ランキング(TOP20)

続いて作品別の「増加数」ランキングです。全体のカップリング表記数が1割減ってる中でもしっかり増えてる「面構えが違う」作品たちです。

【2023年夏(C102)】作品別カップリング表記増加数ランキング

初手補足で恐縮ですが、15位の黒塗りはJ事務所さんのアイドルグループです。この時代にランクインするとは強いですね。

それでは改めてランキングを見てみると、1位は前述の通り初登場『機動戦士ガンダム水星の魔女』。続いて2位はこちらも初登場で『ぼっち・ざ・ろっく!』。漫画原作ではありますが、2022年を代表する人気アニメということで納得の順位です。結束バンド内のカップリング「ぼ喜多」「リョウ虹」が人気。アニメ最終回のソロパートのとこ、よかったですね(個人の感想)。3位も初登場で『ポケットモンスターSV』。『ポケットモンスター剣盾』もカップリング人気が高かったのでポケモン界隈は要チェックですね。人気カップリングは「ペパアオ(ペパ主♀)」。

他に目を引くのは久々の復活『トライガン』でしょうか。2000年前後には作品別ランキングにも入る猛者でしたが、近年はほとんど見かけませんでした。それが今年のリメイクアニメ『TRIGUN STAMPEDE』で堂々復活。今も昔も「WV」が人気。

リメイク周りでは『SLAM DUNK』も映画『THE FIRST SLAM DUNK』をひっさげて堂々復活。こちらは作品別ランキングで「1994年夏コミから1998年夏コミまで9連覇」したスーパージャンルなので、今後の動向にも注目したいところです。しかも当時とは人気カップリングの傾向が異なる様子(新キャラもいますし)ですので、どこかで比較記事を出したいと思います。

それと本当にどうでもいいんですが、最近人気の作品って「ハ行はじまり」の作品が多い気がしてます。このランキングでも『ぼっち・ざ・ろっく!』『ポケットモンスターSV』『ブルーアーカイブ』『ブルーロック』『ひろがるスカイ!プリキュア』とか。TOP20には入っていませんが『プロジェクトセカイ』も。もしかしたら言語学的になにかあるのかもしれませんが、そこは専門家にお任せしたいと思います。

■カップリング・カップリング表記ランキング(TOP20)

最後に「カップリングランキング」と「カップリング表記ランキング」を。並べてみると表記のブレが大きいカップリングとか、逆にこれはブレずにまとまってるとか分かりやすいと思います。

【2023年夏(C102)】カップリングランキング・カップリング表記ランキング

とりあえず表記の1位が「おねショタ」なの、ほんと日本終わってるなという印象なのですが(いい意味で)、カップリング側は「バーナビー×虎徹さん」がトップでなんとかカップリングランキングとしての体裁は保ててる形です。それと表中で「おねえさん×ショタ」になってるのはあくまで便宜的な表現なのでご了承ください。

ここでも注目なのは『水星』の「スレミオ」。百合の左右を気にするかは諸説ありますが、今回は「スレミオ」21表記に対して「ミオスレ」2表記という結果でした。参考までに『リコリス・リコイル』は「ちさたき」と「たきちさ」は「13:2」の割合です。このあたりの解釈については有識者の方お願いします。話は戻って『水星』では他に「グエスレ」もランクイン。3話ラスト最高でしたね。さすボブ。それと表記ランキングの方には「エラスレ」の姿も見えます。今は「4スレ」表記の方がメジャーかもしれません。

今後変動がありそうな所としては、『呪術廻戦』がちょうど今期アニメで過去編をやっていたので「夏五」「五夏」関連が増えるかも。それと、今年放送予定の『ウマ娘』3期が「キタサト」メインの話になりそうなので、そこにも注目しています。あとは『ブルーロック』のアニメ人気が夏コミの申込みに微妙に間に合ってないかんじがある(まだ初動時期)ので、冬コミでは関連カップリングがランクインしてくるかもしれません。

■おまけ:pixiv検索ランキングとの比較

おまけで実験的に「pixiv検索ランキング(女性に人気)」との比較をしてみます。C102の申し込み開始が2023年2月21日からだったので、ちょうどその日のpixiv検索ランキングを持ってきました↓

引用元:https://www.pixiv.net/idea/ ※2023/02/21時点

このランキングにC102のカップリング表記ランキングの順位を対応させてみると↓

1位:呪術廻戦 → 12位
2位:僕のヒーローアカデミア → 61位
3位:ブルーロック → 34位
4位:ONE PIECE → 32位
5位:原神 → 9位
6位:ツイステッドワンダーランド → 29位
7位:名探偵コナン → 6位
8位:吸血鬼すぐ死ぬ → 25位
9位:鬼滅の刃 → 14位
10位:東京卍リベンジャーズ → 66位

ご覧の通り、全然連動してない気がしますね。もうデータはないんですが、以前は結構連動していたと思うので、やはりコミケというイベント自体の性質が変化していっているのかと思います。次回は「pixiv検索ランキング(男性に人気)」との比較、赤ブー系イベントとの比較などもしてみる予定です。

それではよい夏コミを!

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