７月２１日
今日からクランクイン。うだるような暑さが続く。差し入れのアイスを食べながら、撮影の無事を祈る。いい撮影になるといい。夜はイカ丼。

７月２２日
今日も朝から、撮影。

7月２４日
今日は、撮影現場で意見が合わず、細田くんと殴り合いの喧嘩。タイマンはる。腕っ節で負ける。やっぱり若さにはかなわない。夜は餃子、缶ビールを2個。

７月２６日
暑いので、ハイボール片手に、撮影に臨む。ハイボールならいいかと思ったけど、やっぱ無理DAYONE。せめてホッピーにしようか、迷い中。夜食に甘食2個。

７月２７日
右手の人差し指のささくれが気になって、撮影に身が入らず。結局、撮影中止。

７月２８日
ささくれのことで、スタッフから説教される。泣く。夜はカルビ丼。

８月１日
今日は撮影現場に珍しい客人が。大きなカブトムシである。夏の撮影とはいえ、こんなところに、まさか迷い込むなんて、よっぽど映画に出たいのかしら。よーし、決めた。今日はカブトムシ撮るぞ。

８月２日
今日は、珍しくゾーンに入っていた。目が血走っていた。ささくれとカブトムシで遅れていた撮影分を取り戻す。やったぞ。お昼に肉寿司。うまい棒、コーンポタージュ味が行方不明で、荒れる。めんたいこ味で、機嫌取り戻す。

８月４日
今日は私の誕生日。昼飯を食べていると、急に電気が消える。上白石さんと仁子役の、中島琴音ちゃんと、スタッフたちから、祝ってもらう。演出部が、水泳のアリーナのバックと書道セットくれる。こんな誕生日、久しくなかったな。疲れた身体に染みる。

８月５日
また細田くんと殴りあう。やられる。スイカ食べる。仲直り。

８月６日
撮休。今日は原宿に一人でお買いもの。竹下通りの雑貨屋で、ビーズやアクセの大量買い。クレープ食べて、タピオカ飲んで、明日からの撮影に備える。よーしやるぞ。夜は、鴨鍋。

８月７日
細田くんの頭上から、湯気が出ている。俺はそれを、じっと見ている。仕方ない、この暑さだ。上白石さんが、その上で、肉を焼こうとする。みんな、それが食べたくて、今日は撮影を中止。小田急OXでサンチュ買う。

８月８日
脚本のふじきさんが、ロケ見学に。脚本の国から、八兄弟みんなで降りてきたらしく、ふじきさんが八人いる。脚本ヤギもいる。撮影が終わり、みんなヤギにのって帰る。

８月１０日
今日は、水泳大会のシーン。たくさんのエキストラが集まる。原作の田島先生が来る。全身にタトューが入っている。スタッフがみんなおののく。みんなで触る。ふじきさんにもスタートの合図出す人の役で出てもらう。上白石さんが、一生懸命泳ぐ。私はそれを見ている。いいよ、いい感じよ。つげ義春の漫画を思い出す。カメラマンの芦澤さんが日焼け止めをたくさん塗っていて、マリリン・マンソンみたくみえる。水が信じられないくらいうまい。

８月１１日
今日から、静岡で海のロケ。上白石さんと仁子ちゃんと、豊川さんの海のシーン。あとは、仁子ちゃんときたろうさんが、蟹で遊ぶシーン。波も蟹も言うことを聞いてくれない。自然と生き物を撮るのはなかなか難しい。海でクラゲに刺される。みんな泣く。

８月１３日
T氏が、再び佐渡から帰ってくる。途中、予算が足りないことに気づき、砂金を掘っていたらしい。金、見つからず。仕方なくN氏が、ウーバーイーツで貯めた金を、予算にあてがう。とにかく無駄遣いはできない。節約だ、節約。夜は肉寿司。

８月１５日
今日は、いよいよクランクアップ。ポケットの中で、塩分チャージがドロドロに溶けている。毎日暑い。上白石さんと細田くんが緊張している。それもそのはず、屋上のシーンの撮影。美波ともじくんの重要なシーン。炎天下の中、撮影は終了。おつかれさまでした。撮影終了後、一人、誰もいないプールへ。デッキブラシに水をつけ、プールサイドに「さつえいおわり」と書く。ふと屋上を見上げる、誰もいるはずないか。帰ろうとしたその目線の先、上白石さんと細田くん、そしてスタッフ全員が、屋上にいる。私は走りだす。

８月１６日
今まで撮影した９割を、改めて撮り直すことを提案。
昔、キューブリック監督が、シャイニング撮った時に、そうしたらしいので、真似してみる。が、みんなに断られる。撮影終了。おつかれさまでした。